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7・迷宮攻略その5

スキルは完全に会得した時、マトリクスプレートに記されます。

「テオリア特性ヴァイブリッシュの塩焼き。まずヴァイブリッシュを綺麗に洗います。そして中からマテリアルオーブを取り出し、テオリア産のソルトース(塩)を一摘み、粉末のハービルハーブもふりかけて弱火で焼きます。するとどうでしょう、美味しいヴァイブリッシュの塩焼きが完成しました!」


 テリオスが一人で料理をしている間、春達は用意されたテーブルにマットを敷き、お皿を用意していた。


「テリオスって料理出来たんだね」


 春の口から余計な一言が飛び交う。


「出来るよ。誰でも作れる簡単料理だからね。さぁ、みんな食べよう!」


 テリオスが作ったヴァイブリッシュの塩焼きを春達は食す。


「美味あああい! 塩焼きなのにこんなに美味しいのかよ!」


「塩加減も良くて、香りも最高よ!」


「素材も良いものを選んだから美味しく出来たんだよ」


「ガウッ!」


 三人と一匹はヴァイブリッシュの塩焼きを残さず綺麗に食べ終えると、骨をゴミ袋に入れる。

 ゴミ袋は闇属性のマテリアルオーブが使われているため、処理が楽に進む。


「さてと、食べ終わったので次の階に行くとしようか」


 春達は五階層へと足を運んだ。


 五階層の景色は相も変わらず一階から続く同じ模様だった。

 この模様を見ながら春は不思議に思う。


「この幾何学的な模様って何か意味があるのか?」


 疑問に思った春はテリオスに問う。


「これは全て魔法陣として機能してるんだよ。迷宮内部で魔物を無限に生み出すように作られてるんだ」


 その答えに春達は「地球より技術が上なんだなぁ」


 春一行は五階層に着くと周りを見渡す。


「ここも大して変わらーー」


「初心者用なんだから当たり前でしょ。先に進むわよ」


 と里実が春の言葉を遮りると前進しすると左右に分かれた道が見えた。


「また分かれ道だ。左右どっちに行くべきか迷うぜ」


 そう言いながらも春はワクワク感が表情に出て、隠せてない。


「左手の法則に従っていきましょう!」


 と里実が提案を出し、


「棒倒しで決めるぞ!」


 と魔導剣を床に刺す。


「左!」


「棒!」


 二人はにらみ合い、喧嘩口調になり始める。


「まぁまぁ二人とも、ここは仲良く間を取って」


 と二人の喧嘩の仲裁に入り、魔導杖を構えた。


「あの、テリオス君、何をする気ですか?」


「まさかわたしたちを殺す気じゃないわよね?」


 二人はあたふたしながらテリオスの行動を止めようとするが、テリオスは二人の間に入り、魔法を発動する。


アル・(最下級)マッピング・(地図)クラフト(生成)


 地図を生成すると迷宮内部を正確に書き記していた。


「あっ、地図生成の魔法だったのか、殺されるかと思ったぞ」


「わたしもここで終わりかと思ったわよ」


 二人は焦っていたが、安堵の息をつき、安心する。


「じゃあ皆行くよ!」


 と笑顔を見せ、右側を行く。


 ロウも「ガウッ」と吠え、テリオスの後ろをついていく。


「うん、テリオスだから俺たちを殺すわけないよな、ハハハッ」


「そ、そうよね、殺すわけないよね。そうでしょ?」


 と焦燥を隠せないままテリオスに問う。


「自分は春くん達の味方だよ」


 とウィンクをして和ませる。


 その表情で春と里実はホッと息をつくが、その間に大広間にたどり着いた。


「たどり着いたよ。ここが吾9階層のボス部屋」


 と淡々と述べると、春達は視線を前に向ける。


 そこには熊のような魔物が春達の方へ向かっていた。


「奴はブラクルベア(熊)、格闘が得意な熊さんだよ」


 とテリオスは軽々しく語る。


「格闘型の熊とか、マジで熊じゃん!」


 春は焦りだし、魔導剣を構える。


「地球の熊だって、人間じゃ勝てないのよ!」


 里実は魔導弓を構えて魔力弦を引く。


「二人なら出来るよ。頑張って♪」


「ガウッ♪」


 テリオスとロウは後方に下がり、春達に戦わせる。


FIGHT!


「勝手に決めるな!!」


 と怒りつつも春は戦う決意を見せる。


 春は魔導剣に魔力を注ぎ、ブラクルベアに向かって走り出す。

 里実は援護として魔導弓から魔力の矢をブラクルベアに向けて放つ。


 魔力の矢はブラクルベアの胸を突くが、ひるむことなく先陣をきった春に襲い掛かる。

 春は魔導剣の剣先でブラクルベアの手を受け流し、手と脇腹に切り傷を入れる。


「ギャオオオオ!」


 ブラクルベアの叫びがうるさく春は耳をふさぎながら距離を取る。

 里実は魔導弓に魔力を注ぎ、一点集中でこの時を狙っていた。


「死止めなさい!」


 放たれた魔力の矢は空を貫きブラクルベアの傷口に刺さる。

 

「ギャイギャアアアア!」


 ブラクルベアがさらに叫ぶ。

 後方で構えていた春は魔力を注ぎ、ブラクルベアの背に切り傷を入れる。


「まだ足りない! 里実ちゃん、続けて!」


「任せて!」


 里実は魔導弓に魔力を注いで追撃を加えるが、とどめには至らなかった。


 ブラクルベアの爪は黒く変色し、春に向けて詰めを振るう。


「あぶなっ!」


 春はギリギリ避けるが、ブラクルベアの振るった場所は闇のごとく黒い痕跡を残していた。


「こ、これって喰らうと死ぬ奴かよ」


 焦る春。里実は援護として幾度も魔導弓から魔力の矢を放つがブラクルベアは春だけを襲っている。


「そっちがその気なら、俺だって終わらせてやる!」


 魔導剣を強く握りしめ、魔力を流し込むと剣身にたまった蒼き魔力はより強く、より濃厚で、より輝きだすと、マトリクスプレートが輝き〈アバランチ・クラッシュ〉が記された。


「ここがお前の終点だ!」


 高密度の魔力が流れる魔導剣を勢いよく縦に振り下ろし、魔力の刃をブラクルベアの頭から胴体まで浴びせる斬撃技術、アバランチクラッシュで切り裂いた。


「やったか!?」


 ブラクルベアは真っ二つにされ、息絶えていた。春は確認後、マテリアルオーブを抜き取ると今までのマテリアルオーブとは違うことに気付く。


「これ、黒いよな。マテリアルオーブ?」


 疑問を抱きながら見つめる春。


「それは闇のマテリアルオーブだよ。トイレやごみ処理によく使う貴重な一品だよ」


 テリオスはそう伝える。


「へ~、これが闇のマテリアルオーブか」


「闇のマテリアルオーブ!? 春、見せなさいよ!」


 里実が駆け寄りや網のマテリアルオーブを目にする。


「本当に黒いのね」


 黒真珠のような輝きを放つマテリアルオーブを春達は収納バッグに収めると、この先にある地下への階段を見つめた。


「さてと、次の階におりますか」


 春は魔導剣を、里実は魔導弓を収めるとさらなる地下へと足を進める。


「このまま順調に進めば、初心者用迷宮踏破だね」


 とテリオスの言葉を聞くと、


「当たり前だろ、初心者コースなんだから!」


 と笑顔を見せて先に潜った。




入手マテリアルオーブ


火1水5地2風1光0闇1無30

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