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5・迷宮攻略その3

 春達は第三階層に続く階段を見つける。


「この下が第三階層に続いてるんだよな」


 足を止め、地下に降りる覚悟を確認する。


「この迷宮は初心者用だから大丈夫だよ」

(何回も言ってるのに)


「この下歯どんな魔物がいるのかしら? スティンビーみたいな変態な魔物だったら、行動取る前に全力でぶち抜くわよ」


 と里実が息巻いた。


「大丈夫だよ。この先はトカゲだから安心してよ」


 と春達を勇気づける。


「そっか、トカゲか。なら安心だな」


 トカゲと聞いて先の戦いよりも楽そうだと表情が笑顔に変わった。


 三階層は一直線のルート。幾何学的な作りの壁に導かれ、仲守春達は足を進める。


 その奥には大きな部屋があり、中心にトカゲと言えないほどの大きさの魔物が待ち構えていた。


「なんだよこいつ、トカゲどころかドラゴンだろ!!」


 春は率直な感想を伝える。


「こんなやつを相手にするの!? わたし死んじゃう!」


 里実は死の危険を感じ、拒み始める。


「まぁ、やられる前に自分が止めを刺すから安心してよ」


 と試練のごとく応える。笑顔で。


 その表情にプッチンした春は、


「死んだら呪ってやるからな!」


 とテリオスに言い聞かせ、トカゲに挑む。


「トカゲの名前はフレリザルド、炎を纏ってるから頑張ってね、お兄ちゃん!」

「ガウッ」


 とテリオスは魔物の特徴を教える。


「だれがお兄ちゃんだ!!」


(くっそ、こうなったらテリオスの言葉を信じて挑んでみるか)


「里実ちゃん、準備はいい?」


「いつでも!」


 春は覚悟を決め、里実に援護を任せると、フレリザルドに向かって駆けだした。


 フレリザルドの鱗は燃えており、簡単には近づけない状態だった。


「まずはわたしから、一撃与えるわ!」


 里実は魔導弓を構え、魔力の矢を撃ちだすが燃える鱗が打ち消していく。


「ちょっと炎が守るなんてチートよチート!」


 焦り始める里実。


「それなら、俺が!」


 春はフレリザルド立ち向かい、魔導剣を振り下ろすが硬く燃える鱗に魔導剣は弾かれる。


『ギャオオオオ!』


 フレリザルドが叫び、口から火炎放射を里実に撃ち込む。


「きゃぁ!」


 里実の服は炎で燃え上がり、その姿を見た春は、


「てめぇ、トカゲの癖に炎吐いてんじゃねぇ! 里実ちゃん、今助けるから!」


 春は魔導剣に魔力を注ぎ込み、フレリザルドに斬りかかる。


「鱗が硬い! 燃えている分、熱く感じるぞ!」


 春の魔導剣は大量の魔力で切断力を上げていくもフレリザルドの鱗の強度が上だった。


 魔導剣を何度も振り下ろす。鱗同士の狭間を狙い突き刺すも、傷一つつかない。


「このクソトカゲ!」


 春は魔力を魔導剣に極限まで注ぎ込み、勢い大きく振り下ろす。


 その時、魔導剣から蒼く鋭い斬撃が飛び、フレリザルドの強靭な鱗ごと切り裂いた。


「テリオス、里実ちゃんを助けたいから手を貸して!」


 春は里実の元へと向かうが、


「来ないで! あと見ないで!」


 里実の声にハッと振り向き、無事を確認する。ただし、服は全て焼け焦げていた。


「まぁ、初心者用ダンジョンだから大丈夫って言ったよね」

(三度目だなぁ)


 ロウも「クーン」と可愛い声で和ませる。


「ちょ、あの、テリオス、服はある!?」


 春は慌ててテリオスに服を要求する。


「テオリア製の服なら何着か」


 そう言いながらテリオスは闇のマテリアルオーブを使った異次元バッグから服を取り出すと、ロウが里実の方へ渡した。


「テオリア製の服があるなら先に言えよ!」


 と春はぷんすか怒り出す。


「まぁまぁそう怒らないでよ。春くんの分も用意してあるから」


 そう伝えると異次元バッグから服を新たに取り出した。

 テリア性の服は素材が良く、地球では販売していない。


「えっ、俺の分もあるの!? でも我儘言い続けるとテリオスも迷惑だろうからやめておくよ」


 春は少し存した気分で天上を眺め、ため息をつく。


「まぁ、これから先は地球製の服だと相当キツいから、着替えると良いよ」


 そう言われ、春は喜びを隠しきれず照れながら服を頂く。


 二人は着替え終わると異世界テオリアの衣装が持ち味を引き出し、似合っていた。


「よし、せっかく倒したトカゲ野郎からマテリアルオーブを取り出すか」


 春はフレリザルドから赤く輝く火属性のマテリアルオーブを抜き取った。


「火属性だ。地球では一般家庭に必需品だよな」


 春の声に反応して里実は語りだす。


「地球じゃ魔法が使えないから、マテリアルオーブが魔法の代わりになってくれるから助かるけど、一般販売されているマトリクスプレートにマテリアルオーブを与えないと発動しないのが一番の問題よね」


 と少しがっかりした表情で曇らせる。


「それに関しては仕方ないよ。地球で魔法が使えたら戦争が起こるからね」


 とテリオスは春と里実に伝える。


「ここまでこれたことだし、魔法に属性追加のやり方を教えよう♪」


 その言葉に春達は反応する。


「学校ではマトリクスプレートに魔法陣を入力すると覚えられるって習ったけど、複雑な仕組みだから難しいって聞いたな」


 難しそうに考える春。

 一見簡単そうで習得には困難を極めると言われている。


「まず説明するよ。魔力は生命の魂が持つ力なんだ。そしてマトリクスプレートに属性の魔法陣・使いたい魔法陣、形状変化の魔法陣、追加効果の魔法陣を入力後、体内に入り魂と融合して魔法を覚えるんだよ」


 春達は最初に覚えるための最下級を示す魔法陣を描く。次に火属性魔法陣を描いた。そして覚えていたバレット魔法の陣を描く。さらに形状変化の魔法陣を描く。最後に追加効果の魔法陣を描くと、春の体内にある魂と魔法陣が融合し、新たな魔法を覚えた。


「五重式魔法陣なんだね」


 と一言添える。


「わたしも属性付き魔法を覚えよう」


 里実も属性付き魔法陣を体内に取り込むと、感覚で理解した。


「魔法を会得したと感じるわね」


 試し撃ちをしたくてうずうずする二人。


「まぁ、次の階層に行けば使えるよな」


 と春はうきうきしながら言葉を放つ。


 ロウが近寄り「ガウ!」と吠えるなり、火炎弾を放った。その威力はアル(最下級)級でありつつも威力はイル(下級)級だった。その威力に驚いた春は、


「ロウスゲェな! 魔法使えるんだな!」


「クーン♪」


 褒められて嬉しさを声で表すロウ。


 マトリクスプレートを見ると、今までとは違う文字が記載されていた。


「スキル?」


 春達のマトリクスプレートには、アバランチ・クラッシュ、クルーエル・スラッシュ、アズール・リムーバーが追加されていた。


「これ、なんだ?」


「わたしのもある。フル・スティンガー?」


 その疑問にテリオスが答える。


「今までで危機的状況になったとき、無意識で放った技術だよ。何度も練習すればいつでも使えるようになるからね」


 春達は初めてスキルを手にして歓喜に沸いた。


「よっしゃああああああああ! ゲーム見たいだよ!」


「これってつまり今後役に立つ技よね、最高よ!」


 と浮かれているところにテリオスが釘をさす。


「ゲームのように簡単に使える技じゃないから、練習が必要だよ!」


「ガウッ!」


 テリオスとロウもゲームではないことを心に入れるように注意した。


「わ、わかった。鍛錬しないと使えないんだな」


「そうよね。ここはテオリアでゲームの世界じゃないのよね」


 二人は使う際は鍛錬した後に。と心に決めた。


「さて、それじゃあ下に行きますか!」


 張り切る春にテリオスが注意をする。


「次の階も油断は禁物だよ」


 その忠告を無視せずに春達は下へと降りた。



入手マテリアルオーブ

火1水0地2風1光0闇0無30


入手アイテム

テオリア製の衣装

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