46・ザウラ討伐とランクアップ
春の放ったイル・ヒート・バレット・アプローチ・ブラストはザウラ・オリガームの顔面を黒く焦がすが、当のザウラ・オリガームは左手で顔を叩くと損傷を確認していた。
「イル級、数発ぶち込んだのにまだ倒れないのかよ」
春達はザウラ・オリガームの顔面にばかりイル級の魔法を撃ち込みすぎたために膝をつく。
「もしかして効いていたのか?」
「そうみたいだね。このままたたみかけよう!」
春の問いにテリオスが答えると、春達は止めに入る。
「まずは喰らいなさい!」
里実は魔導弓を構えながらザウラ・オリガームに向けて走り出す。相手は魔物であるがゆえに知識は乏しい。その弱点ともいえる行動を見抜き、近接戦闘を行う。
里実は魔導弓から魔力の矢を作りながら走り、ザウラ・オリガームの足元までたどり着く。当のザウラ・オリガームは気付いており、拳で振るおうとするが、里実は魔導弓から魔力の矢を十二本放ち、矢は足に突き刺さる。そして里実はこのまま背後に回った。
「里実もやるな。俺も!」
春は魔導剣に魔力を流し込み接近すると、ザウラ・オリガームは刀を振るい魔導剣と衝突。ぶつかり合う魔力と力の奔流に周囲一帯が巻き込まれ、残光を放つ強い衝撃波が最下層である30階層に広がる。
「このクソ力がぁ!」
春はザウラ・オリガームの力を利用し、魔導剣の位置を少しずらし、刀を地に擦り落とす。
「今だ! アズール・リムーバー!」
魔導剣に魔力を素早く流し込み、圧縮した魔力を一振りのもと、剣刃として飛ばす。その蒼穹を穿つものはザウラオリガームの胴体に直撃。
「まだだよ」
テリオスは魔導杖を構えて狙いを定めていた。
「イル・ファイア・グレネイド・ホーミング・ダース」
テリオスの放った魔法は十二発。三発は直線よりわずかにずれた位置、残りの九発は右側30度外れた位置に進む。ザウラ・オリガームはわずかにずれた魔法を察知し、避けやすい方へと回避するが、ホーミングのかかった爆弾は30度の位置から弧を描きながらザウラ・オリガームに直撃。イル級である九発の爆発を受けて膝をつき、残りの三発も肩で爆破を起こし、刀を落とす。
「まだよ。私の活躍がまだ足りない!」
欲深い里実は魔導弓に魔力を込めて、このチャンスを待っていた。
「イル・ファイア・アロー・ヒート・インパクト」
里実の放った炎の矢はザウラ・オリガームの後方を狙い、穴に直撃。熱い魔力の矢が刺さり強い衝撃波を引き起こす。
「最悪な狙いだな」
「それ、酷い撃ち方だね」
春とテリオスは里実の戦い方に残酷の称号を与えるべきだと考えていた。
「春くん、最後のとどめだよ」
テリオスは春の策を読んでいるようだった。テリオスと里実に時間を稼がせるほどのことだ。他にも魔法を作り出しているに違いないとテリオスは思っている様子。
「バレてたか。本当はヒートブラストで十分だと思っていたけど、倒せなかったからな。よし、里実、そこから離れろ」
里実は春の言葉を聞き、ザウラ・オリガームの後方から春達のそばへと走り出す。
「ザウラ級でもこの一撃に歯耐え切らないだろ。行くぜ!」
春は魔導剣を地に刺し、両手をザウラ・オリガームに向ける。
「イル・サンダー・バレット・ストレイト・クラッシュ」
一つ一つ、丁寧に、ゆっくりと、言葉にして魔法構築を行い、創造を引き起こすと一発の魔力弾が生成され、両手から放つ雷を蓄積させる。
「終点へ送れ」
その一言で一発の魔力弾は発射された。
火属性と光属性の混合魔法で疑似的なレールガンを作り出し、秒速150キロで突き進む雷の力を浴びた魔力弾がザウラ・オリガームの顔面を貫通し、頭部の内側から電流を浴びせ、感電と同時に撃ち倒した。
あまりのも威力が強すぎて呆然と立つ春と里実。
「ま、まぁ魔法だしこれくらいの威力はあるよな」
「そ、そうね、魔法でさらにイル級ですもん。威力はあるわよ」
と言いながら、ザウラ・オリガームに近づき、地のマテリアルオーブを取り出す。
「ザウラ級の刀も高額で売れるから持って帰ろう」
テリオスはそう伝え、次元収納リングに刀を入れる。
「さて、と。この迷宮も踏破したことだし帰るか」
「ガウッ♪」
今まで見ていたロウはドリンクを片付けて、春達の傍へとやってきた。
「まったく、ロウはいつも見てるだけだよな。時々助けてくれるからいいけどさ」
春達は転移魔法陣に乗り、一階層の入り口まで戻る。
「ふぅ、新鮮な空気は美味いな」
「逆よ、新鮮だから美味いのよ」
「さて、ここから探索者ギルドにザウラ・オリガームの刀を売りに行こうよ。きっと大金が手に入るよ」
テリオスの言葉に里実は眼を輝かせ、お金への執着を見せる。がめついとはこういう事なのだ。
春達は探索者ギルドに行くと、迷宮最下層のボス、ザウラ・オリガームの刀を鑑定に出した。
『ザウラ級の武器ですね、鑑定結果は受付番号でお呼びしますので、しばらくお待ちください』
受付嬢は春達にそう伝えると、男性を呼び出し、大きな刀を軽く持ち上げ鑑定場へと運ばせていった。
「受付番号は193番か」
春は番号を確かめると周囲を見渡すと、ふとザウラ級の強さを思い出し、呟く。
「ザウラ級、強かったよな。クインアリュトとは比べ物にならないほどの差があって驚いたぜ」
「さすがはザウラ級、って感じだったわよ。春の一撃がないと苦戦していたわね」
ザウラ級の強さと勝利をもぎ取った感動の余韻に浸る。
「せっかくザウラ級倒したんだから、ここでランクアップしておくといいよ」
テリオスが春達に一言添えた。その言葉に春は驚愕の表情を向ける。
「ランクってテオリアでも上げられるのか!?」
ザウラ級となればボスクラス。Cランクに上がるためには必須の条件だ。その条件さえ満たしていれば、ランクがあげられる。
『受付番号193の探索者様、鑑定が終わりました』
受付嬢の声を斬っ揮、春達は受付へと進む。
『ザウラ級の刀、1000万ゼルです。よろしいですか?』
「すみませんが、ついでにランクアップもお願いします」
テリオスが受付嬢にそう伝えると、『かしこまりました。探索者ライセンスを提示していただきます』
春達のライセンスはDランク。ライセンスを提示すると、テリオスが新たに二人分のテオリア製ライセンスを提示した。
「テオリアのライセンスでランクアップをお願い」
そう伝えると受付嬢はかしこまりましたと伝え、テオリア製のライセンスがCランクへと上がった。
「地球のライセンスじゃ無理なのか?」
疑問に思った春はテリオスに問う。
「地球のライセンスだと面倒ごとが多いからね。特にC以上のランクだと発行に時間がかかったりするよ」
「あぁ、そういう事か」
春は納得した。地球でのランクアップ作業にボス討伐の証明が必要であり、地球側の探索者協会の審査員同行のもと、ザウラ級を倒さねばならないのだ。
「たしかに面倒よね」
里実も納得の一言。
『ランクアップ完了しました。お二方のCランクライセンスです』
春達は新しく発行されたライセンスを見て、テリオスの持つライセンスと似たマークがついていることに気付くが、それよりもCランクに上がったことに喜びをあらわにする。
「さて、次はどこに行こうか?」
テリオスの質問に、春は思考を巡らせる。
「う~ん、国の首都、トライピア王国が近いから行ってみたいよな」
春は地図を広げ、次の行き先を候補にあげると、里実、テリオス、ロウが頷く。
「いいね。大陸に来て最初の王国、首都トライピア!」
「よし、行こうぜトライピア!」
仲守春ご一行はトライピアへと向かうことに。
入手マテリアルオーブ
火1水13地8風1光0闇0無6雷0
雑魚から取ったマテリアルオーブ30個
地球製ライセンスD
テオリア製ライセンスC
現金56万
テオリアでは1090万9000ゼル
入手鉱石
青いラトグラム鉱石12個
赤いマトリウム鉱石12個
緑のルナテウム鉱石12個
所持アイテム
メントドリンク10本
スピリアルドリンク7本
アブレコドリンク6本
パナシアスドリンク10本
リジェネスドリンク10本
乗り物
ライド・フォートレス・アルテミア号
6人乗りの魔巧ビークル
水陸空の移動が可能なマシンでBランク以上の探索者しか購入できない




