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36・迷宮と訓練と強敵

 春達の番号を呼ばれ、ワクワクを止められず迷宮内部に突入する。


「ここが大陸迷宮か、すっげぇ広いな!」


 スタート地点で春は驚いていたが無理もない。ハイル島とは違い、スタート地点には複数の探索者が集まっていたのだから。


「よし、行くか!」


 春のハリキリボーイに里実とテリオス、ロウも釣られ、「よし、行きましょう!」「よし、行こう!」「ガウッ!」と言葉でやる気を示す。


 前、左右に道が別れている迷宮で、春は「左手の法則で行こうぜ」と一つの案を提示する。


「そうね、壁沿いに沿っていけば迷うこともないわよね」


 春達は左のルートを通ることになった。


 少し進むと他の探索者が魔物を狩っている姿が目に見える。




「このラビル(魔ウサギ)弱いくせにマテリアルオーブ持ってねぇのかよ」


「ハズレの魔物が多いらしいな。雑魚は無視して進むか」


「ラビルでも売れないわけじゃねえんだろ、狩って次に進むぞ」




 二人の地球人探索者はラビルを狩り、袋に詰めると奥に進んでいった。


「マテリアルオーブが出ない魔物ってあるんだ」


 春の不思議に思う表情に里実も疑問を持つ。


「わたしたちって今まで倒してきた魔物全部マテリアルオーブ出してたわよね」


 二人の疑問にテリオスは、


「大陸ではマテリアルオーブを持つ魔物と持たない魔物の二種が存在するんだ。正確には生まれたばかりの魔物はマテリアルオーブ生成まで成長しきっていないんだよ」


 テリオスの言葉で春達は迷宮の興味が深くなる。


「じゃあ生まれたばかりの魔物を倒してもマテリアルオーブは手に入らないんだな」


「それって見分けがつかないじゃない」


 迷宮では初心者の探索者がよくぶつかる難問だった。しかし、春達にはベテラン探索者が付いている。


「迷宮第一階層は戦闘になれるための訓練場と思えば大丈夫だよ。本番は第二階層以降だから」


 春はテリオスの言葉を聞き、がぜんやる気が沸き上がる。


「なら、しばらくはここで修行だな」


 そう言うと、周囲を見渡し、魔物を探す。


「アレか」


 迷宮の角から現れたラビルを視認すると、春は魔導剣を構え、里実は魔導弓を掴む。


 春は恐る恐るゆっくり近づき、魔導剣を向けるとラビルはとてもかわいい顔を向け、かわいらしい表情で春を誘惑する。


「可愛いけど魔物なんだろ」


 握りしめた魔導剣に魔力を流し、一振り。ラビルを真っ二つ。とはいかなかった。


 可愛いが故に剣筋がわずかに外れ、目標をかすめた。しかし、魔力を帯びた魔導剣の衝撃は強く、ラビルを吹き飛ばす。


「あっ、しまった!」


 打ち損じたラビルはその場から逃げ去り、迷宮奥に隠れてしまった。


「まったく、春のおっちょこちょい。魔物なんだから容赦なく切ればいいのよ」


 里実は自信満々に説教のごとく言葉を放ち、魔導弓を構える。無論、春は自らの失敗を認め、里実の言葉を心に刻むと「確かに容赦なくやるべきだった」と反省の意を示す。


「見てなさい」


 構えた魔導弓に魔力を注ぎ込み、魔物がいつ来てもいいようにと発射体制を整える。迷宮の角から姿を現したのはかわいらしいラビルだった。


「か、可愛い」


 里実が放った第一声は魔物の魅了に負けた敗者の声。


「おい、里実~、やっぱ口先だけかよ」


 春は他人の子とも言えねぇじゃねぇかと言いたげな顔で里実に視線を向ける。


「や、やればいいんでしょ、やれば!」


 里実は魔導弓から魔力の矢を十二矢放つが可愛いラビルには当たらず、周囲の壁に直撃。


「ほら、やっぱ口先だけだよな」


 聞こえないよう小声でしゃべる。


 二人の姿を見ていたテリオスは「仕方ないね」と一言告げて二言目に「ラビルに触れてみてよ」と伝える。


「こんなに可愛いのに触れていいのかよ!?」


「本当に可愛いから抱きしめたい!」


 春と里実はラビルに向かって良き、手を差し伸べた。と同時にラビルの口が裂け、異形の怪物へと姿を変える。


 幽霊でも見たような表情になり、春と里実は悲鳴を上げた。


「こいつ化け物になりやがった!」


「ちょ、キモイ!」


 春と里実は魔導武器を構え、ラビルに向けて叩きつける。一撃、二撃、三撃、四撃、五撃、六撃、七撃、一匹の魔物に対して過剰なまでの攻撃。


 ラビルは倒され、春と里実は息を切らし、深く深呼吸。


「やっと倒したか、強い相手だったな」


「そうね、ある意味強い相手だったわ」


 二人は仕留めたと言えるのかもわからないぐちょぐちょになった謎の物体(ラビル)に手を向け、中を探る。求めるものはマテリアルオーブのみ。


「あれ、こいつ持ってないぜ」


「本当、ここの階はほとんど誕生したばかりの魔物なのね」


 春達は周囲を確認すると、この一階層には殆どの魔物は居なかった。その代わり、人々の声が聞こえてくる。


「魔物、いないんだな。とりま、先に行こうぜ」


「そうだね、マテリアルオーブを集めるなら先に行こう」


 春はそう言うと、テリオスは賛同し、里実、ロウを連れて迷宮奥へと進む。


 左手の法則を使い、迷路状の迷宮を進むと見たことのない魔物が待ち構えていた。


「鎧を着た騎士か?」


 剣を持った鎧の魔物。


「あれはブレイビア(魔法剣士)だね。魔法も使ってくる剣士だから気を付けて」


 春は固唾を飲み、ブレイビアに剣を向け立ち向かう。唯一の救いはガイラ級やザウラ級といったランクが上ではないことだった。


「行くぜ!」


 魔導剣を抜き、ブレイビアに斬りかかる。初撃は魔法剣士というだけあって剣と剣のぶつかり合いになり、激しい金属音が鳴り響く。


「こいつ、俺より強いかも! それなら!」


 春は魔導剣に魔力を流し込み、ブレイビアに再度斬撃を与えに行く。魔力が流れる魔導剣は切れ味抜群なのだが、ブレイビアは剣を横に振り、己の技量のみで春の持つ魔導剣の剣身を叩き弾き返した。


 春は驚き、一歩下がろうとした瞬間、ブレイビアは剣の先端から火炎玉を放ち、春は反射的に魔導剣を縦の代わりにして直撃を防いだ。


「あっぶねぇ、少し遅けりゃやられてたぜ」


 と一息つくがブレイビアは待つこと知らず、春に斬りかかる。


「こいつ、突っ込んで――」


 春の一声よりも先にブレイビアの一突きが襲い掛かる。危機を感じた春は魔導剣を握りしめ、剣同士のぶつかり合いのリベンジに挑む。


「くっ!」


 魔導剣を横に振りブレイビアの剣を弾くも、その直後ブレイビアが火炎玉を放つ。


「こんな魔法ぶった切ってやるよ!」


 火炎玉を見つめ魔導剣で上から下へと振り下ろすと、流し込まれた魔力がブレイビアの放った火炎玉を切り裂き分断。両端の壁に直撃した。


「俺の戦いはお前を倒すことで進むんだ!」


 この戦いに里実は「援護必要よね」と言おうとするが、テリオスは「まだ早いよ」と告げ、里実は一歩下がる。


「さぁ、行くぜ!」


 春は魔導剣に魔力を流し込み、再びブレイビアに戦いを挑む。


入手マテリアルオーブ

火0水13地0風0光0闇0無0雷0


現金56万

テオリアでは90万9000ゼル


入手鉱石

青いラトグラム鉱石12個

赤いマトリウム鉱石12個

緑のルナテウム鉱石12個


所持アイテム

メントドリンク4本

スピリアルドリンク10本

アブレコドリンク6本

パナシアスドリンク10本

リジェネスドリンク10本


乗り物

ライド・フォートレス・アルテミア号

6人乗りの魔巧ビークル

水陸空の移動が可能なマシンでBランク以上の探索者しか購入できない

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