27・恥と上塗りと偽り
ザウラ・クインアリュトは檻から抜け出し、探索者兼アイドルのスマッシャーズへと動き出す。
女王アリであり、ザウラ級だということを彼らは知らない。
「どうする、全員で攻撃するか」
とスマッシャーズの一人が作戦を練る中、ザウラ・クインアリュトが産卵を始める。その数は秒速一個卵を産み、3秒後には雄アリ生まれた。
ザウラ・クインアリュトの生み出した雄の兵士は皆ガイラ級だった。
「おい、なんだか増えてないか?」
「増えてるというより、増えすぎだろ!」
「作戦変更、蟻を殲滅させる!」
スマッシャーズの戦いが今始まる。
一人目はアドバンスドアーセナル社の剣を振り、ガイラ・アリュトに切りかかる。
二人目もアドバンスドアーセナル社の剣に魔力を流し込み一振りし、ガイラ・アリュトに一撃を与える。
三人目はアドバンスドアーセナル社の棍棒に魔力を流し込み振り回し、ガイラ・アリュトに強めの一撃を与える。
四人目もアドバンスドアーセナル社の武器、ナイフに魔力を流し込みガイラ・アリュトに切りかかる。
五人目はアドバンスドアーセナル社の大斧に魔力を流し込み強く叩きつける。
六人目はアドバンスドアーセナル社のハンマーに魔力を流し込み強烈な打撃を与える。
「なんでスマッシャーズの武器は壊れないんだ?」
春は感染しながらふと疑問に思った事を口にする。
「成分の分析で金属はタングステンを使っているみたいだね」
タングステンは最も硬いとされる金属ゆえに壊れにくい武器の素材として使われているようだ。
地球上ではもっとも頑丈であり、信頼される金属ではある。
しかし、歌って踊って戦えるアイドル、スマッシャーズの攻撃はガイラ・アリュトに傷一つついていなかった。
スマッシャーズは今の状況を見て言葉を発する。
「どうして傷がつかないんだ!?」
「そんなの知るかよ、とにかく撃ち込めば切れるだろ!」
スマッシャーズは目の前の敵に夢中でザウラ・クイン・アリュトが産卵していることに気付いていないようだ。
周囲の声は「クインアリュトの動き、おかしくね?」「産卵中?」「スマッシャーズは何してんだよ!」
ヤジが飛び、スマッシャーズの一人が気付く。
「まさかアリュトがどんどん増えるってのか!?」
彼らが戦ているのはアリュトではなくガイラ・アリュトであることを知らないようだ。
「増える前にこいつを叩いてクインアリュトを倒す!」
スマッシャーズの全員が武器を強く握り攻撃を加えた。
蟻型の魔物であるガイラ・アリュトは一人目の剣戟を右前足で押さえ武器を壊し、二人目の剣戟も左前足で押さえ粉砕。
三人目の棍棒は受けるよりも早く右中足で武器を蹴り飛ばし破壊、四人目のナイフによる斬撃を右後ろ足で受け止め強固な外骨格がナイフに穴を作る。
五人目の大斧を左中足で蹴り壊し、六人目のハンマーは左後ろ足で槌を貫き破壊した。
六人の猛攻をしのぐどころかわずか三秒で武器を破壊するガイラ・アリュト。
観客の様子は当然、
「ちょとやばくね?」
「もしかしてBランクに近いアイドルグループって嘘?」
「クインアリュトが産卵してる、危ない」
と焦りと不安がまじりあう。
歌って踊って戦えるスマッシャーズは武器を失い、初めて周囲を見渡す。
「何かおかしい、クインアリュトの周囲に卵が三つある」
「三つってこんな奴があと三体も増えるってことか」
「そんなの勝てるはずないだろ」
アイドルグループ、スマッシャーズは目の前の状況をようやく把握し、勝てない事への絶望を抱く。
ザウラ・クインアリュトの生み出した卵は割れ、中からガイラ・アリュトが生まれた。
「まだ俺達には魔法が残っている!」
「そうだ、俺達には希望の魔法がある!」
「蟻は蟻でも虫は虫、炎なら一網打尽にできる!」
スマッシャーズの六人は一斉に魔法を唱え始めた。
「「「「「「イル・フレイム・ボール・バーニング・フォース」」」」」」
六人が一斉にイル級魔法を唱え、現れたのは六つの巨大な火炎の玉。
その燃え盛る火炎の玉をザウラ・クインアリュトに向けて投げつける。
燃え盛る炎はザウラ・クインアリュトに直撃し燃え始めるが、ザウラ級の魔物にはあまり効果は無く、炎はやがて消えさりザウラ・クインアリュトの生存が確認され、スマッシャーズは恐怖を覚える。
「こんなの勝てるわけねぇ!」
「俺達の最大魔法六発ぶち込んで無傷かよ!」
「武器もないし、魔法も効かないなんて、絶対勝てねぇよ!」
観客達はスマッシャーズの言葉を聞いて動揺を始める。
「やはりBランクに近いなんて嘘だったんだああああああああああ!」
「私達死んじゃう!」
「こんな場所逃げるぞ!」
観客達は叫び出し、陸上闘技場の観客席から逃げていく。
その時、春は魔導剣の柄を握りしめていた。
「助けに、行きたいけど勝てるのか?」
「それを決めるのは春くんだよ」
「正直、スマッシャーズが見てくれだけのアイドルなんて知らなかったわよ。でも助けるべきでしょ」
里実は助けに行くことに賛成らしく、魔導弓を握っていた。
「それじゃあ、俺たちも行くか!」
春は魔導剣を鞘から取り出し、陸上闘技場に向かうが、テリオスが一言伝える。
「戦う際はテレビ局も来ているから、フードで顔を隠した方がいいよ」
「確かに、テレビ沙汰になったら自由が奪われるもんな」
春と里実はテリオスのいう通り、フードを被り、戦いに挑んだ。
陸上闘技場中心に春、里実、テリオス、ロウは向かい、スマッシャーズ達の前に立ち、魔導武器を構えた。
「ここからは俺たちが戦います。あなたたちは下がってください」
春は冷静に言葉を放ち、スマッシャーズを下がらせると、ガイラ・アリュトとザウラ・クインアリュトに挑む。
「行くぜ!」
春は魔導剣に魔力を流し込み、ガイラ・アリュトに向かって走り出すと、ガイラ・アリュトの攻撃よりも速く一振りで前足を切断。魔力の通りが良くなった分、切断力も上昇しているようだ。
「里実、テリオス、ロウ、援護頼む!」
春の指示に従い、里実は魔導弓の弦を掴み魔力の矢を作ると十二本の矢がガイラ・アリュトめがけて飛び出し直撃。
「アル・ウォーター・マグナム・スパイラル・ペネトレイト」
テリオスは言葉一つ一つを選び、水属性の魔法を生成すると目の前のガイラ・アリュトめがけて放ち、蟻の頭を貫通させた。
「ガウッ!」
ロウは前足で地を叩くと地面から結晶が現れ、ガイラ・アリュトに止めを刺す。
「まずは一匹!」
春達の猛攻は始まった。
入手マテリアルオーブ
火0水0地0風0光0闇0無0雷0
現金56万
テオリアでは1万3000ゼル
所持アイテム
メントドリンク4本
スピリアルドリンク10本
アブレコドリンク6本
パナシアスドリンク10本
リジェネスドリンク10本




