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20・テオリアの鍛冶師

地球人にテオリア人が付き添う理由は、地球人だけでは戦力不足。

メインは地球人に手を貸すことで年に一度行われる七聖祭で行う祝福候補者に選ばれるから。


 春達は迷宮から抜け出し、一階層の入り口までテレポートした。


「この後、どうする? 地球に帰るのもなぁ」


 春は100個のマテリアルオーブを見ながらこれまでの時間を思い起こす。


 わずか数日だがテリオスと待ち合わせ、初心者迷宮からカンドルの迷宮へ、そしていくつもの魔法や技を覚え、戦闘経験を磨いてきた。


「地球に帰らないと昇級できないのが、面倒な制約だよな」


 春が愚痴をもらす。地球人は地球でしかランクを上げられないのだ。


「確かに面倒だよね。テオリアでランクが上がるなら、もっと楽なのに」


 テリオスも地球側のルールには不服であった。


「列車で地球とテオリアを行き来するのはいいけど、駅の場所が決まってるのが悪いのよ」


 嘆く里実。春と里実の生まれ育った町の駅から列車に乗ると、テオリアのエルダムに着く。始点と終点は決まっているため、降りた駅でしか帰還出来ない。そのため中々遠くには行けないのである。


「まぁ、仕方ないか。そういう運命だもんな」


 田舎から都会まで簡単に行けるわけでもないことを知っている春達は、少し諦めムードに入りつつもカンドルの町に戻った。


「とりあえずカンドルの町でも有名な魔導鍛冶師に会いに行くことをお勧めするよ」


 笑顔で次の道を示すテリオス。


「あぁ、そういえば強化用の石を手に入れたのすっかり忘れてたな。うっかりしてたぜ」


 春は片手で頭をかきながらデバイスを手にすると、マップ機能を使おうとしたが、


「ガウッ!」


 とロウが軽く吠え、街中を歩きだした。


「ロウが案内してくれるのか! えらいな!」


 春はロウを褒め、頭を撫でる。狼のロウは春の行動に「クーン!」と喜びを声と態度で示し、魔導鍛冶師のもとへと案内する。


「これから行くところはドルフト・ワイゼルフさんが鍛冶をするお店で優しいんだけど、お金にがめつくてね。でも腕はテオリアでも1、2を争うほどの腕前だよ」


 それを聞いた里実は無駄遣いをしないために交渉を決意する。


「鍛冶師なら、割引交渉もありなんでしょ、ワクワクするわね」


「里実、欲が丸出しだぞ。テオリア1の鍛冶師にどんな交渉するんだよ」


 春の言葉に里実はニヤリと笑う。


「まぁ、鍛冶師のところに着いたらわたしに任せなさい」


 里実は強気の姿勢を見せる。里実の交渉術よりも口論になり争いに発展しない事を祈る春とテリオスだった。


 何せ金が絡むと欲望が表に出るタイプだから。


「でもさ、有名な鍛冶師なら町外れに居ると思ってたけど、ロウの後を付いて行く限り、町中の真ん中に来てない?」


 春の口から疑問が現れる。名のある鍛冶師なら外の森の中に住んでいたり、偏屈爺さんであったりする。


「春くん、マンガの読みすぎだよ」


 とテリオスは答えると、ロウは「ガウッ!」と吠えて到着を知らせる。


「ここが有名な鍛冶師の場所かぁ」


 春は見上げるとドルフト鍛冶工房と書かれた看板が目に入った。


「ドルフト、って鍛冶師の名前?」


 鍛冶職人は自分の名を店名に付けるという例があるため、春はドルフトという人が鍛冶職人なのだろうと考えていた。


「そうだね。ドルフトさんが鍛冶をしてるよ」


 テリオスは答えると店内に入っていく。春達は後を追い店内を見渡すと武器の数があまりにも少なく驚きを隠せない。


 だが奥からは熱気があふれており、金槌で叩く金属音が響き渡る。


「鍛冶師がこの奥にいるんだよな」


 春は里実を連れて奥に進む。


「ごめんください、ドルフトさんは居ますか?」


 居るからこそ音が聞こえるのだが、お邪魔します感覚で挨拶をすませ、扉を開けた。


 ドルフトは金属を窯に入れ、一本の剣を作っていた。その炎は地球上の金属を溶かすほどの火力で熱気は部屋全体を熱くさせ、春と里実は汗がだくだくになっていく。


「あなたが有名な鍛冶師のドルフトさんね。わたしは筱咲里実(しのざきさとみ)、地球から来たの」


 早速、金にがめつい里実が交渉に乗り出す。


「有名ってことは、結構高いんでしょ。だから、わたし達と契約しない? 第一に、地球人と手を組むことで得られる恩恵があるわよね。第二に強化一回で一個使うなら、強化された武器を使いこなせるか解らないの。だから残った素材をあげるわ。第三にエルダムでしか帰還出来ないから、希少なものが手に入ったら地球に帰還する際にあなたに上げる。これで安くしてくれるかしら?」


 里実は自分のペースでスラスラと伝え、相手に有利な交渉を持ち掛けていたが、第三の交渉こそが本命だった。どれが希少価値のある素材か解らないため、最初から上げる気がないのだ。


 青いラトグラム鉱石と赤いマトリウム鉱石と緑のルナテウム鉱石をドルフトの前に出す。しかしドルフトは其の交渉に興味はない。


「ワシに交渉せずとも、お代はすでに貰っておる。おぬしらの武器はワシが造り、テリオス殿に購入してもらった物だ」


 すでにテリオスが全て用意していたのだ。


 それを聞くと、春達はテリオスから貰ったことを思い出す。


「ドンマイ♪」


「ガウッ♪」


 テリオスとロウは里実の肩に手を置いた。


 真実を知った里実は交渉術が無駄になったことで顔を赤く染める。


「この武器、そういえばテリオスから貰ったものだったな」


 春は大事に魔導剣を取り出し、美しい刃を見つめる。


「じゃあ強化お願いでき……ますかな?」


 と春は少し言葉遣いを変えた。


「そろそろ来るだろうと思って、すでに用意しておる。武器を置くとよい」


 春達は言われた通り武器をテーブルの上に置く。


 魔導剣、魔導弓、魔導杖を置くとドルフトは武器を見て一言。


「数日経つがよく使いこなしておるようじゃな。春と里実と言ったか、お主達なら強化しても武器は喜ぶじゃろう」


 そう言うと、ラトグラム鉱石、マトリウム鉱石、ルナテウム鉱石を三つずつ掴み、強化するために職人魂に火が灯された。


 グリップから外された魔導剣を炉に入れ、砕いたラトグラム鉱石をふりかけて槌で叩くと魔力の流れを上昇させている。魔力の流れが変わっていくことに見ている側からも気付く。


 次にマトリウム鉱石を砕き、赤く熱された魔導剣と共に槌で叩くと輝きが上昇していくのを感じた。


 最後にルナテウム鉱石を砕いて槌で叩いていた。魔導剣の強度が上がり今までよりも頑丈に生まれ変わっていく。


「ただ叩いてるようにしか見えないな


 春は見た限りの感想を述べた。


「普通ならそう見えるよね。でも剣を炉に入れた後、砕いた鉱石の力の入れ場所で善し悪しが決まるんだよ」


 テリオスは鍛冶師の仕事について語る。


「よし、出来たぞ」


 ドルフトは魔導剣、魔導弓、魔導杖の強化を済ませると春達に手渡した。春は魔導剣を握り、魔力を少し流し込む。


「見た目は変わってないけど、魔力が今までよりも大量に流し込めるぜ!」


「確かに、今までよりも魔力量が段違いだわ!」


 春と里実は強化された武器を手にして喜んだ。





入手マテリアルオーブ


火2水6地8風2光2闇4無31雷45



入手鉱石

青いラトグラム鉱石12個

赤いマトリウム鉱石12個

緑のルナテウム鉱石12個


所持アイテム

メントドリンク5本

スピリアルドリンク10本

アブレコドリンク6本

パナシアスドリンク10本

リジェネスドリンク10本


乗り物

ライド・フォートレス・アルテミア号

6人乗りの魔巧ビークル

水陸空の移動が可能なマシンでBランク以上の探索者しか購入できない

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