19・ガイラ級と雷と欲望と
春達は順調に地下へと進み、最下層にたどり着く。
「ここがカンドルの迷宮最下層か」
周囲を見渡す限り白く明るい空間だった。ただ奥にいるのは40体の魔物と大きな魔物2体だった。
「あれはフォレグスマウルとガイラ・フォレグスマウルだ!」
四足歩行で動く40体の魔巧兵フォレグスマウルは一斉に春達へと視線を向けると、一体一体が激しい金属音を鳴らしながら近付いていく。
「これだけ倒さなきゃいけないのかよ」
とため息まじりの一言を放つと魔導剣を抜き、構えた。
「地球環境のためよ、頑張りましょう」
里実は魔導弓を魔巧兵フォレグスマウルに向ける。
春はすぐそばのフォレグスマウルに挑み、横一閃の一撃を与えると再び魔導剣を構え、縦一閃。この一撃で一体を仕留めると次のフォレグスマウルへと近付いた。
敵に攻撃の隙を与えないように接近しては魔導剣に流れる魔力を研ぎ澄まし一撃を与え続ける。
「このまま一体ずつ倒していくぞ!」
春はテンションが上がり、魔導剣に大量の魔力を流す。
春は縦に一撃一振りで仕留めるが、奥に潜むフォレグスマウルは攻撃態勢に入っていた。
「あと何体だ!?」
「三十体以上は残っているわよ」
フォレグスマウルは電気を溜めて春と里実に向けて放つ。その電気は圧縮されており、秒速150キロの雷速で二人の間を通り過ぎた。
春達は額から汗が垂れ、発射先に素早く目を向けると、第二射を放つ準備をしていた。
「撃たせたら俺たちが死ぬ!」
春は魔導剣を握りしめ、フォレグスマウルへ向かう。
「喰らいなさい!」
里実は魔導弓から魔力の矢を放ち、電気を溜め込むフォレグスマウルに一撃を加える。春は魔導剣を縦に振り、フォレグスマウルを切断した。
「奴らに攻撃させるな! レールガン喰らったら確実に死ぬ!」
「当たり前よ! こんな場所で死にたくないわよ!」
二人は会話をしながらも攻撃を続けていた。
そのころ、テリオスとロウはいつものようにテーブルを出してドリンクを飲みながら見学している。
「そろそろ自分も手伝ってあげるべきだと思うんだよね」
「ガウッ!」
テリオスは魔導杖を掴むと一つの魔法を発動する。
「アル・ファイア・エッジ・グラント」
テリオスの持つマトリクスプレートに魔法陣が浮かび上がり、放った魔法は春の魔導剣にエンチャントされた。
「アル・ファイア・アロー・グラント」
テリオスが放つ第二の魔法はマトリクスプレートに記録されており、光輝きながら里実の魔導弓にエンチャントした。
「魔導剣に火が付いた!?」
「魔導弓の矢に火が付いた!?」
春達は炎が付与された魔導武器に驚き、初めての魔法付与に目が飛び出ていた。
「これってテリオスの魔法だよな。ありがとう!」
「これで一網打尽に出来るわね!」
二人は強気になり、魔導武器を集団のフォレグスマウルに向けた。
春は魔導剣を一振りすると、付与された炎の熱で魔巧兵フォレグスマウルの装甲を溶断する。
里実の魔導弓に付与された炎の矢を放ち、集団の魔巧兵フォレグスマウルの装甲に貫通を与え、動きを止める。
「このまま行くぜ!」
春達は完全に無双状態となり、武器を振るう。
魔導剣の一振りで溶断、魔力の残滓が赤く残り一閃で破壊。
魔導弓から放たれる炎の矢が数体を貫通し魔巧兵フォレグスマウルを破壊。
完全に無双状態に入った二人だが、魔巧兵は恐れを知らずに戦いを挑む。
魔巧兵は電磁射出口を春に向けると電磁加速で電撃を放つ。
「ぐぅ!」
春の隙を狙って狙撃。電撃が直撃し、両手にしびれを与える。
「春!」
魔巧兵フォレグスマウルの攻撃を見た里実は春にアブレコドリンクを開けて春の口に投げると吸い付くように咥え飲み干すと、しびれが回復した。
「ありがとう、里実ちゃん!」
里実にお礼を言うと、春は魔導剣に魔力を流し込む。
「喰らえ! アズールリムーバー!」
アズールリムーバー、蒼穹を穿つように魔巧兵フォレグスマウルの集団を一掃した。
「あとはガイラ級の魔巧兵フォレグスマウル2体のみ!」
春達は巨大なガイラ級の四つ足歩行の魔巧兵に戦いを挑む。
「春くん、里実ちゃん、がんばってね」
「ガウッ!」
テリオスとロウは応援に徹していた。
「まずは一対一に持ち込もう」
「そうね、二人で相手をしても狙われるだけよ」
二人は別れてガイラ級の魔巧兵の相手をすることに。
「近くで見るとデカいな」
春は魔導剣を握りしめると戦いを挑む。
「はっ!?」
春は一瞬の光を見逃さず魔導剣を盾にした。
魔巧兵ガイラ・フォレグスマウルは今まで手を出さなかったのは電気を溜めこんでいたから。その電気は電磁砲となり春に向けて発射された。
一発、二発、三発と春に向けて放たれるが盾として扱われた魔導剣に直撃し、三発とも防がれる。
「危ねぇな、おい!」
一歩間違えていたら直撃していた。これは偶然なのか必然なのか、春の思考と反射と行動が同時に行われ、未然に防いだ。
「そっちがその気なら、一撃で死止めてやるよ!」
春は魔導剣に魔力を流し込みアズールリムーバーを放つ。魔巧兵ガイラ・フォレグスマウルも電気を溜めて電磁砲を放つ。この二つがぶつかり合うも春は魔導剣に魔力をさらに注ぎこみ威力の底上げを行う。
「いけええええええええええええええええええええ!」
アズールリムーバーは空を穿ち切り裂きながら電磁砲を穿ち魔巧兵ガイラ・フォレグスマウルに直撃、爆発四散した。
里実と魔巧兵の戦いの勝敗は明白だった。
「容赦はしないわよ、金の素!」
注意・味の素ではありません。
里実は魔導弓を構え、覚えたての技を魔巧兵ガイラ・フォレグスマウルに向ける。むろん、魔巧兵も溜めこんでいた電磁砲を里実に向ける。
「お金以外は喰らいなさい!」
里実は魔導弓からダスク・プリデイションを放ち、魔巧兵は電磁砲を放つ。
里実の放ったダスク・プリデイションは夕暮れを喰らう龍のごとく魔巧兵の電磁砲を捕食しながら魔巧兵ガイラ・フォレグスマウルを丸ごと食い尽くし、爆発四散させた。
さすがというべきかテリオスが教えた技なだけある。
「ふぅ、こっとは何とかなったわね」
一息ついているところに春が傍に近づく。
「こっちも終わったぞ」
「無事だったのね、良かった。マテリアルオーブを拾いましょう」
春達は床に散らばった魔巧兵たちからマテリアルオーブをかき集める。
貴重な雷属性のマテリアルオーブが42個も集まり、里実の瞳が¥から$に変わっていた。
「マテリアルオーブは100個だね。これでEランクからDランクに昇格出来るよ」
テリオスは笑顔で伝える。
「ガウッ!」
ロウも喜びを表す吠えを聞かせる。
「やっと昇格か、永かったような、短かったような」
「短いわよ。雷属性のマテリアルオーブが45個も手に入るなんて、地球に持ち帰ったらいくらで買い取ってくれるのか、楽しみだわ」
つくづく金に目がない里実。
「じゃあ迷宮から出ようか」
テリオスの案に春達は賛成し、迷宮から脱出した。
入手マテリアルオーブ
火2水6地8風2光2闇4無31雷45
入手鉱石
青いラトグラム鉱石15個
赤いマトリウム鉱石15個
緑のルナテウム鉱石15個
所持アイテム
メントドリンク5本
スピリアルドリンク10本
アブレコドリンク6本
パナシアスドリンク10本
リジェネスドリンク10本
乗り物
ライド・フォートレス・アルテミア号
6人乗りの魔巧ビークル
水陸空の移動が可能なマシンでBランク以上の探索者しか購入できない




