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4 街

 ひとまず俺は街の中に入ることができた。

 まずは第一ミッションクリアといったところか。

 これで外で野垂れ死ぬことはなくなったな。


「うーん、なんかいい感じだな」


 門からししばらくした所を歩いているのだが、街の景観が中々悪くない。建物も区画整備されており歩きやすいし、色んな店もある。歩く人も真顔の人もいるが笑っている人もいて治安もそんなにアレということはなさそうだ。


「よし、テンション上がってきたぞ、まずはこの街で過ごしていけるように頑張ろう。そうなるとやっぱり衣食住だよな」


 その他にも考えないといけないことは沢山あるだろうが、それは最低限のことが保証されてからだ。腹が減っては戦はできぬというしな。食料と寝床は絶対に抑えておかないとダメだ。


「でも食べ物を買うにもお金がいるか……」


「お金持ってないんですか?」


「なんとか稼いでいかないとダメだよな……」


 問題はどうやって稼ぐかだ。ひとまず一日の生活資金が集まればそれでいい。となるとやっぱバイトとかかな。少し前に知り合いのお酒屋さんでバイトさせて貰ったことがあるが、時間さえ捧げればそこそこのまとまったお金は手に入るということは学習済みだ。そういった職業を探してみようかな。


「因みに私は一アポロも持ってません。最近はあえて自給自足の生活を送るというのをやってまして、それでどういったイベントが発生するのか実験中なんです」


 隣で何か言ってる奴がいるが、そんなことどうでもいい。

 でも異世界にまできてバイト生活ってなんかパッとしないよな。どうせならいろいろな場所を巡ったりスリルある冒険をしてギリギリの興奮を味わってみたりしてみたいところだよな。


「そういやこの世界モンスターっているのかな……」


「魔物なら至るところにはびこってますね。その魔物を狩る冒険者という職に付いて生計を立てている人なんかも結構いたりします」


 なるほど魔物か……いやいや、別に言うことを聞くとかいうわけではないけど、そうかなるほど、冒険者という職業があるのか。どんなものか一回体験しとくのもありかもな。なんとなく俺の趣向にもあってる気がするし。


「……冒険者の働く所って、どこにあるのかな……」


 俺はチロリと横を見ながら呟いてみる。


「この街にもありますよ。冒険者は冒険者ギルドという機関に所属してまして、そこが仲介役となり依頼だったり任務だったりを受けて賃金を得ています。ギルドは国から独立した機関でして世界中のいたるところに支部が存在してますね。ある程度の規模の街には大抵あるイメージで、格ギルド間で連携を取りながら魔物の排除に取り組んでるんですよ」


「……ふーん」


 なるほど、冒険者ギルドってところがあるのか、まずはそこを目指してみるのも手かもな。勝手とかはイマイチ分からないが、まぁ俺の場合少し稼げればいいわけだし、なるようになるだろ。


「となると、こっちかな」


 向こうの道の方が人の往来が盛んなようだし、街の中心に近いのだろう。あっちの方向にある確率の方が高そうだ。

 俺はその方面に向け歩き出した。


「あぁ、そっちは逆ですね。ギルドはあっちの方向です」


「……」


 と思ったがやっぱり違う気がする。

 逆の方向にありそうだ。


「やっぱりこっちだな」


「ああ、そっちじゃなかったです。やっぱりさっきの方向で合ってました」


「……」


 と思ったがまぁいいや。最初の勘を信じて行ってみてよう。


「ああ、そっちも違いました、実はさっき来た道が正解でした、すみません」


「……」


 やっぱり引き返すか。


「というかこの街に冒険者ギルドなかったです。ごめんなさい」


「なんだんだよさっきからッ!」


 あまりに振り回すことをするのでついキレてしまった。


「やっと私を見てくれましたね」


「冒険者ギルドはあるのか? 白黒ハッキリさせてくれよ、全然分かんないわ!」


「なんですか? 私の意見を参考にしてるということですか? なんかお一人で探してやるぜみたいな雰囲気でしたけど」


「べ、別にあんたに頼ろうとか思ってるわけじゃないけどさ、後ろから凄いなんか言ってるから流石に相手にしないわけにはいかないというか」


「もう、素直じゃないんですね、でもいいですよ。私なんてゴミクズ当然と思って貰って、いいように使って貰えたら」


「……ぐっ」


 た、たしかにちょっと冷たくしすぎた部分はあったかもしれないな……せっかく後ろからちょこちょこ教えてくれてるのだ、もう少し相手をしてあげてもいいのかもしれない。これだと俺がただ無視をしてる性格の悪い奴みたいになってる気がするし、思えばこの子が何か悪いことをしたというわけでもない。


「いや……まぁ教えてくれるのはシンプルに助かるというか……」


「まぁそうだったんですか。早くそう言ってくださいよ。それでしたら進んで案内いたしましたのに」


 彼女は凄くいい笑顔になって喋り初めた。

 なんか釈然としないな。


「この街に冒険者ギルドはないんだよな?」


「いえ、ありますよ。私が最初に示した方向にあります」


「なんなんだよ!」


「いや、ついからかいたくなったといいますか、拙い乙女心によるものです、分かってください」


「全然わからん」


 その後結局彼女の案内で冒険者ギルドに連れていってもらうことになった。

 あーあ、結局この人と一緒に行動するしかないのか、はぁ、なんだかな。

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