表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こころよ うたえ  作者: 楓川
1/1

1-1

 

 ――残響が聴こえる。

 うねりのように重なり合った音はステージから解き放たれて、時には反射を繰り返しながら拡散し、やがて力尽きたように虚空へと飲み込まれていく。

 誰もが音を発せられない、まさに神の時間とも思える一瞬の緊張。

 音の余韻が消えていくにつれて、誰もが現実に引き戻される。

 どこからか手を叩く音が生まれ、すぐに拍手となって空間全てを埋め尽くす。

「……そろそろか」

 未だ鳴り止まない音が俺の元まで届く中、抑えられているがよく通る声が耳に入る。

 ここは仄暗く、最後尾付近にいる俺の場所からでは、声の主が誰なのかは確認できない。

 ただ、俺を含め全員がたった一人に身体を向ける。

黒のタキシードに身を包んだ姿は、同性ながら何度見ても様になっている。



 言葉にされたことで、今一度感慨深くなる。

 周りを見渡してみれば、皆も俺と似た表情で耳を傾けていた。

 そうだ、俺たちはここまで来た。言葉は発さずに、相槌を打つ。

「」

 思えば、随分と離れたところまで来たものだ――

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ