太陽と星について
難しい
「色について」
色とは音とよく似ている。火の燃える音、水の音、石を土を踏んだ音君は聞き分けられるだろ?
音の高い低いやリズムと同じ、結局は識別の為のものさ。目も耳も鼻も舌も、感じるとは「それが何か?」を考える為の物なんだ。
火の色が赤
水の色が青
草の色が緑
土の色が茶色
石の色が灰色
君の肌は肌色で
歯の色は白だね
黒は色が見えない夜の色さ、今君が見ている色かもしれない。
色により分かたれた色々な物が目の前に広がる。それが<風景>だ。昼に歩けば太陽の光に照らされて、色々な色と風景がある、風景は色々な色の寄せ集めで、音を集めた音楽に近い。夜に歩けば太陽が隠れた暗い世界さ、辺り一面真っ黒で、手探りで歩いてゆくしかない。
さぁ、太陽と星の話をしよう。
「太陽の話」
見るっていうのは、いつでも出来る事じゃないんだ。壁越しで音が聞こえないようにね、色が消えてしまう事がある。色を消してしまうのが<闇>っていうよ、夜の色だ。…でも本当はそうじゃない。色は消えるというより<光>に生み出された物なんだ。…音が壁に跳ね返るように、光という波が物に当たり、跳ね返ると色になるんだ。
この光という波は、色を生み出す者は簡単に作る事が出来ないんだ。赤い炎は光を出す、雨の日の雷は光を出す。そして…毎日空に昇る<太陽>が光を生み出して、世界中を半分だけ色づけるんだ。それが昼だよ。
太陽は昔から空に昇って、また隠れて…手の届かないようなずっと遠くから、毎日世界に昼を届ける。多くの人が神様として崇めてるんだ。太陽は色だけじゃなくて、暖かくてね。
さて、星の話をしよう。
「星の話」
触らずに見えると言ってもだ、何処までも遠くが見えるわけじゃないし、暗い夜には見えなくなる。でもね星は違うんだ、色で溢れた昼には見えない、有り得ないほど遠くの物さ、不思議だろう?解らないだろう?気になるだろう?
色は白だね、大きさはゴマ粒みたいに見えるよ、油断して落としたら見つからないね。
音に例えると、静かな夜の虫の声かな、騒がしい昼には気付かなかった小さな小さな音楽だ。
太陽が照らす色とりどりな昼間、太陽が消えて…色も無く冷たい夜だ、夜は恐ろしい時間なんだ。目で見て歩く人達は杖を使って歩けないから…皆夜は家から出ないで。小さな火で家族の顔を見て過ごしたり、スヤスヤ眠りにつくんだよ。だけれど…夜にもさ、星があるんだ。僕は夜も嫌いじゃないよ。
さぁ今日のお話はここまでだ。と言っても、君に見せたい物は見せてしまったよ。
明日はそうだな…本当に見るという事を話そうと思う。
先生がカーテンを閉めたので、私はいつもの挨拶をする。
「おやすみ先生」
「おやすみナデル」
先生のお話はとても楽しい、見えない世界は見えないままに、だけれど少し解った気がする。
先生が夜に帰ってしまうのは、帰り道に苦労しない為なのね。
色が消える前に家に帰って、そして小さな火を灯し…きっと誰かの顔を照らす。
先生は夜も好きだと言ったけど、私は少し…夜が嫌いになのかもしれない。
私なら夜も昼と変わらず、きっと歩いて行けるのに…
世の中は不思議に満ちている。
次でラストの予定