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特捜班15

タクシーの悪魔

作者: だいー

警視庁捜査一課15係の刑事たちは都内で連続して発生した「タクシー運転手殺人事件」の犯人を逮捕して打ち上げをしていた。刑事の有本幸子は「イヤー、色々ありましたけど、無事犯人を逮捕できてよかったですね、主任!」と主任の鳥飼冴子に話し掛けた。冴子は幸子の方を見てクスッと微笑むと「そうね、でも無事、犯人の鳥栖新一(とすしんいちを送検できてよかったわ。皆、ご苦労さま!今日はジャンジャン飲んでいいわよ!」と幸子たちに云った。幸子たちは喜んで「はい!有難うございます!」と云った。


そんな中、埼玉県川口市で個人タクシーの運転手 犬鳴通(いぬなきとおるは客の頼んだ目的地を不思議がっていた。客は帽子にマスクにコートという黒ずくめの人物で、性別も判らない。客の言うには「知り合いの自宅に行ってくれ」ということだったが、いざ行ってみるとそこは、工事現場であった。犬鳴は不思議に思って訊いた、「お客さん、どうしてこんな__」すると、犬鳴の首に刃物らしいのが刺さった。犬鳴は、自分がなぜ、刺されたのか判らないまま死んだ。客は、犬鳴が死んだのを確認すると、ドアを開けてタクシーから離れた。


現場に駆けつけた埼玉県警の清水警部補は、ハンドルにもたれかかった犬鳴の死体を見て、「首をナタみたいなもので殴られているな。切断寸前まで、切られている。」検視官は、「後ろから殴られたのでしょう。」と云った。清水は検視官の話を聞くと「待てよ、確か警視庁の捜査一課がこれと同じ手口の犯人(ホシを挙げていたはずだぞ。」と云った。清水の部下の日下部刑事は「まさか、じゃァあの事件は真犯人がいたと、言うことですか?」と云った。清水は「一応、担当刑事に話を聞く必要があるな。」と云った。


「失敬な!私達は、ちゃんと証拠をもとに鳥栖を挙げましたよ!」と冴子は声を荒げた。その勢いに、15係の刑事たちは冴子の方を向いた。電話を切った、冴子を見ると幸子は、「鳥栖が、どうしたんですか?」と聞いた。冴子は、「埼玉県警の清水っていう刑事からだったわ。鳥栖の手口に似たタクシー運転手殺しが川口市で起きて、そっちの捜査に手違いがあったのかっていう電話だったわ。」と云った。それを訊いて15係の米良刑事は「ひどいモンですね、こちとらちゃんと裏付けをして鳥栖を挙げたって言うのに」と云った。冴子は、「私も、あの事件のホシは鳥栖新一に間違いないと思うわ。」と云った。それを訊いて15係の大久保刑事は「模倣犯ですかね?」と云った。冴子は、「多分、そうでしょうね。」と云った。そんな中、15係をスーツにメガネをかけた女が来た。襟には、弁護士の金バッジを付けている。女は冴子の方を見て、「あなたが、15係の主任、鳥飼冴子警部補ですか?」と訊いた。冴子は、「そうですが、あなたは?」と訊いた。女は名刺を差し出した。そこには、「指宿弁護士事務所 日置明子」と刷られていた。そして明子は「鳥栖新一の弁護を担当しているものです。」と云った。冴子は、「川口で起きた事件のことですか?」と訊いた。明子は「ええ、あなた達は、鳥栖さんを逮捕して解決したとお思いでしょうが、実際川口市でまた殺人が起きたじゃないですか、これをどうお思いなんですか?」と訊いた。冴子は、「私は、模倣犯だと思っています。」と云った。明子は冴子を睨むと「また、それですか、貴女は仮にも警視庁の警部補だ。ですから、メンツを守るために『鳥栖さんが無実だという事実から目を背けているのでは、有りませんか?」と云った。すると、幸子が「何ですって!」と明子に掴みかかろうとしたが、米良と狐崎によって抑えられた。明子は「とにかく、私は鳥栖さんを無実だと思っています。では___」といって冴子のもとを去っていった。


その夜、東京でまた新たなタクシー運転手殺しが起きた。被害者の名前は那覇収(なはおさむという33歳の個人タクシーの運転手で、東村山市の資材置き場におびきだされた後、ナタで首を切られ殺されていた。冴子は事件を電話で知った。幸子は、「主任、あの弁護士や上が『鳥栖は無実だ』って言っても私達は鳥栖が犯人で、主任の捜査は間違っていなかったと思いますよ。」と慰めた。他の刑事たちもそう頷いた。しかし冴子は黙ったままだった。


そんな中、週刊誌に「連続タクシー殺人犯、鳥栖真一は無実!? 弁護士が語る捜査一課T警部補の隠蔽発言」と言う記事が乗った。そこには目線が入れられているが鳥飼の写真もデカデカと乗っていた。コーヒーを渡した幸子は、「ひどいもんですね、私達はちゃんとした捜査をしたっていうのに、」と云った。米良は「気にすることは、ありませんよ。おれ達は正当な捜査をしただけですから、」と慰めていたが、冴子は怒り心頭だった。そして、「さっちゃん!」と有本のことを呼ぶと、「日置明子に話を聞きに行くわよ!」と、云った。


指宿弁護士事務所は、原宿駅から歩いて3.4分のところで、あった。書類を整理していた明子は冴子と幸子の二人を見ると、「これはこれは、鳥飼警部補に有本巡査、週刊誌のことで話が?」と云った。冴子は週刊誌を見せると、これはどういうことなんですか!?と云った。明子は、「私は、事実を書いただけです。それに文句でも?」と開き直ったかのように云った。幸子は「どうしてそんなに、私達をバッシングするんです?」と訊いた。明子は、「決まっているでしょう、鳥栖さんが無実だからです。」と云った。冴子は、「無実ってあんた___」と云ったが、逆に「でも、実際タクシー運転手殺しは鳥栖さんの逮捕後も続いているじゃないですか!」と云われた。冴子は、明子の方を睨むと「では、必ず川口と東村山の事件が、模倣犯の犯行だと立証しますよ、」と云った。


それから一週間後、また捜査一課はバッシングされることになった。。明子が週刊誌に「T警部補に恫喝された」とデタラメ混じりの記事を寄稿したのである。これに、冴子は「私は、日置明子が真犯人(ホンボシだと思うわ。」と云った。幸子は「やはりですか?」と云った。本人は私達を捜査から外したかったから、あんなデマを流したのよ。でも、皮肉にも私に、彼女が犯人だと気づかせることになったのよ。」と云った。幸子は、「でも立証する決め手がないじゃないですか」と云った。すると、冴子は米良を見て、「明子を逮捕するために貴方の協力が必要なの。」と云った。米良は「どういうことです?」と云った。


ある日の夜中、黒ずくめの人物が、個人タクシーに乗った。その運転手はサングラスにマスクというタクシー運転手にしては珍しい格好をしていた。黒ずくめの人物は「どうしてそんな格好をしているんです?」と云った。運転手は「なァに、一種のコロナ予防ですよ。」と云った。タクシーは目的地についた。やはり、そこはひと目のつかない工事現場であった。黒ずくめの人物はナタを持った。すると、「そうやって、犬鳴さんと那覇さんを殺したんですか?」と声がした。その声は、冴子だった。黒ずくめの人物は、逃げようとしたがそのドアはロックされていた。「もう、観念しろ。」と運転手はサングラスとマスクを取って云った。その顔は米良であった。米良はロックを解除して、黒ずくめの人物を冴子たちに引き渡した。幸子は、黒ずくめの人物のマスクと帽子を引き剥がした。その人物の正体はやはり日置明子であった。「簡単な罠でしたが、すぐ引っかかりましたね。」と冴子が云った。明子は「わ、私はまだ諦めていないわッ!あなたたちを殺してまでも逃げるわよ!」と云った。冴子は、「そうですか、でも、考えてみてくださいよ。2人のタクシー運転手を殺しても逃げ切れなかったのに、ここにいる刑事たちを殺したらもっと捕まるリスクが高まりますよ。」と云った。

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