男のバレエの恥ずかしい思い出(半分実話)
俺の名前は優人。
小学4年生だ。
俺の母親はバレエをやっていた。
しかし、俺はと言うと、当然男だからバレエなんてやりたくなかった。
あんな恥ずかしいタイツなんか履きたくない。そう思ってた。
しかし、強く母親は勧めてきて半ば強制的にバレエ教室へ通わされる事になった。
バレエ教室は男は俺1人だけ。
何とも気まずかった。
が…女子達はとても気さくで、俺のことは軽蔑せず仲良くやってくれる。
今の時代、男のバレエもそんなとてつもなく珍しいわけではないからだ。
練習着も、そんなぴっちりもっこりの白タイツとかではなく、少し緩みのある黒タイツとTシャツ姿で問題なくやらせてもらい、実際のところまんざらでもなくなってきていてた。
一方で、女子は全員統一で白タイツと黒レオタードである。
正直この女子のレオタードやタイツ姿は目の保養にもなってた。
それもモチベーションではあった。
白いタイツに締め付けられた太ももやふくらはぎ、そしてレオタードに締め付けられた股間とお尻、高学年の膨らみかかったおっぱい…体のラインが全てくっきり強調される。
そんな姿の女子達に囲まれながらのレッスンだ。
そして、真面目な話、
身体も柔らかくなり、基礎体力も身についてきて、何だかんだで6年生まで続けてこれた。
しかし、俺は一つだけ周りの女の子と違うところがあった。
それは、毎年年に一回開かれる、街の一大行事の発表会には一度も出ていない事だ。
発表会は、バレエ教室のメンバーが一体になって統一の特別衣装を着て、それなりの規模のホールで本格的に地域の人たちの前で披露する一大イベントなのだ。
しかし、そこに男の俺が1人入るとやはり浮いてしまう。
毎年皆、白タイツに白いパンケーキチュチュのレオタード姿でお揃いで白鳥の湖の演技するのだ。
※パンケーキチュチュのレオタードとは…チュチュというのはヒラヒラのスカートみたいなやつのことで、それがパンケーキのような形…すなわち普通のスカートのように垂れ下がってるものではなく、横向きに広がってるチュチュが付いたレオタードだ。
そこに男の俺が混ざるとなると、同じ衣装を男の俺がするわけにはいかないし、邪魔になってしまうだけ。
いや、そう言われた訳ではないが、俺自身がそう思い込んでいたので、俺は発表会の出演は自ら断り続けてきた。
もう、6年生で終わりだ。
中学からはバレエを続けるつもりもないし、親も俺にはそこまで情熱がないのが分かったようで、これから先までは強要してこなかった。
小学生のうちにいい基礎体力の構築になった…そんな程度に考えていた。
しかし、俺が6年生の最後の発表会シーズンになった時、バレエの先生がこんな事を言ってくれた。
2年間頑張ってきた優人くんを、何とか最後くらい発表会に出させてあげたい…と。
練習は一緒にやってきてるから踊れることは踊れるのだ。
しかし、演技的にはやはり全員統一の衣装でないと違和感がある。
男の俺には無理なんだ…
すると驚きの一言が…
先生から「当日は女の子として発表会に出てほしい」と言われました。
それはすなわち、女の子と同じ衣装を着てくれ…と言う事である。
バレエの感性としては女の子として出る…というのはあり得ない感性ではない…
が俺はなかなか受け入れられなかった。
しかし、俺は先生の熱意に圧倒され、今回は断れないでいた。
すなわち、練習も俺が入る前提でフォーメーションも組まれて続けられていた。
そして、あっという間に発表会3日前。
先生から、「衣装はもう準備してあるから」と、手渡される。
周りの女子達と全く同じ衣装。女の子用の白いパンケーキチュチュのレオタードと、女の子の白タイツと、バレエシューズとファンデーションまである・・・
横にいる女子達も流石に、少しジロジロ見ている。優人くんも私たちと同じ格好するだ…って感じだろう。
レッスン中でも男一人だけだからいつも恥ずかしい気持ちなのに、
こんな俺が、女の子のチュチュ付き衣装着ちゃうとどんなふうになっちゃうのか…
まだ着ていないけど、着たらたぶんきっと恥ずかしくて体が震えそうだ。
こんな気持ちで発表会に出るのはよくないと思っている。
しかし、もう自分も含めたフォーメーションの練習を続けてきて、3日前に迫ってる。
今更後には引けない。
親はぜったい発表会は出た方がいいよって言って喜んでる。
やるしかないようだ。
俺は更衣室で試着するよう命じられた。
まずは服を全て脱いで、最初に取り出したのはサポーターだ。
いわゆる女の子の下着のような逆三角形のベージュのパンツだ。お尻はTバック、前は深いハイレグでぴっちり。
普段はこんなのも履いてないで、スパッツだけだったが、今回は白タイツに白レオタードなのでこんなサポーターを履くのだ。
この時点で既に、女物の下着をつけてるようで何だか変な気持ちになる。
そして、いよいよ白タイツ。
片方ずつ脚を通して、パチンパチンと鳴らしながら少しずつ引き上げて股間へ持ち上げていく。
そしておへそのあたりまで持ち上げると、かなりぴっちりで、股間もお尻もぴっちり締め付けられる。
普段横目で見てる女子達の白タイツ。これを自分が履いてる…タイツを履いてしまえば脚の曲線はまるで女子のようだ。
なんだか自分が女の子になってしまった気分。
そして、いよいよ、パンケーキチュチュのついたレオタードを着る。
レオタードに脚を通して、股間まで持ち上げる。腰のあたりにチュチュが付いていて違和感だ。そして、レオタードの肩紐も持ち上げて肩に通す。
更に股間は締め付けられる。お尻もぴっちり締め付けられるのだ。
サイズは何とか行けそう。
鏡を見ると、そこには白タイツに、チュチュ付の白のレオタードを着た自分が。
チュチュは裾の短いパンケーキ型なので、俺のレオタードの前の三角形とお尻の食い込みは全く隠してくれなくて常に露わになってる。
まるでパンツ丸見え状態のままのよう…
そして、白タイツによりまるで女子のような綺麗な脚の曲線。
完全に見た目は女の子だ…
男の俺がこんな格好になって、変態みたいだ…
なんて恥ずかしいんだ。
この格好で女子達の前に、公衆の面前で立たされるのか…
なんて羞恥なんだろう…
もう後戻りはできない。
恥ずかしくて出てこれない…
「優人くんまだー?」
と呼ばれる。
行くしかない…
…
俺はみんなの前に出てきた。
女子達は流石に最初は「うわーっ可哀想」って感じの顔してるのが明らかだった。
先生からは、絶対女の子にしか見えないよ。すごく可愛くて発表会は自信をもって踊ればいいからって言われた。
女子達もそれに便乗して、似合ってるよ!
優人くん当日は同じ女の子だね!
などと声をかけてくれた。
教室の巨大な鏡に映し出される自分の姿…
女子と同じ形のバレエシューズに、
脚の曲線がくっきりあらわになる白タイツ、
白いパンケーキシュシュのレオタード、
しかし顔だけは男の俺…
本当に恥ずかしい…
なんでこんな格好させられてるんだろ俺.
すると、先生はさらに俺にあるものを手渡す。
なんと、それは女子用の練習用白タイツと黒のレオタードだ。
「え?先生これは?」
「残り二日間は優人くんは女の子になりきる練習! だから女子と同じ練習着で練習ね! サイズはその衣装と同じだから大丈夫!」
「え? も、もちろん、僕はレオタードの上にタイツですよね?」
「何言ってるの? 女子と同じって言ったでしょ?」
なんと、もう明日からこの恥ずかしいシチュエーションは始まるのだった。
女子達も苦笑いをしてる。
でも先生の言う通りぶっつけ本番ではダメだよな…。しかし恥ずかしい…。
こうして、俺は明日からはまず女子と同じ白タイツと黒のレオタードで練習をすることとなった。
翌日、
俺は憂鬱になりながらバレエ教室へ向かう。
俺は更衣室で、昨日渡された練習用の白タイツと黒レオタードを取り出す。
普段女子達が着てる全く同じものだ。
これを俺が今から履くのか…
俺は渋々服を脱いで、そしてまずはTバックのアンダーショーツを履く。
そして…
やはり、先にレオタードを着たい。
その上にタイツ…
男はそれが普通だろ!
しかし…俺は今日から女の子なんだ…
第一この白タイツは、上に履く用じゃないから、
縫い目などが不自然で、どっち道男子のような履きこなしはできない。
俺は渋々白タイツから履き始める…
パチン、パチン…と少しずつ引き上げて、そして股間まで持ち上げる。
更にその上から黒のレオタードに足を通す。
体をくねらせながらレオタードを股間まで持ち上げ、
そして思いっきり引っ張って肩まで持ち上げる。
なんと、鏡には、
いつも目の保養と思いながら見てた女子の練習用姿の自分がいる…
女子と違うのは股間が少しもっこりしてる事だ。
なんて情けない姿なんだ…
男の俺がこんな姿に…
俺は恥ずかしがりながら、練習場へ出てくる。
そこには、俺と同じ格好の女子達が沢山いる。
女子達「……」
という反応…
本当に恥ずかしい。
先生「優人くん似合ってる似合ってる! じゃあ今日から女の子として練習ね!」
俺はまだ自分が女の子と受け入れられない。
だが、やるしかないのだ。
今更中途半端なことしたら周りに迷惑がかかる。
練習が始まる。
俺は今まで上下分離された練習着しか着たことがなく、この上下繋がったレオタードというのは違和感がある。
当然上半身を激しく動かすと股間とお尻が食い込む。
いつも、女子なんかはすぐレオタードはTバック状態になるのを見てるが、俺も同じようにTバックに何度もなり、やはり恥ずかしい。
この感覚に早く慣れないと…
そういう意味でも、数日前から女の子と同じ格好になる…というのは意味があったわけか。
こうして、俺は白タイツに黒レオタードという、
世間で見ればただの変態のような格好で、
2日間最終練習を行うのだった。
そして、いよいよ発表会当日。
いつものコンサート会場。
男子用の着替える部屋は設けられてないとの事なので、俺だけ男子トイレで着替えることになった。
俺はトイレの個室で、とうとうこの白タイツと白いパンケーキシュシュを着ることとなる。
そして、トイレ内には誰もいない事を確認してサッと出る!
トイレの鏡には白タイツと白いパンケーキシュシュのレオタード姿の自分が…
シュシュはかなり短く横向きについてる為、レオタードの前の逆三角形とお尻の部分は露わになった状態のままだ。
シュシュを少し下げたい気持ちでいっぱいだが、下げようとしても、またピンと元に戻る。
いわゆるワカメちゃん状態だ。
なんて恥ずかしい姿なんだ。
そしてトイレを出る瞬間!
ガヤガヤと人が来た。
同い年ぐらいの男子グループだ。
目の前には、白タイツにパンケーキシュシュのレオタード姿の男の俺が…
男子達「え…」
という反応。
俺は猛ダッシュで逃げる!
その後トイレの中からうっすら笑い声が聞こえた。
更に控え室に向かう途中、20歳ぐらいの女子グループともハチ会う。
女子達「…?」
俺はまた猛ダッシュですれ違い逃げる。
「え? 男の子? 気のせい?」
と後ろから聞こえた。
事情を知らない人からしたら、俺はただの変態だ。
屈辱的なことこの上ない。
でも彼女ら彼らは、この会場にいるってことは、十中八九この後の俺たちの発表会もどこかの席で観ているだろう。
ようやく、俺は控え室に着いた。
ドアを開けると、そこには俺と同じ格好をした女子達が。
白タイツに白いパンケーキシュシュのレオタード姿だ。
相変わらず女子達は少し哀れみの目でチラチラ見てくる。
みんなファンデーションと化粧をしている。
先生「優人くんもファンデーションと化粧してあげるから、おいで!」
俺は先生に化粧をしてもらう。
俺は髪は男としては長く、それでいてこの格好で化粧をしてしまえばいわゆるショートヘアのボーイッシュな女の子風になった。
先生「すごい! もう完全に女の子だよ!」
女子達も、これに関しては本当に賛同してくれていた。
股間のもっこり…
これを除けば確かにほぼ女の子状態だ。
そしてみんな整列をして、最後に先生から色々とお話を受けながら呼ばれるのを待つ。
俺は身体が震えるほど緊張していた。
こんな格好で人前に出るなんて。
会場中から笑われるのだろうか…
変態の男が混じってるわーって…
で、でも少し観客席からは距離がある。
本当に男だとバレないかもしれない!
そうだ、もうとにかく女の子になり切る!
これしかないんだ!
俺は自分にそう言い聞かせ気持ちを落ち着けていた。
そして、いよいよ招集がかかる…
俺たちはこの格好で舞台の方へ歩いていく。
途中の通路でスタッフ的な人が数名いたが、特段ジロジロ見られたりしなかった。
本当に男だということ自体バレないかもしれない!
そして、舞台へ。
俺は後ろの方の配置である。
今のところ特に男だとバレていないようだ。
演技が始まる。
色々な振り付け…
これまでの練習通り順調である。
しかし、俺がかなり前の方へ出てくる振り付けがある。
そこで、俺は観客席の目の前に出てくる。
すると、会場が少し騒ついてるのが分かった。
やはり、俺が男だと分かったのだ。
小学生とは言え、もう160cm近くある6年生。
やはり、脚の曲線や骨格も女子の滑らかさとはどこか違い、そして何よりレオタードの逆三角形の股間の膨らみ…これを近くで見られてしまえば流石に男だとバレてしまったようだ。
この騒つきがどのようなものなのかまでは聞こえない。
だが確実に今俺は会場中から注目の的なのだ。
男にも関わらず、
女子と同じ形のバレエシューズに、
脚の曲線がくっきりあらわになる白タイツ、
白いパンケーキシュシュのレオタード、
横向きのシュシュの下からはレオタードの逆三角形が前も後ろもこんにちは。
前は何かもっこりしている。
その異様な姿を不特定多数の人に見られているのだ…
何とも屈辱的で恥ずかしい…
そのまま演技自体は問題なく無事に終えた。
最後の挨拶時に、マイクで喋ってる先生が、
先生「実は今日…途中から皆さんも気づかれたようですが、何と男の子が混じってたんです! 彼です!」
先生は俺を指差す。
俺は会場中に注目の的となった。
俺は軽く会釈する…
今俺のこの恥ずかしい姿を、会場中が見てるのだ…
恥ずかしくて恥ずかしくてしょうがない…
会場は騒ついている。
多分さっきトイレなどですれ違った人たちも見てるだろう。
…そして、ようやく退場となった。
控え室へ戻ると俺は慌ててトイレへ行って着替えようとする。
先生「優人くん、待って! 集合写真撮るから」
いつもの恒例だ。
恥ずかしくて、早く着替えたいのに…
俺は大勢の女子達に囲まれて、同じ白タイツと白いパンケーキシュシュのレオタード姿で集合写真を収められた…
数日後、そのホールにはその集合写真が額に飾られていた。
俺は6年生なので最前列にいる。
こんな恥ずかしい姿をしばらく晒され続けるのだ。
なんて屈辱的。
…でも発表会自体は大成功。
俺のバレエ人生も幕を閉じた。
家には女子用の練習用タイツとレオタード、
そして、発表会用の白タイツと白いパンケーキシュシュのレオタード、
これがまだ残っている。
完