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第十五節 アメリカN州支部

誕生石店デートが終わって――。気が付けば日は沈んでいた。主人公ツトムの自室にて。








「ピロリロリピロリロリ」








「!」




携帯が鳴った。


「尾坦子さんからだ」


どうやらメールのお送り主は尾坦子の様だった。


「今日はとっても楽しかったよ。大人になって、お金持ちになったらプレゼントしてくれるかなー? なーんてね! 今、電話いい? ……かぁ。暇だしいいよって返しておこう」


メールを送信する主人公。




「ピロリロリンピロリロリンピロリロリン……ピ」




電話に出る主人公。




「もしもし?」




尾坦子が口を開く。


「もしもし? ツトム君? チョットだけ、いいかな?」


「いいけど、何の用?」


「私の誕生石の石言葉、覚えてる?」




少し考えて、返す主人公。


「平和と安心と幸福、だっけか?」




「あとひとつ! 重要なのを忘れてるよ!」


「あとひとつ……?」




また間をおいて考える主人公。




脳裏にデートで見た店の説明文が浮かぶ。


「夫婦……夫婦の幸福だ!」




「正解!」




電話越しでも嬉しそうな尾坦子の表情が見て取れた。


「でね……それにちなんでだけど」


「うん」








「結婚を前提に、付き合ってください‼」








「えっ⁉」




少し困惑する主人公。


「……じゃなかった。もう、私達付き合ってるからね」


「う、……うん(一瞬、よく分からなかったけど、違和感はそこか)」


「こんな場合どういうんだろう……結婚するまで、いや、結婚してからもずっと一緒に居て下さい‼」




「あ……ハイ」




呆気に取られる主人公。


「やた! 日本語少し変だったけど、伝わったよね?」




「うん、こちらこそ、これからもずっと一緒に居て下さい」




真面目に答える主人公。


「あはは、正に誠実と愛情だね! よっしゃ! 話したいことは、それだけ。じゃあ、またね!」


「うん!」




「プツ……プープープー」


電話が終わったようだ。






「……! ! !」






何か思い出したように主人公は枕に顔をぶつけまくった。






(お、尾坦子さんと‼ け、結婚‼⁉)






ようやく事の重大さに気が付いたらしい。


(プロポーズはこっちからって約束してたけど……結婚についての話も向こうから切り出してくれるなんて‼ 行ってて良かった宝石店。学んで良かった誕生石。ビバ‼ 誕生石!!!)


少しの間枕を抱きしめてゴロゴロのたうち回る主人公。






「そうだ!」






ふと、思い出す主人公。




(このきっかけをくれたのは、スマシさんなんだ。お礼言わないと! ……待てよ、アメリカのN州に行く準備とかに追われてて忙しい身だから、電話は止そう。メールだ。メールをひとまず送っておこう)




携帯を取り出す主人公。


「アドバイスありがとうございました! 誕生石デート、うまく行きました、と。よーし、これでOKだ! 今日は寝るとしよう‼」


主人公は床に就いた。


「ブーブーブー」


狩人ラボ、爆破自室――。携帯がマナーモードでバイブレーション機能が作動している。




「よし!」




荷造りしていて、今終えた様子の爆破。


(明日はここを4時半にでる。早く寝なければ)


爆破もこれから床に就く。








――翌朝、未明。




爆破は着替えを済ませたところだった。


「よし、――行くぞ」


今回の旅は爆破の他に3名の狩人隊員が加わり、合計4名でのものとなる。






羽田空港に着いた。


まず、搭乗手続き、チェックインを行う。団体名をサラサラと書く爆破。筆跡に迷いがない。


続いて保安検査、セキュリティチェックを行う。


爆破が不安視していた、例の石が引っかかった。専門家が呼び出され、チェックを行い、なんとか審査が通った。


続いて税関検査、出国審査が行われ、ようやく搭乗口まで辿り着くことができた。






数分後、爆破を含む4名は羽田空港の国際線に搭乗することができた。ここから約9時間かけてサンフランシスコへ飛ぶ。


爆破は席に座りアイマスクをして、仮眠を摂る様だ。


小一時間が経過しただろうか。








「トントン」


爆破の肩を叩く者が一人。アイマスクを外す爆破。キャビンアテンダントがそこには立っていた。


「fish or chicken ?」




「(少し早い気はするが……)……chicken」




爆破は答える。すると――








「fish only !!!!」








あっかんべえをせんばかりの侮辱的な顔で、キャビンアテンダントは更に返した。






「ッハ‼‼‼」






爆破は気が付いた。アイマスクを外す。




『本日は――をご利用頂き』




英語で機内放送が流れている。


(なんだ……夢か……)


安心する爆破。


(少し、疲れているのかもしれないな、もう少し寝よう)






暫く寝て、ここかなといった時間で昼食を口にする爆破。爆破は鶏肉を食べている。目的地まで飛行機で飛ぶ際、目的地が遠いため時差が発生する。だから昼食はここかなといったタイミングになる。


起きて読書、アイマスクを付けて仮眠を繰り返した。








「ようやくか」


サンフランシスコに辿り着いた。


「しかしここが終点ではない……」


次はここ、サンフランシスコからラスベガスへ、国内線で向かう。国際線の時と同じく、手続きを踏んで、搭乗して行く。もう、時差は16時間ある。




約1時間半のフライトだった。




目的のN州の中のラスベガスに着いた。これから北西に、軍用車両に乗りひた走る。16時、夕方頃だった。






遂に目的地である狩人(英語名でhunter)N州支部に到着した。






こちらで言うラボから何者かが現れた。








「hi ! how are you」


「fine……」




どうやらN州支部の下っ端が挨拶しに来たようだ。軽く返す爆破。


『例のモノを持ってきた。このケースは中で開けよう』


『ワーオ! 興味深いネ。果たしてどのような効果を持つモノなのか』






『此処の支部長や隊長は?』






爆破が英語で聞く。


『こちらの支部、つまりN州の支部長、並びに隊長は近くのゾムビー発生現場を調査していマース。つまり、双方不在デース』








「⁉」








目を見開く爆破。


(調査⁉ ゾムビー事件の現場対応ならまだしも、調査程度でこの話を直接聞かないという選択肢を取っただと……舐められたものだな……)






『どうかしましたカ?』




支部の下っ端が問う。




『……いや、何でもない。中へ入ろう』


狩人N州支部へ入っていく爆破、他隊員3名の一行。研究室へと案内される。研究室に入り、『石』を取り出す。石同士近づけたら光る事や、ゾムビーが近くに発生しやすくなる事、ゾムビーが石を取り込むとパワーアップすることなどを狩人関東支部の一行は説明した。






――日本。主人公の教室にて。主人公がのんびり机に座っている。


「狩人のラボが襲撃されてから、ゾムビーがめっきりいなくなって、3カ月もたつ……でも、平和が一番だよ……ふわぁああ」


欠伸をしている。朝礼が始まった。






「起立! 気を付け! れ……」








「ガラガラッ‼ ダン‼‼‼」








「⁉」






教室の戸を開ける者が! 爆破スマシだった。








「ツトム! 私だ‼ アメリカへ飛ぶぞ‼‼‼」








第四章 完

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