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第一節 クラス替え

――4月、主人公は中学3年生となった。






「またしてもT町に出没したか! ゾムビーめ!」






爆破が言いながら走っている。爆破の後には、身体、逃隠、主人公、抜刀、そして隊員数名が続く。


「ザッ」


ゾムビーの居る路地に、一行は辿り着いた。




「ゾ……」


「ゾゾ……」




2体のゾムビーが居た。


「……覚悟しろ」


「行くゼェ!」


身体と逃隠が前に出る。




「ダッ!」


「タンッ」




二人は走り出す。






「フン!」


「たりゃアアアアアア!」






身体が右半身を使った体当たりを、逃隠が刀を使った斬撃をゾムビーに喰らわす。


「ドガァアッ」


「スパッ」


弾け飛ぶゾムビー1体に、横真っ二つになるもう1体のゾムビー。




「……バースト」




「ボボン!」


爆破は弾け飛んだ肉片と、真っ二つになったゾムビーを更に爆破させた。跡形も無く葬られるゾムビー2体。


「良くやったな、二人とも」


「いえ、隊長こそ、お見事です」


「これくらいは当然だゼ!」


会話する爆破、身体、そして逃隠。


「チッ、今回は出番なしかよ」


抜刀が不満そうに言う。


「まぁ、無事終わった事だし良いだろう。後は、清掃班に任せるぞ! 撤収だ!」


爆破の号令でその日の戦いは終わった。








――主人公のクラス、3年4組の教室にて。新しいクラスに馴染めないでいる主人公。


(いつの間にか、3年生になってしまうなんて。サケル君ともコガレ君とも違うクラスになってしまった……サケル君、勉強大丈夫かなぁ……まぁ、それはいいとして)


周りを見渡す主人公。


(知ってる人、殆どいない。休憩時間、過ごしづらいなぁ……)






「こんにちは、主人公ツトム君」






「!」


何者かに話し掛けられる主人公。


「君は……」


振り返ると巨房きょほうミノリが立っていた。


「巨房ミノリ……さん?」


キョトンとした様子の主人公。


「その巨房ってのは余計、あんまり気に入ってないんだ。自分の苗字。ミノリちゃん、でね?」


「あ……、うん。ミ、ミノリちゃん」


女子に話し掛けられるのに慣れていない主人公だった。


「クラスが変わって一緒になったんだね。修学旅行のコト、覚えているよね?」


「修学旅行? 話すらしてないような……」


気さくに話し掛けてくる巨房に少したじろんで応える主人公。


「まぁ、話はしてなかったけど、ゾムビー出た時にさ、先生達と一緒に皆が避難できるように誘導してくれてたじゃん」


「あ、その事か……」


「普通できないよ? カッコよかった」


巨房の突然の労いの言葉に顔が赤くなる主人公。


「あ、……うん。どうも」


まともに返事すらできない。


「じゃあ、そういうコトで宜しく、主人公ツトム君! あ、ツトム君て呼ぶことにするね。じゃ」


「う、うん」


自分の席に戻る巨房。


(…………)


まだ落ち着かない様子の主人公。


(初対面の女子と話すのって苦手だなぁ。修学旅行のあの件で僕の事知ったのかぁ。修学旅行、修学旅行……!)


「佐藤君!」


思わず叫ぶ主人公。キッと巨房の方を見る。


(隠し撮りに僕まで協力していたとかって噂は立たないだろうか……)


目線が顔から段々下がっていく。


(ていうか、……デカい……佐藤君が隠し撮りしたくなるのも、無理はない、……かも?)


すると、




「ブー、ブー、ブー」




主人公の携帯が鳴る。


「! (スマシさんからだ!)」


「ピッ」


電話に出る主人公。


「もしもし! ツトムです!」


「爆破だ。ゾムビーが発生した。場所は――」






「ザッ」






K県Y市のとある駅のトイレ前、狩人のメンバーが集結した。


「ゾゾゾ……」


ゾムビーが1体、うごめいている。


(敵は1体! やるぞ!)


主人公が意気込む。






「リジェクト!」「ドガァアア!」






ゾムビーに衝撃波が。しかし、


「ドムゥン……」


衝撃は吸収された。


「!」


驚愕する主人公。


「! あれは! 石の、か⁉ ならば‼」


爆破が紫色の宝石を取り出し、ゾムビーにかざす。


「カッ」


ゾムビーの体の一部が、輝き出す。


「そこか!」


抜刀が走り、光の刀を抜く。


「スパッ」


斬り抜かれるゾムビー。


「ゾ……」


斜めに崩れ始める。


「スチャ、ピッ……」


切れ目から、光の刀に石を乗せ、自分の元に放り上げる。


「パシッ」


石を手にする抜刀。


「確かに頂いたぜ?」


「よし、よくやった。セツナ! バースト‼」


「ボボンッ!」


ゾムビーを爆破させる爆破。ゾムビーの影は、もう無い。


「やりぃ! 今回は、おチビさんの出番は無かったようだな?」


「なにおウ? 前回ハ何もできなかったくせニ!」


少し言い争う抜刀と逃隠。


「こらこら、喧嘩はやめろ。念のため、トイレの中も見ておくぞ。女子トイレは私と隊員達で行く。男子トイレは……」


爆破はそう指示を出した。――その後、トイレ内は隈なく探索されたが、ゾムビーは1体も発見されなかった。


――翌日、主人公のクラス。いつものように登校し、席に着こうとする主人公。すると周りは




「ざわざわ」




「おい、アイツだ」


「またやったんだってな」


「やるなぁ、あの風貌で」




主人公を見て、何やらざわついている。


(どうしたんだろう? 周囲の視線が気になる)


そこへ、








「ツトムく――ん‼‼‼」








「タ――ン‼」






巨房が主人公の目の前までやって来て、机を両手で叩く。






「⁉」






「見たよ! この新聞‼」


巨房の手には新聞が。


「これ!」


そしてとある記事を見せつけた。『狩人、また活躍』見ると狩人がゾムビーを処理した記事であり、そこには主人公の姿が写る写真まで載せてあった。


「⁉ これは?」


たじろぐ主人公。


「ツトム君、狩人の隊員だったんだね! だから修学旅行の時もあんなに動けてたんだ! 納得」


はしゃぐ巨房。


(し、知らなかった。僕達の活動って結構新聞に載ったりするんだ……)


「え、えと。ま、まぁね」


当たり障りなく主人公が返す。




「やっぱりか!」


「超能力使えるんだってな」


「ゾムビーって恐くないの?」




巨房のせいで、人が集まってきた。


「えと……ちょっと、皆、落ち着いて……」


もみくちゃになる主人公。休憩時間中ずっと、主人公は引っ張りだこだった。――放課後。(今日は大変だったなぁ……でも、悪い気はしなかったような)




(回想)


「こんにちは、主人公ツトム君」


「ツトムく――ん‼‼‼」


「ツトム君、狩人の隊員だったんだね!」


(回想終了)




(……ミノリちゃん、可愛いんだよなぁ。胸もデカいし……)


ふと、尾坦子の姿が浮かぶ。


(! いけないいけない、僕には尾坦子さんという女性がありながら、浮気してたんじゃあだめだ! それにしても、ミノリちゃん……明るくていい娘なんだよなぁ……強敵だ。理性を保たないと……)


主人公はその夜、巨房からの尾坦子(懺悔含む)の妄想にかられ、中々寝付けなかった。


(ミノリちゃん……すいません、尾坦子さん。ミノリちゃん……すいません、尾坦子さん。ミノリちゃん……すいません、尾坦子さん)

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