006 幸運は続く
一人旅じゃ無くなった。 半端じゃない高揚感。 俄然やる気が出てきた!
こんなに心躍るものなのか。とてもじゃないけど眠れないので力尽きるまで狩ろう。
仲間のためにも強くなりたい。 そういう事を思ってみたかったが実際思ってしまった。
どこへ行こう…ハチはやっぱりまだ怖いからもう少し手頃な…。
あっ…キノコだ。 キノコ…んふんは…。 俺もキノコやってみよう…。
ズバッ! …おおおお? この絶妙な感触! 経験値もGもしっかりある。
ズバッ! ズバッ! …おおお! これはやみつきになりそうだ。
あの逞しいロン毛の ふんふんは が没頭していたのもわかる気がする。
ジン「こっちの色違いは経験値が期待できそうだ」
ズバッ! ブシュゥゥゥウ!
ジン「うぁああああ!」
かかった。なんかめっちゃかかった! …ん…あれ…。
なんかグルグルするぞ…まさか…!
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--- チュンチュン チュンチュン チチチッ
ジン「………!? ガバッ!」
ココはどこだ…テントの中…? 誰かが運んでくれたのか…。
無くなっているものは…木の盾くらいか…あっ 枕にしてた。
- パサッ
-?-「気が付きましたか?ジンさん」
ジン 「……くノ一さん」
くノ一「……くノ一さん? あぁコレ 拾ったんです。ドロップ」
ジン 「そうなんですか。 …あなたがここまで運んでくれたんですか?」
(アカリちゃんではない。どっかで聞いた声だと思ったが知り合いでは無さそうだ
俺が ジンサン っぽいのか覚えていない間に名乗ったのだろう)
くノ一「……運べませんよ。 ジンさんが倒れてて、でもやられたわけでは無さそうで、
…物取りとか怖いからテント張って隠してたんです」
ジン 「ありがとう。 一晩中介抱してくれたんですね…」(なんて親切な人だ)
くノ一「 ! なにもっ! 何もしてませんよ…タダ…」 ジン「タダ?」
くノ一「おしりが…寝辛そうだったので…盾を…」
ジン 「あ…あぁ! ありがとう」 くノ一「…どういたしまして」
くノ一「あっ…そうだ。 これっ」
ジン 「 ? Gだ。 いっぱいあるね」
くノ一「コレ、ジンさんのですよ」 ジン「えっ…なんで?」
くノ一「ジンさん追ってきたら、道中大量にGが落ちてて…何があったんですか?」
ジン 「追ってきた?」 くノ一「ぁぁぁ…Gが…道に大量に落ちてたので」
ジン 「ああ…何か変な色のキノコ切ったらブシューってなんか出てさ
目の前がグルグルして…その後やったんだったら無意識だなぁ…」
ジン 「 ! ……あぁぁ…10レベルになってる…感動の瞬間が…」
くノ一「なるほど… もう10レベルですか…」
ジン 「というわけでそれはお納め下さい。 お礼です」
くノ一「そういうわけには…」 ジン「良いと言ったらいいんです」
くノ一「ありがとうございます」 ジン「お世話になりました。 では行きます」
- 無意識のうちに10レベルになってしまった…戦士初段になってから感動しよう…
戦士の町 ストング へ行く前にアカリちゃんと合流した方がいいのかな?
そういえばアカリちゃんは何になるんだろう…んんー 法術士 でヒーラーさんかな?
…ん?…くノ一さんがついてきてる。何だろう。
ジン 「どうしました?」 くノ一「えっ?」
ジン 「いやっ…どうしたのかなと思って」
くノ一「ジンさん冷たい…こういうのって出会って、仲間になって
一緒に冒険するようになって…そういうものじゃ無いんですか?」
ジン 「………」 くノ一「………」
!!! - 衝撃が走った。いや、本当に雷に撃たれた。心が。
ジン 「失礼致しました! 記憶飛ばしたせいに違いないと思うのですが、本当に
喉から手が出るほど渇望したシチュエーションなのに…失態は悔やんでも
悔やみきれませんが、今一度、挽回の機会を…一緒に行動して頂けませんか?」
くノ一「是非、宜しくお願い致します」 ジン「やったー!」
ジン 「二度も救って貰えるなんて…後で気づいたらセルフ鞭打ちの刑でしたよ」
くノ一「あははっ 何ですかそれは…でもジンさん優しい」
ジン (笑った…目元しか見えないけどなんか可愛い…誰かに似てるんだ)
ジン 「あっ…そうだ。もう一人、一緒に行動する約束をしていまして」
くノ一「そうですか。ジンさんの方が年上なので普通に話して下さい」
ジン 「…ありがとう。安心して、そのもう一人は女性だから!」
くノ一「……そうですか」