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002  初心者よススメ




見渡す限り 非現実的なほど鮮やかな新緑 たまらない。

リアルにも同等の場所はあるのだろうけど、渡り何十年もの間

コンクリート近くで生きてきた俺には強烈に新鮮だ。


実にすがすがしい! 一人なのに声に出して言いそうになった。あぶない。


こんなにすがすがしいからには 高校デビュー に似た気持ちが沸々と湧いてきて

当初予定になかったスタートダッシュを決めてやりたいという気持ちも起こった。


……が、その後の一事ですぐに中途で終わる。


- 暫らく進むと一際(ひときわ) 辺りの荒れた広場に出た。 …お。


足の生えたキノコが花食ってる…。

良く見ると似たようなサイズのがちらほらいるな。


- ボケっと見ていたら 何かが俺のケツを殴った。


振り返ると手足の生えたキノコがしきりに俺のケツを攻めている。 …可愛い。


ジン「…なんだよお前。 ちょっと痛いよ。 やめろよ」


諭すような気持ちでそう言いつつ、一抹の不安を感じ、よくよくキノコを見る。

…これは決してじゃれているとかいった(たぐい)の面持ちではない。

目的達成のため、心中に不安を抱えつつも必死になっている者の表情だ。


ジン「ウソだろ………マジかよ」


序盤にしてこれほどの難局が待っていようとは…

つい昨日までは考えもしなかった事態だ。 すぐには対処し得ない。


結論から言うと…キノコは敵だった。 現にHPも削れてきている。

ジリジリと他のやつらも迫って来ていたのに気づいたが、未だ葛藤中の身である。


俺でも厳しいのに、女の子なんか絶対無理なんじゃないだろうか?

いや、女性のほうが順応力に長けていると聞く。 いや、今はそれどころではない。


決断の時。 間近まで迫った敵の大群。 勝機を逃がせば次はない。


ジン「拙者駆け出しの侍。汝らは我が敵。候。候。 お覚悟!」


- バシッ ズバッ! - - - これが生きるということで候。


変なキャラ設定を作りあげて何とか対処し得た。

実際グロくなくて本当に良かった。 パカッと割れて G や アイテム が飛び出て

その後、すかさず地面に消えてお終い。 恐らくは土に還ったということだろうか。


レベルが2つ上がった。 悩んだが結局はやはり戦士がやりたかった。

腕力は実際のものがそのまま反映されているようなので、まだそこそこ大丈夫だろう。


ステータスはスピードを上げることにした。 体が大きい方ではないのでね。


戦士初段になるには10レベルが必要だ。一度克服したからにはもう怖いものはない。

このまま飽きるまでキノコを頑張ってもう少しレベル上げしておこう。


さっき木の盾が出た。 得物が日本刀(よう)なので必要ないがここで知恵が炸裂した。

やつらはなぜか必要にケツを狙ってくる。 盾はケツに入れておこう。


- 効果はテキメン。ケツは鉄壁に。 しかし怖いものはないは撤回する。

ハチだ。 キノコに紛れてハチがやってきた。 怖い。 ものすごく怖い。


ネコほどの大きさもあるハチが攻撃をしかけてくる。これもやはり敵だ。

さほどの速さはないものの、すんでの所で悉くかわされる。


   ブゥゥゥゥウウン


かわされては近づかれ、そのまた繰り返し。 物凄い恐怖感だ。

数回目に接触を許してしまった。 カッ! 痛い!


見えないほどに早い動きの羽にあたり、腕を少し切られてしまった。


この傷にしてこの痛みでは何割も減であろうが、確かに痛覚はある。

あんなのに刺されたら死んでしまうぞ。 恐怖が一気に増してくる。


今にして思えばこの恐怖が良かった。 ローテーションは読めていたので

かわされた後に、返す刀で斬り上げた。 見事に当たった。


難敵の攻略。 と同時に初のスキルを習得した。

” 斬り下し切り上げ ” そのまんまですな。


難敵との戦いで興奮冷めやらぬまま、余勢を駆って一気に狩った。


- いやー。狩った狩った。 5レベルまで上がっていた。


このままこんな所で暗くなってしまったらイヤだし、

そろそろ今後の情報収集のためにも町を目指すことにしよう。


幸い近くに人がいた。 精力的に狩る音がずっと聞こえていた。

このおかげでスタートダッシュを決めたい俺の心も奮っていた。


どんな人かも気になるし、何より一人で町を目指さずに済む。


何の疑いもせず、そう思っていた。 だが、これがいけなかった……



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