ユートの過去
4月7日
ファミレスの四人席より
「ユート君、どうして引きこもりに何か―」
「メリア、言葉には気おつけた方が良いかもしれん…」
「え…?」
メリアは慌てて口を塞ぐ。カスミの心ずかいは有難いと思う。
「ユートよ、少し君の事について知りたい。何かあったのかい…?」
「……………あぁ」
「……『ブレイクオンライン』が関係あるのかな…?」
(勘がいいな、カスミは…)
「カスミの言う通りだ、ちょっと俺は問題持ちでな…そのせいで今じゃ『毎日ログイン』しないといけなくなったんだ」
「そんなにゲームが好きなの…?」
「メリアは考え方が凄いね…」
この雰囲気で『趣味』に囚われて篭っていると勘違いしているらしい。雰囲気クラッシャーだ。
「俺は『ブレイクオンライン』初期プレイヤーなのは知ってるな…?」
「ええ、知ってる」
「初期プレイヤーか…何かありそうだな」
「カスミは本当に勘が良いね。俺が中学生の時の話だ…」
一年前
4月4日
自宅より
「来たぁぁぁぁぁ!お…俺が、初期プレイヤー募集に…受かりましたよぉ!?」
発狂に近いレベルで喜んだ事を良く覚えている。一年前、MMOVRゲームが世界で流行っている中、日本は超大作を作り出した。それは…
『ブレイクオンライン』
このゲームは世界中の人とほぼ人間の生活に近いゲームライフを実現させた。
戦闘面や生活面、セキュリティ面で他のゲームを遥か上をを行った。そんなゲームの初期プレイヤーとして、ユートは選ばれたのだ。
初期プレイヤーには特典として『零神 オリジン』の討伐チケットが配られた。
この頃の『ブレイクオンライン』は『神』属性のモンスターは実施されておらず、この討伐モンスターだけが『神』属性であった。ステージは『地上』しか無かった為、レベル上限が99Lvまでだった。どれだけ進んでも最高99まで。そして『零神 オリジン』は推進レベル?であった。
測定が出来ないのであった。これを知ったプレイヤー達は『世界』のプレイヤー達で協力しようと言う。そしてその戦いにユートも参加していた。
そして決戦の日が訪れる。
参加人数は1億人と言われている。そんな中の1人
ユートにはレアドロップの可能性は無いと感じていた。当時のユートのレベルは50だった。
そして一斉に攻撃が始まる。
しかし『神』の力は計り知れなかった。
全く触れられないのだ。『オリジン』から繰り出される謎の波動、あれは瞬間にプレイヤーの武器、スキル、戦職、ステータス、レベル、データを『0』に戻す力だった。
上級者達はなす術なく散って行った。何とか避けながら戦う者がいたが、最後には消されていた。前衛にいた上級者陣営は全滅。サブとしていた初心者陣営が戦う事になる。しかし、ほぼ全滅して行った。
…が、あるプレイヤーだけ生き残った。
それは『圧倒的』ゲームテクニックを持っている者達だった。そしてその中にユートがいるのだ。
彼らは波動の距離、範囲、タイミング、パターンを全て読み、小さなダメージを蓄積し続けた。
長期戦の末、人間側が勝利。レアドロップとして『神』の武器、『神具』を各自一つ手に入れたのだ。そしてユートは銃剣『オリジンブレードver零』を手に入れたのだ。
この武器はそれといった特徴は無い。
無属性、攻撃力10000アップ、銃剣
としか表記されていないのだ。しかしこの武器、全て集めると『超神の具』となるらしい。
その武器は、現在最強クラスの武器、『エクスカリバー』を圧倒する強さを誇るらしい。
更に『超神の具』を手に入れたプレイヤーは、戦職『エンド』を受け継ぐらしい。
しかし、この『エンド』を運営は受け入れてない。まず、『零神 オリジン』何て作っていないと言うのだ。流石に怪しいと感じたユートは、この武器を今でも離さないようにしている。誰かに利用されないようにと…
そして目立たないように『地上』のステージで『ゲーム講習』をしていたら、この3人に会ったのである。
「…以上だ。とう言うことで俺は学校に行けてないんだ」
「………………………」
「なるほどな…」
メリアは下を向いたままである。カスミはこの話に何か感じている様子だ。
「何かすまないな…こんな話してしまっ―」
「ぶフゥ!」
メリアに謝ろうとした瞬間、メリアが俺に抱きついてきた。
「何よッ!何でそんな事を1人で抱え込んでの?!…私達に相談してくれたって…」
「そういう訳にも行かなかったんだろう?ユートの優しさであると思うぞ。まぁ…本心はメリアと同じだがな」
こんな話をした自分を殴りてぇ…
『対面会』として誘ったパーティがこんな暗いムードになってしまった。
(どうしよう…)
「マジでごめん…でも大丈夫だ!俺はレベルも高いほうだしな、それにテクニックだってあるんだぜ!だから―」
「違う!そういう事じゃないの!…ユートは…ゲームのせいで、普通の生活が…出来なくなってるじゃないのォ!!」
「なっ…ちょっとヤメ―」
「馬鹿ァ!!」
こんな心配してくれているのに、ユートの目は違う方に向いてしまっていた。
(当たってる!メロンおっぱいが―ダメだ…)
さっきからメリアは夢中でポカポカ、ユートを叩いているが、状況的には色っぽい…
「それは大変だったな、ユート」
「ハハ…まだ終わってないけどな―痛てぇ痛てぇ!」
さっきから拳が身体にヒットしているのだが…
ここは笑いながらメリアの頭を撫でてあげるべきなんだろうけど、本格的に痛い…
「ユートォ!!」
「はっ…はい」
「私も協力する」
「え…?」
メリアは涙を拭き、頭を上げ言った。
「私も同行させて頂く。これはゲームだけの話じゃ無さそうだ…」
カスミも乗ってきた。
「んじゃ…私も~」
ユウナさんも―ってアンタ軽いな?!この話ってそんなに軽いの?!
すると頬を両方叩かれた。
「ユート君!私達はネッ友だけど、仲間でもあるのよ?だから、これからは1人で抱え込まない!いい?」
「………………」
「返事はっ?」
「はっ…ハイ!」
「それで良しッ!」
メリアは優しい笑顔で笑った。
あぁ…めっちゃ可愛いな…
『対面会』は重い話から始まり、不安が多かったが、無事終える事が出来た。そして俺の感想を言おう。
3人共めっちゃ可愛かった…!
ユートはこの『対面会』がとても心に残った。