鞍馬疾風、蔵王美玲、奥球磨丈遭遇編
なろうでは複雑な投稿の手順が必要だったルネ・デフォルト氏の(スマート本)形式は諦めて、よりシンプルでみてみん&小説家になろう投稿システムに特化した(スマート本)・・・顔だけブック方式で投稿を始めることにしました。
ロボットものです。当初、異世界で剣と魔法系の「ハンマートトン」で顔だけブックにするつもりでしたが、あれはあれでルネ・デフォルト氏方式で作っていたので、リメイクが難しく、ならばとかつて漫画原作賞に出して二次落ちしたフレックスムーバー「ザオロン」で一から作ることにしました。
FACE dk BOOK 顔だけブック
フレックスムーバー ザオロン表紙
キャラクター扉01
【第1面】
雨、交差点。蔵王美玲は信号が早く青にならないかなと気を揉んでいた。
赤でもないのに歩道の前に止まっているシャコタンのクラウンが気に入らないからだ。
交通の邪魔をしているのに不思議と誰もクラクションを鳴らさず除けて通っていく。
ボディのあちこちにビッグブラザーズと殴り書きがしてあるからだ。
ビッグブラザーズとは奥球磨丈というゴリラ並の巨漢が率いる暴走族のことである。
中にいる連中の視線を感じる。下手すると襲われかねない。
美玲のバッドな予感は当たっていた。
中にいた三人、高井弘樹、越野巾作……の三人は傘を差して信号待ちをしているスレンダーな美人に目を奪われていた。傘で顔を隠しているが、チラリと見える唇だけで美人だと確信できる。
三人は同時にヒューとため息をついた。次に三人が考えることは同じだった。
「やっちまうか」
下卑た笑い声を上げながら三人がドアを開けようとしたとき、ドスンという衝撃を受けて三人は狭い車内のあちこちに体をぶつけた。
追突されたのだ。
三人の色欲が一瞬にし消失した。三人が飛び出して後ろをみるとホンダの軽がオカマしていた。
細身の若者がにやけた顔して出てきた。
「すみません。
信号横に立っている美人に見とれてしまったもので……それにまさか青信号で止まってる車がいるとも思わなかったので」
こいつ舐めてやがると高木は思った。
「T|オンドレ、修理代高くつくぞ」
「K|ムチ打ちになっちまったぞ。治療費も高く付きそうだ。名前は?」
「鞍馬疾風」
「T|鞍馬よ、目には目をって諺知ってるか?」
「ああ」
「T|なら分かるよな。まずはオレ等が受けた痛みを三倍返しさせてもらう」
三人は鞍馬を取り囲んだ。
三対一で勝ち目などないはずなのに、若者はにやけた笑顔のまま蔵王美玲を見やって信号を指さした。
青になっていた。
蔵王美玲はその若者に申し訳ないという思いと、面白くなりそうな展開を見ていたという願望を抱いたまま信号を渡り、そのまま全力で走り去った。
以下次話
文字ばかりでは読みにくいのでキャラアイコンを挟むことで読みやすくしました。