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少年ひまわり  作者: こしあん
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二つの故郷に咲ける花

 向日葵――多くの人が、「ひまわり」と読むだろう。決して間違ってはいない。だが、ここでは少し違う……人名なのだ、これで。「むかえびあおい」と読む。

 彼が名字や名前で呼ばれることは少ない。多くの人達から「ひまわり」と呼ばれているからだ。彼自身、その呼び名については何とも思っていない。だから、気付かないのだろう。向日葵(ひまわり)はただの呼び名ではなく、彼の存在だということに。


 日本人とロシア人のクォーターであるひまわりには故郷が二つある。今住んでいる日本の田舎でも都会でもない所と、祖父が住むロシアの小さな町だ。ハーフであるひまわりの母親は、現在中学二年生のひまわりが小学校を卒業してすぐに他界してしまった。それまで母と二人で暮らしていたひまわりは、中学校には入学せずに三か月間ロシアで過ごした。それから帰国し、今は父の母校である中学校に通っている。

 両親は、ひまわりが10歳のころに離婚した。喧嘩の絶えない夫婦だったので、母はよく向日葵を連れてロシアの実家に帰った。でも、父も母も優しく温厚な性格で、ひまわりにたくさんの大切なことを教えてくれた。


 そして、ひまわりの心に刻まれた少年がいる。あの子は今どうしているのだろうか。まだ一年経ったか経っていないかなのに、もう懐かしく感じられる。ちょうどいいことに、もうすぐ夏休みだ。20日間、ロシアに滞在することにした。


 銀の雪氷に包まれた夏休みが始まる。

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