【60秒で一気読み! キャラクター小噺】 〜もしも、こんな○○がいたら
【60秒で一気読み! キャラクター小噺】 〜もしも、こんな怪人風の床屋さんがいたら
【 怪人風マントの床屋さん 】
ある昔ながらの床屋。
男性が散髪してもらいシャンプー終え、サッパリした気分に浸っている。
女性店員に髭剃りのシェービングクリームを塗られ、熱い蒸しタオルを顔にかけてもらうと、もうリラックス。
そこへ、特大の襟をピンと立てた黒マント姿が足音も立てず忍び寄ってきた。ちょび髭を蓄えた初老の長身男は業務用カミソリを抜き、そーっと男性のアゴにカミソリをあてようとーーー
「こらっ、また勝手に店に出て!
黒マント男は一目散に店の奥に引っ込んだ。
男性もビックリして、
「い、今のは一体何ですか⁈」
「あら、驚かせてごめんなさい。ホント悪気はないんです」
女性店員は無邪気に答え微笑んだ。
「誰なんですか? すごく怪しいですよ」
「昔から白衣を着るのがキライなんです。黒衣が好きみたいだから。白衣は店の看板ですかね、だからあんまり店でちゃダメだって言ってるんですが」
確かに女性店員はピシッと作業用白衣を着用していた。
特大の襟が店の奥の磨りガラスからチラチラはみ出て揺れている。遠くの物陰から叱られた黒マント男が物欲しそうにこちらを眺めていた。
「あ、あのーーー、気になるんですけど」
「ごめんなさい、悪気はないんですよ」