ガリウルと仕事
朝に目を覚ますと僕は気がついた。
今日から水菜さんのレストランで働ける。嬉しくてついつい鼻歌まで歌ってしまうんだ。
「よし、これでいいかな」
顔を洗ったり歯を磨いたり、綺麗な服に着替えたりと準備は満タンだ。部屋を出て空を見上げる。
「仕事見つかったよ。頑張ってくるね母さん、シャルウル」
空に手を伸ばして手を握る。
気合を入れて水菜さんのレストランへと向かった。少し時間が早いせいか誰とも会わずに気分良く出勤することができた。
「おはようございます!」
ドアを開けてそう言うと水菜さんはもう準備をし始めていた。
「おはよう、早いのね。じゃあこの服に着替えてきて! 貴方はお皿洗いとかしてくれるかしら?」
「はい、頑張ります」
僕は笑顔でそう言って更衣室のような所へ案内してもらった。
その服は真っ白で見たところとても大きなサイズだった。でも僕にはぴったりだ。
なんせ地球人二人分の横幅もあるんだから。
「着替えてきました」
僕がそう言って厨房へ行くと他の人も集まっている。
「店長こんなの雇って大丈夫なんですか?」
一人の中年男性が口を開いた。水菜さん以外の僕を見る目は物凄く恐ろしく怖かった。
その空気を壊すように水菜さんは笑顔で僕に話しかけてくれる。
「さぁ、みんな仕事する! ガリウルもそんなくらい顔してちゃダメよ。ここに置かれるお皿洗ってね」
「はい」
店が開くと人はどんどん増えていった。
お皿も少しずつ僕の横へ置かれていく。
でも、手が四本もある僕には決して多くはなかった。簡単にこなせる仕事だった。
朝のモーニングの時間が終わり、お昼になる。お昼になると人は何倍も多くなる。
みんなテキパキと動き仕事をこなしているが忙しそうだった。
それに比べ僕はこの手のおかげでみんなより早く出来る。僕には余裕がある。でもみんなはそんな僕を睨んでいる。
「ガリウルさん、もっと綺麗に洗ってください」
「こんな洗い方じゃ、お客様へのメニューを置けないわ」
僕はただ謝った。自分なりに綺麗に洗ったのに汚いと言われるのは少し悲しい。
「すみません……」
肩を落とし頭を下げた。
その時、また水菜さんが僕の元へやってきた。
「ガリウル、充分綺麗に洗えてるわ。この調子で頑張ってね。ほら! 他の子も早く自分の事に集中する!」
「ありがとうございます」
嬉しくて目に少し涙をためてそう言うと水菜さんはやはり笑ってくれた。
僕は水菜さんに出会えて良かったと思っている。猫に感謝しなきゃね。
僕の仕事、洗い物はすぐに終わるので水菜さんにゴミを放ってきてと言われた。僕はすぐに返事をしゴミ捨て場を聞いた。
そこは横のビルの屋上であり、少し階段を上がるのは大変そうだった。
僕は三つのゴミを持ち、非常階段から上がっていく。五回建てのビル少し息を切らし上まで登った。
すると屋上の端に立ち今にも飛び降りそうな男の子がいた。
その子は前に僕と一緒に面接を受けた友野翔くんだと言うことがすぐに分かった。




