ガリウルと怒り
家の前に着くと子供達がペンを持って何かしていた。
「ここ見たこともねえ怪物が住んでんだって!母ちゃん言ってた」
「きもちわりいー!!俺タコ星人しか好きじゃねえし」
「ちょっとくらい悪戯してもばれねえだろ」
僕の身長の半分くらいの子供たちがごちゃごちゃと言いながら僕の家に落書きをしていた。
「やめてくれないかな」
後ろから声をかけた。
「うわぁぁあ!!怪物!殺される……っ母ちゃん」
そう言いながらみんな逃げて行く。
僕の事が怖かったんだろう。僕は必死に落書きを消そうと布と水を準備して擦った。
まだ描かれたばかりのものだったから消すのは簡単だった。
ドアを開けて家へと入る。
すると一人の男の子が中に残っていた。
「く、来るなぁ!」
僕が近づくたび男の子は後ずさる。
「近づかないから早く外へ行って」
僕は優しく言うと残った子もそそくさと出て行った。
頭を抱えて座り込む。
「写真見て元気出さなきゃ」
写真を見るにも写真は黒くて見えない。
僕はまだ灯りをつけてないことに気がつく。
ため息をつき電気をつけて写真をもう一度見た。
やっぱり写真は黒かった。
その横には油性ペンが落ちている。
僕は何故かムカムカとする。
こんな感情を僕は知らない。ムカムカ、イライラなんて初めてだった。
僕にめらめらと力が込み上げ、大声をあげたくなる。
「……うわぁぁぁぁああ」
外のことを考えてる余裕もなく僕は声を上げた。
うるさいと苦情が来る。
それ以上に僕のムカムカは治らない。
だが、次第にその感情は悲しいという感情に変わっていった。
涙が出る。
母が病気になってから、家族と離れてから何度泣いただろう。一人で背を丸めた。
「ごめんね……母さん、シャルウル」
僕は黒くなった母さんとシャルウルの写真を拾って謝った。
三人で撮った写真はこれ一枚しか無かったのに。でも僕にも責任はあった。
鍵を閉め忘れたということだ。
自分を責めても子供達を責めても、写真はもう戻らない。
僕は写真を引き出しにしまい、窓から外を覗いた。宇宙ターミナルの法を見つめて、僕は母さんの病気が良くなるようにと少しでも長く生きれるようにと日が昇るまで願った。
その願いが届いたように日は昇り、また朝が始まる。
僕は食料を買いにスーパーへ出かける。
ちゃんと窓もドアも鍵を閉めたことを確認し、外を歩いて行く。
外は人がたくさんいて、やっぱり僕が通るとみんなは去って行く。
大人の人が僕に話しかけてきたと思えば、昨日の子供の親で僕にぐちぐちと感情を押し当ててくる。
挙句に生卵やゴミ、一番ひどいのは犬の糞まで投げてくる人が現れた。
僕はこんな生活がずっと続くんだろうなと思っていた。なにかきっかけが欲しいものの仕事が見つからなければ何も出来ない。
僕は気を引き締めて何十冊の仕事の本を取って家へ戻る。
工場で"宇宙人可"という文字を見ては電話をかけていった。