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はじまり

今日も閑散とした病室から変わらぬ風景を眺めている。

いつもより天候が悪いようだ。


全てが白銀に変わってしまったこの世界でも、嵐は起こる。

雨風が吹き荒れ、雷が轟き出した。





その時だった_________





第1章


「今日は新鮮な魚が入ったよー!」


「お兄さんお兄さーん!!こっちみてってー!」


うるさいほど活気がある市場を、2人の長身の男が歩いている。


人混みから頭が飛び出すほど長身の2人は、周りが思わず振り返る程の端整な顔立ちに、軍人の様な逞しい身体つきをしている。

黒の長髪を1人は綺麗に三つ編みをし、1人は乱雑に後ろで束ねている。

目は紅玉のように赤く光る。


名をカイダルとザキという。


この目立つ2人は、獣猫族の軍人だ。


カイダル「ねーザキ〜、ちょっと休憩しようよ〜!」


ザキ「………予定より遅れてる。さっさと行くぞ。」


カイダル「え〜〜〜!!…わかったよ〜…

あっ!サイヅの実だ!ちょっと飲んでこー!」


ザキ「………………………」


獣猫族の住むエリアとは全く違うこの砂漠の都市は、年中30度を越すため灼熱の街と呼ばれている。


獣猫族が住む四季が存在するエリアとは大きな違いである。


今回二人はこの灼熱の街へ、ある事件の調査のためにこの街の王族から呼ばれたのであった。


カイダル「ザキのケチー!飲み物くらい飲んだっていいじゃんか〜!あっ!宮殿!見えた見えた!」


カイダルの文句を聞き流しつつ宮殿の入り口に立つ警備の軍人にザキは事情を話しに行った。


しばらくして二人は決して豪華とは言えない王宮の応接間に通された。

そう言われてみれば宮殿の外観もそんなに豪華なものではなかった。


カイダル「この国、あーんなに市場は活気があるのにそんなに潤ってないのかな?でもこういう王族は好感度高いよねー!」


ザキ「砂漠化の影響でこの国自体はそんなに裕福ではないようだ。ただ今の王が他国からの出入りを制限してないから砂漠のオアシスとして物流は活発なようだな。」


カイダル「あ〜、この国って大半は砂漠で街が全然ないのに大国の中間点だもんね〜!そっかそっかー。」


ガチャ


二人がそんな会話をしていると、ドアが開き人の良さそうな老人と気の強そうな若い女が護衛に連れられてやってきた。


ザルハン「この度はわざわざこんな辺境の地まで来てくれてありがとう。灼熱の街と呼ばれるこの国サンダルの第15代国王アル・サ・ザルハンと申す。ささ、そんな畏まらずに席についてくだされ。」


優しい老人の風貌なザルハン王は、物腰柔らかな口調で話した。


カイダル「カルザル国より参りました、第1警備部隊警備隊長のカイダル・カイザーと、こちら第2警備長のイベルダ・ザキと申します。一刻も早い事件解決に向け尽力致しますのでなんなりとお申し付け下さい。」


先程とはうって変わってハッキリとした口調でカイダルは話し、一礼したのちに着席した。


ザルハン「ふむ。第1、第2隊長が来てくれるとは心強い!本当にありがとう。早速本題に入らせていただきましょうかな。あ、その前に!ご紹介が遅れましたが、こちら同席しとりますのが第三皇女のサイハと申します。この度この地を巡るのに案内役につけますので、よろしく頼みますよ。」


サイハ「以後お見知りおきを。」


ぶっきらぼうな感じで言い放ったサイハは、この国に住む獣猿族の中では長身で、健康的な身体つきをしている。腰には短剣を刺し、キリッと髪を束ねた様子は皇女とは思えずまるで軍人のようだ。



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