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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

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釘バット令嬢

作者: 結城 からく
掲載日:2026/01/22

「エルシア! 君との婚約を破棄――」


「上等ですわァッ!」


 高らかと宣言しようとした侯爵に釘バットが襲いかかる。

 侯爵は腰を抜かした拍子に紙一重で躱すことができた。

 もしそのまま立っていれば、顔面が削れ飛んでいたところだろう。

 その事実を認識した侯爵は激昂する。


「き、貴様! その武器をどこから取り出した!?」


「企業秘密ですわぁ!」


 釘バットを持つ悪役令嬢エルシアは、狂暴な笑みを以て答える。

 爛々と輝く双眸は、破壊と殺戮への期待に満ちていた。

 既に理性は無いに等しく、無骨な釘バットを大きく掲げる。


 対話による解決が不可能だと悟った侯爵は、大慌てで声を上げた。


「衛兵! 衛兵! この女を殺せッ!」


 鎧を着た数十人の兵士が室内に集結する。

 彼らが攻撃を仕掛ける前に、エルシアが釘バットで殴りかかる。


 フルスイングの一撃が軌道上の兵士を肉片に変えた。

 防御を試みた者も腕ごともぎ取られて泣き叫ぶ。

 隙を突こうとした兵士は、勢いのままに回転する釘バットで引き裂かれて死んだ。

 エルシアは止まらない。

 嵐のような速度で絶えず釘バットを振り回し、間合いに入った者を抹殺していった。

 血飛沫に濡れた彼女は、満面の笑みで死を撒き散らす。


 そうしてものの数秒で兵士は全滅した。

 正確には増援が到着しているが、誰もが被害を恐れて近付こうとしない。

 侯爵は完全に見捨てられた状態であった。


「そ、そんな……馬鹿な……」


「これが現実ですわぁ」


 エルシアが侯爵に釘バットを叩き付ける。

 侯爵は咄嗟に魔術の結界を使用した。

 結界はあっけなく打ち砕かれるも、打撃の軌道を僅かにずらすことに成功した。

 侯爵の脳天を粉々にするはずだった釘バットは、彼の片目と額を抉るだけに終わる。

 無論、それでも重傷なので侯爵は転げ回って悶絶した。


「うがああああああぁぁぁっ!?」


「無駄な抵抗ですわぁ!」


 エルシアは侯爵の口に釘バットを入れて、そのまま力を込めて押し込んだ。

 痙攣する侯爵がへばりついた釘バットを振り回し、彼女は歓喜する。

 それを見て呆然とするのは、侯爵の新たな婚約者であるアナだった。

 遅れてやってきた彼女は凍り付く。


「えっ、何これ。虐殺バッドエンドはもっと先のシナリオのはず……」


「メインディッシュですわァッ!」


 侯爵付きの釘バットがアナに向かって振り下ろされた。

 アナの顔面が潰れ、首が捻じ曲がり、胴体が裂けて、両足が千切れ飛びながら即死する。

 仲良く肉塊となった侯爵とアナを連れて、エルシアは機嫌よく謁見の間へと向かう。

 そこにはこの国の王がいた。


「や、やめてくれ。王の権力で何でもやろう。だから命だけは」


 国王の頭部を粉砕したエルシアは、血の付いた王冠を被って玉座に腰かける。

 愛用の釘バットを弄びながら、彼女は不敵に宣言する。


「国盗り開始ですわ」

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