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水素社会の難題や未来と向き合うべき

作者: NICKNAME

水素は、着目されるエネルギーです。間違いなく爆発的に普及が進むでしょう。現在はブルー水素が多いですが、すぐにグリーン水素の割合が多くなると予想されます。なぜならば、再生可能エネルギーによる電力生成が激増し、貯める事に不適な電気に変わり、水を用いて水素と酸素に電気分解生成されるからです。太陽光パネルや風力発電施設・地熱発電と土地、それに水さえあれば水素を簡単に生成できるのは非常に魅力と言えます。


現在、日本は水素生成はともかく、水素運搬や利用は世界トップクラスの技術を持っています。しかしながら、FCVや水素ステーションの数を見ても普及しているとはいい難い状況です。また、世界ではEV割合が順調に増加しており、普通自動車の分野では内燃機関(ガソリンかHV)かEVの二択選択時代に先進国ではなろうとしています。


2050年にはグリーン産業が全世界のGDPの5%を占めるというレポートもあります。日本にとって技術や応用という分野は知恵や改善が活かせる分野なのでビッグチャンス到来と言えますが、正直政府支援等は充分でないような感じがします。太陽光パネル、自動車用バッテリーやEVでは、中国がフロントランナーであり、日韓はスタートダッシュで劣勢に思えます。また、電解装置でも中国勢は価格競争力を背景に欧米企業の脅威になりつつあるようです。製造大国を目指す中国は、家電や造船といった部分で既に日韓と肩を並べています。ローエンドモデルでシェアを奪っていくという形で発展しました。日本車は今まで通りミドルクラスではシェアをVWや現代起亜、GM等と握っていくと思われますが、ローエンドモデルは中国メーカーのEVが世界でシェアを握るとみています。これは、FCVや水素自動車でなかったから達成出来る事とも言えます。


非常に可能性がある水素なのですが、普及が進まない理由は取り扱いが難しいからです。生成は簡単なのです。つまり、生成してその場で利用するならコスパに優れます。しかし、運搬、貯蔵となるとなかなか厄介です。そこで検討されているのがメタンやアンモニア等なわけです。天然ガスの9割を占めるメタンは、水素生成にも利用できます。ガス田からだとブルー水素、再生可能エネルギーからだとグリーン水素になります。例えるなら、水を氷にして水にするみたいな事を化学反応で行っているに過ぎません。


CO2+4H2→CH4(メタン)+2H2O


3H2+N2→2NH3(アンモニア)


アンモニアは、火力発電や超巨大運搬船に利用可能です。改造コストもほとんど掛かりません。メタンだと、タクシーや天然ガスバス等にそのまま利用可能です。つまり、新しいインフラ投資なしでグリーン社会に変えていく事が可能です。水素を活用するという点は一緒ですが、現段階でインフラ投資的に難しい(採算が合わない)水素運搬、水素貯蔵ではなく、既存に併せた形で利用が現実的と言えるかもしれません。水素から生成したメタンは、化学反応時に二酸化炭素を吸収しており、燃やしてもカーボンフリー(温暖化ガス排出量ゼロ)という事になるのが着目点です。水素はキーになる次世代エネルギーであり、現在の原油のような形になるのは間違いないでしょう。近い将来段階ではメタンやアンモニアへ変えて運搬、貯蔵、利用が多くなるのは当然でしょう。一方、メタンから再び水素に戻す事も可能ですが、その際もカーボンフリー(温暖化ガス排出量ゼロ)という事になります。


CH4+H2O→3H2+CO

CO+H2O→H2+CO2


CH4(メタン)+2H2O→4H2(水素)+CO2となります。


日本は、世界でも最先端の水素社会を目指すべきでしょう。北欧はEV普及や再生可能エネ導入同様、水素社会でもリードしていくと予想されています。ウクライナ戦争により、オーストラリア、アメリカ、カタール等が、天然ガスの輸出大国になっていますが、ブルー水素の試行段階が現在の日本の立ち位置です。天然ガスは高騰していますので、副産物を用いてごく僅かの試験運用になるでしょう。


・資源価格が将来どうなるか?

・ガス田油田の権益がいつまでか?

・温暖化ガスの排出量削減目標の進捗状況?

・COPに対し米中印も積極的に参加し将来目標を遵守するか?

・各国のエネルギー政策(法律・補助金)はどうなるか?


様々な問題が絡みます。商社やエネルギー会社も将来予測と現状、将来性、コスト(見込む当初赤字と将来予測)等で議論の俎上には十分上がっていると考えるのが自然です。普及が進むのは、補助金がたくさん出て、しかも電力余剰が大きい国や電力生成のポテンシャルがある国です。資源がない国や温暖化ガスの排出量削減目標の進捗状況が悪い国等も水素を積極的に活用していくと予想されます。私から見て、日本は何故もっと産官学で水素エネルギー革命に打ち込まないのか不思議でたまりません。勿論、最初から水素が全国に行き渡る運搬(流通)貯蔵販売網なんて考えていません。メタンだろうがアンモニアだろうが、再生可能エネによる水素生成を利用しやすい形で変換して既存の施設やモビリティに対し今まで以上に安いコストでエネルギーを提供していけば、再生エネや水素生成のコストはどんどん下がっていきます。そうした安定した水素生成(国内供給とコスト)が達成してから、水素インフラに多大な補助金を投入という形にしていくべきでしょう。



原発に固執する日本政府や産業界。既存原発施設を有効に活用(運用)する事は否定しませんが、再生エネと水素社会にもっと大きく舵を切るべきです。ノーリスク並びに物凄く大きな可能性を秘めているわけですからね。海水の淡水化を交えると、アフリカ等の湾岸地域でも十分に事業が成り立つし、国際貢献(貧困・飢餓対策)にも技術で対応可能ですけどね。大産油国のサウジは、水の循環型社会、淡水化や再生可能エネに積極的に取り組んでいます。日本より大資源国であるサウジの方が先に水素社会になったなら非常に皮肉なものだし、日本の未来は非常に暗いと言い切っても過言ではないでしょう。


でも、普通自動車は水素ではなくEV普及となるでしょうね。


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乗用車に関してはBEVの伸張が著しく、FCVが取って代わるのは難しいでしょうけれど、バスやトラックなどの商用車、また建設機械分野においては、まだ水素燃料電池のアドバンテージが残されていると思います。 …
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