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比較的最近更新した短編のまとめ場所

丸のささくれ

作者: 仲仁へび



僕は、ペットの丸を飼っている。


ペットショップで一目ぼれしたんだ。


素敵なまん丸ボディがたまらない。


あれに毎日ほおずりしたい。


そう思って、両親におねだりしたら、買ってくれた。


素直に丸が欲しかったのもあるけど。皆が飼っているから、自分だけいないのが嫌だったんだ。


だから、ペットにできて良かった。


ちゃんとお世話するのよ、ってママが言ってたから、きっちり見てあげないと。


お前の名前は、丸だからマルイだ。


これから、毎日大事にしてあげるからね。





丸のマルイは新種の生物だ。


世の中にある丸が、「なんだか俺達必要とされているかも?」という気持ちになって何か、不思議な現象が起きた結果、生き物になったらしい。


餌は空気。


基本的には何もしなくても育つみたい。


でも、育てていると、だんだんと個性が出てくるんだって。


三角になったり、四角になったり。


とげとげになったり、平べったくなったりするらしい。


どういう原理でそうなっているのかはわからない。


研究者たちは一応頑張って調べてみたらしいけど、お手上げだったとか。


でも、「いろんな形になるなんて素敵!」


……とみんなが思ったから、丸は人気になった。


今ではペットブームを巻き起こしている。




僕は大事に、大事にマルイのお世話をしていく。


マルイはどんな姿に育つのだろう。


丸くなるんだろうか。


それとも四角くなるんだろうか。


自慢したいから珍しい形になってほしいな。


だって皆、僕のこと影が薄いとか、何もできないとかいってくるから。


見返したいんだよ。


早く大きくならないかな。


いつか来るその時が楽しみだった。


形が時々、でっぱったり、へこんだりしているのをみると、心が何とも言えない感じになる。


けど、最近は何だか変。


表面にささくれができている。


これはどういう状況なんだろう。


何になる前なんだろう。






毎日ずっとお世話をしたいけど、そうもいっていられない。


僕は小学生だから学校に通わなくちゃ。


お勉強をして、運動をして、給食を食べて、たくさん遊んで帰ってくる。


そのあとは丸をつついたり、転がしたり、話しかけたり。


丸のささくれはどんどんひどくなってくる。


これって良い状況なのかな。


悪い状況なのかな。


ささくれをつまんだり、ひっぱったりしてみるけど、痛いかなと思ってやめておく。


丸は喋れないし動けないけど、何か考えているかもしれないから。


痛がっていたら可哀想だし。


ママの言いつけを守って毎日お世話するのは大変だけど、頑張った。


今まで頑張った事なんて、あんまりなかったけど、マルイのためだから頑張れたんだ。





丸を飼い始めてから一か月が経った。


マルイのささくれは。ひどくなるばかりだ。


あちこちささくれだって、丸っぽくなくなってささくれの塊になってしまってる。


何かの病気かもしれない。


そう思って、病院に見てもらったけど、なんでもないって言われた。


大丈夫なんだろうか。


そういえば、最近学校がつまらないから、丸の事ばかり考えてるな。


気分転換に違う事しようかな。


でもお世話しないと、マルイが可哀そうだし。





3か月経った。


ささくれだらけだった丸は、ある日唐突にひび割れてしまった。


慌てて病院に行ったけど、手遅れだった。


丸はいろんな形にかわるけど、割れるのはダメなんだ。


マルイ、可哀想に。


僕がもっとうまく飼育できたら長生きできたんだろうか。


駄目な飼い主でごめんね。






ーーー。





丸はなんだかふわふわした世界にいた。


丸はとても心地が良い。


生きていたころは心がささくれだっていたので、すごくつらかった。


しかし、今は解放されて、とても快適だった。


丸は、飼い主の心のストレスを吸収して育ついきものだった。


よし、がんばるぞ!というストレスなら丸は色々な形になっていく。


しかし、もうだめだ!というストレスだと、ささくれまみれになって、最後には割れてしまう。


長く生きると数年にもなる命は、たった数か月でなくなってしまった。


しかし丸は、それでよかった。


飼い主の男の子は、小学生らしく多くの事はできなかったけれど、


大切に育ててくれた飼い主のストレスを吸収できたので、それでよかったのだ。



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