表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】婚約者の王子に浮気されていた聖女です。王子の罪を告発したら婚約破棄をされたので、外で薬師として自由に生きます  作者: ゆうき
第三章 母を訪ねて

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
82/115

第八十二話 未知への準備

 翌日。窓から差し込む日差しによって目を覚ました私は、現状を目の当たりにして戸惑っていた。


 昨日のことは思い出せないし、頭は痛いし、オーウェン様と同じベッドで、しかも抱きついて寝てたみたいだし……一体昨日何があったのかしら……?


「……ダメだ、思い出せない……」


 思い出そうとすると、何故か頭に霧がかかったような感じがして、思い出すことが出来ない。それに加えて、頭痛も酷いから尚更ダメみたい。


 ……とりあえず考えても仕方がない。今は……そうね、せっかくオーウェン様とこうしてくっついていられているのだから、オーウェン様が起きるまでこうしていたい。


「ふふっ……可愛い寝顔」


 いつも凛々しくて頼りになるオーウェン様だけど、寝顔はココちゃんによく似ていて、とても可愛いのよ。せっかくだし、ちょっとほっぺを触ってみようかしら……?


「思ったより硬いのね……自分のと比べると、よくわかるなぁ」


 自分とオーウェン様のほっぺの柔らかさを比べていると、オーウェン様は目を半分開けて、私のことをジッと見つめてきた。


「あ、おはようございます。ごめんなさい。起こしちゃいましたね」

「おはよう……なにかしていたのか?」

「なにもしてませんよ?」


 さすがに寝顔を観察しながらほっぺを触っていたなんて言ったら、オーウェン様とはいえ嫌がるかもしれないから、ここは黙っておこう。


「私、昨日のことを思い出せないんですけど……何があったんでしょうか?」

「船長殿に奢ってもらったのが酒だったようで、一口飲んだら……寝落ちしてしまったんだ」

「そうだったんですか!? 一口で酔いつぶれるなんて……ご迷惑をおかけして申し訳ありません!」

「全然大丈夫だよ」


 まさか、そんなことになっていたなんて、思ってもなかった。またオーウェン様に迷惑をかけちゃうなんて、本当に自分が情けない。


「気分はどうだ?」

「頭が痛いですけど、それくらいです」

「それは大変だ。確か、家で頭痛薬を作っていたよな?」

「はい、一応。小さな瓶に入ってるはずです。ラベルに頭痛薬と書いてあるので、すぐにわかるはずです」

「わかった。ちょっと待っててくれ」


 オーウェン様は静かに立ち上がると、部屋の外に出て行った。それから間もなく、水の入ったコップを持って戻ってきた。


「宿の主人から、水を貰ってきたよ。薬は……これか。一人で飲めそうか?」

「大丈夫ですよ、子供じゃないんですから」

「……そ、そうだな」


 なんだか歯切れの悪い言い方に引っ掛かりつつも、準備してもらった薬を飲んだ。


 うっ……この薬、自分では初めて飲んだけど、想像以上に苦みが強いわね……もうちょっと苦みが抑えられる作り方を勉強しておこうかしら……。


「次の船の出航までまだ時間はあるから、もう少し休んでいるといい」

「わかりました」


 私は再び布団に横になると、オーウェン様は私が寒くないように毛布を直してくれたうえに、私のことをそっと抱き寄せた。


 あ、朝から刺激が強い……! こんなことをされたら、嬉しさとドキドキで一日持ちそうもない。


 ……ここ最近は、オーウェン様といつも以上に仲良くさせてもらって、とても幸せなんだけど、あとでこの幸せの反動が来たりしないわよね?



 ****



 あれから三日後、私とオーウェン様は、無事にフラーブ川を使って、アンデルクの西にまで来ることが出来た。


 さて、精霊様が教えてくれた場所に行くためには、ここからは歩いて行かないといけない。それも、地元の人に聞いた限りでは、地元の人でもあまり行かない山の向こうだそうだ。


「想像以上に過酷な旅になりそうですね……オーウェン様、もし嫌なら帰っても……」

「途中で離脱するような真似はするつもりはない。それよりも、アトレこそ大丈夫か?」

「もちろん大丈夫です! 故郷で待つお母さんの元に帰るためなら、たとえ火の中水の中です!」

「その意気だ。火なら俺が全てこの剣で薙ぎ払い、水の中は俺が人工呼吸をするから問題ない」

「なんか後半おかしくないですか!?」

「半分冗談さ」

「半分は本気なんですね!?」


 オーウェン様にしては、珍しく冗談を言い続けるなと思うと同時に、肩の力が抜けていることに気が付いた。


 もしかして、オーウェン様はこれをするために冗談を……? さ、さすがオーウェン様!


「森の歩き方については問題無いと思うが、相手は踏み入ったことがない土地だ。準備は念入りにしておこう」

「準備……何を準備しますか?」

「とりあえず寝床と、なにかあった時の食料と水が欲しい。現地調達は出来るだろうが、万が一何も手に入らなかったらマズいからな」

「わかりました。お金はありますし、しっかり揃えましょう!」


 今までアトレにきた依頼で稼いだお金に加えて、私がこっそりと貯めていたお金もあるから、買い物は全然余裕だった。


 買ったものは、二人で寝られるキャンプ用の寝具とテント、あとは食料と水と薬の素材をいくつか買い足した。


 改めて見ると、結構な大荷物……特にオーウェン様の負担が増えてしまったけど、これで未知の土地を超えることなんて出来るのかしら?


「この辺りの地図も購入しておいた。目的地も範囲に入っている。この地図と、方位磁石を使って進んで行こう」

「地図と磁石だけで行けるんですか?」

「ああ。こういう技術は、騎士をしていた時に全て叩きこまれていてね。野営も任せてくれ」


 な、なんて頼もしい……! 頼もしすぎて、後光が差しているように見えるわ! 私の愛する人って、本当に色々と凄すぎて、私なんかじゃ釣り合わないってつくづく思っちゃう。


「アトレ、その顔……あれだろう? 自分じゃ俺に釣り合わないとか思ったんだろう?」

「すごい、どうしてわかるんですか?」

「伊達に恋人をしているわけじゃないからな。これくらいはわかるさ」


 簡単に言うけど、相手の考えを読むなんて、至難の業だと思う。実はオーウェン様もどこかの精霊様から力を貰っているとか、そういうオチじゃないわよね?


 なんて……変なことを考えてないで、早く出発しましょう。ここからどれくらいかかるかわからないし、慎重に行かないとね。

ここまで読んでいただきありがとうございました。


少しでも面白い!と思っていただけましたら、モチベーションに繋がりますので、ぜひ評価、ブクマ、レビューよろしくお願いします。


ブックマークは下側の【ブックマークに追加】から、評価はこのページの下側にある【★★★★★】から出来ますのでよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ