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【完結】婚約者の王子に浮気されていた聖女です。王子の罪を告発したら婚約破棄をされたので、外で薬師として自由に生きます  作者: ゆうき
第二章 奇怪な病

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第六十話 グランディーゾ家

 翌朝、私はサラ様の状態を確認してから、グランディーゾ家に行くための準備を終わらせた。


 昨日はどこにあるのかわからなくてどうしようって思ったけど、普通にオーウェン様が場所をご存じだったわ。


 ちなみに、サラ様の状態だけど……確実に植物化している部分が増えている。ダメ元で傷薬や火傷用の薬といった、肌に直接塗る薬をいくつか試してみたけど、当然どれも効果はなかった。


 やっぱり、精霊様に直接どうにかしてもらうしか、治せる術は無さそうね……まさか、こんな所で精霊様の声を聞いて、心を通わせる力が役に立つとは思ってもなかった。


 まあ、私は精霊様に対する力の扱いが得意じゃないから、こうやって話がこじれている気もするけど……はぁ。


「それじゃ、オレはココちゃんと留守番と看病をしてますね!」

「何かあったら、すぐに伝えに行くから!」

「気をつけて行くんじゃぞ」


 私とオーウェン様は、三人に見送られながら、グランディーゾ家の屋敷を目指して出発する。


 オーウェン様が仰るには、屋敷はオーリボエから少し離れた所にある、湖畔の近くにあるそうだ。


「エクシノ様、お話を聞いてくれるでしょうか?」

「彼の性格からして、絶対に聞いてくれるとは保証できないな」

「ですよね……私達のことを見下しているみたいですし」

「どうしてもダメなら、土下座でもして頼み込むさ」

「そ、そんなことさせられませんよ! やるなら私がします!」

「それこそダメだ。エリンに恥をかかせるなんて、もってのほかだ」


 いつもの様に手を繋ぎ、少し早足で屋敷に向かう途中、どちらが土下座をするか論争が勃発してしまった。


 こんな言い争いなんて、普通はしないと思うけど……互いが強く想っていると、こんな争いも起きてしまうのね。


「……とりあえずこの話は終わりにしようか」

「そうですね……」


 自分達のしていることの虚しさに苦笑いを浮かべ合いながら、再びグランディーゾ家の屋敷を目指して歩きだした。



 ****



「わぁ、綺麗な所……」


 サラ様の家を出発してから一時間ほど経った頃、私達は無事にグランディーゾ家の屋敷がある湖畔へとたどり着いた。


 ここまでの道中は、ずっと森の中だったけれど、この辺りは屋敷を建てるために木々を伐採したのか、開けた場所にあったわ。


「お土産、これで大丈夫でしょうか?」

「オーリボエの饅頭は、エクシノ殿の大好物だからね。きっと大丈夫さ」

「むっ……止まりなさい。ここはグランディーゾ家のお屋敷である。許可なく立ち入るのはご遠慮ください」


 ここに来る途中、オーリボエで買った饅頭が入った袋を見ながら話していると、屋敷の門の前にいた衛兵の二人に、当然のように止められてしまった。


「突然の訪問、失礼します。私は薬屋アトレを営んでいる、エリンと申します。こちらは同じくアトレのオーウェンと申します。家長であるエクシノ様にお会いしたいのですが」

「エクシノ様とご面会のお約束をされているのですか?」

「そ、それは……」

「お約束が無ければ、お通し出来ません」


 言われてみれば、相手は伯爵家の当主様なのだから、突然来たところで会えるわけがない。


 こんなことすら思いつかないなんて、私は本当にバカだ。面会の約束なんて、当然していないし……どうすれば……。


「当主殿は、今ここに?」

「はい。もう少ししたらお出かけになられますが」

「では、彼にオーウェン・ヴァリアという男が来たと伝えてほしい。きっとそれでわかるはずなので」

「は、はあ……ではここでお待ちください」


 やや怪しんでいる感じではあったものの、衛兵の一人が屋敷の中に確認しに行った。それを私は、ただ黙ってみていることしか出来なかった。


「あの、一体どういうことですか?」

「彼は良くも悪くも、俺のことを意識している節があるからな。もし俺が来たと知ったら、面白がって招いてくれるかもしれないだろう? 突然の来訪で会うには、それしか思いつかなかった」


 なるほど……半分賭けのようなものだけど、可能性はないわけではなさそうだ。


 私みたいに、何も考えずに行動するのとは違って、オーウェン様は少しでも成功する可能性がある方法を考えて、ちゃんと実行しているのは凄いし、見習わないといけないわね。


 そんなことを思っていると、先程屋敷に戻っていった衛兵が、一人の女性を連れて来てくれた。


 あれ、この人……確か前にエクシノ様が私達の家に来た時に、隣に立っていた女性だ。


「エリン様、オーウェン様、ようこそグランディーゾ家へお越しくださいました。わたくしは我が主、エクシノ様の専属メイド、ジュリィと申します」

「ジュリィ様ですね。はじめまして……ではなかったですね」

「お二人に関して、主から伝言を預かっております。本日の公務の後でよければ、少しなら面会が可能とのことです」


 面会してくれるの!? それは願ったりかなったりだ! 情報を得るためなら、いくらでも待つわ!


「その提案、お受けいたします」

「では、こちらのお部屋でお待ちください。主が戻り次第、お呼びいたします」


 ジュリィ様は私達を屋敷の中に通すと、奥にあった小さな客間へと通された。


 ここで待っていれば、エクシノ様とお話しできるのね。正直なところ、彼の嫌味をまた聞くことになると思うと気が滅入るけど、これもサラ様のためだもの。頑張らなきゃ!

ここまで読んでいただきありがとうございました。


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