大悪党、遭遇する。
マノン「私はマノン、世界をまたにかける大悪党(になる予定)だ」
SE(駅前広場のモニュメントの前で募金を募っているのを見掛ける)
マノン「………」
SE
女性「ありがとうございますー」
SE(募金と引き換えに渡された羽を握り締めながら)
マノン「ふっ…………さぁて、今日はどんな悪事を働いてやろうかな?」
シン「ソウルブレイカー」
レン「番外編、自称大悪党、遭遇する」
シン「んー、やっぱさっきの店のカットソー欲しいなぁ…」
レン「そんなに気になるなら買えばいいのに」
シン「いやでもちょっと予算オーバーって言うか…今日欲しかったやつ何か諦めて……いやでもあのアルバムも欲しかったやつだしなぁ……う〜ん…どうしよう…」
レン「まぁ外で唸ってても仕方ないしカフェでも入る?飲み物くらいなら奢ってあげるよ」
シン「マジで?神じゃん」
レン「神は君だけどね」
SE(ドンッと人にぶつかり相手の女性を転ばせてしまうシン)
シン「ってぇ!…わっ、ごっ、ごめんっ、大丈夫っ?」
マノン「いっ、たぁ……おい!どこを見て歩いているんだ!」
シン「ごっ、ごめんな?立てるか…?(手を差し伸べる)」
レン「……ん?あれ、君……」
マノン「(シンの手を握り立ち上がるとレンを見て)…え?…あ……」
レン「大悪党(仮)のマノンじゃないか」
マノン「(仮)って言うな!!」
シン「え?大悪党?」
レン「こんな所で何してるのさ」
マノン「ふんっ、貴様に教える義理はない(ぷいっ)」
シン「え…っと、レン、知り合いなのか?」
レン「うん、ここに来る前に任務先で会った事があってね」
マノン「私のビジネスを邪魔したんだ」
レン「うんうん、人助けしてる所を手伝ったんだよ」
マノン「違う!私は悪事を働いていたんだ!!」
レン「うんうん、怪奇現象(影の襲撃)に遭っていた小さな女の子を助けようとしてた所に僕が駆けつけて、最後にその子を無事親の所まで送ってくれるって言う悪事を働いていたよ」
マノン「貴様バカにしてるだろ!!」
シン「えーっと……つまり?」
レン「大悪党(仮)」
マノン「だから(仮)って言うなあぁぁ!!」
レン「それで君はここで何してるの?」
マノン「大悪党なんだから悪事を働きに来たに決まっているだろっ?」
レン「そうなんだ(さらっと)」
シン「さらっと流すレンも大概だけど自分から悪事働きに来たって言う悪党もなかなか凄いな」
レン「悪事ねぇ…そもそも君の言う悪事があまり悪じゃないんだよなぁ…」
マノン「くっ……どこまでも私をコケにするかっ……ならば!くらえ!!札束ビーンタ!!」
シン「ケバブ!!(べシーン!)」
SE(マノンがおもむろに取り出した子供銀行製の1億円札の札束で、頬を思い切り殴り飛ばされるシン)
マノン「見えた!!隙の糸!!」
SE(頬を押えて半べそになるシンのカバンにズボッと手を突っ込み財布を奪う)
マノン「はっはっは!この財布は貰った!暫くそこで待っているがいい!!」
シン「えっ!?えっ!?!?あーっ!!!」
SE(すたこらと財布を持ってマノンが走り去る)
レン「彼女、呼吸の使い手だったのか…」
シン「俺の財布ー!!ちょっ、追うぞレン!!」
レン「待ってろって言ってたし待ってればいいんじゃない?」
シン「素直か!!財布取られたんだぞ!?」
レン「多分大丈夫だと思うけど…」
シン「何を根拠に…」
マノン「ふっ、待たせたな…」
シン「ホントに帰ってきた!!;」
マノン「待っていろと言ったんだから戻ってくるに決まっているだろう」
シン「どんな悪党だよっ!っていうか返せ俺の財布!!」
マノン「あぁ、いいぞ?」
SE(ぽんと財布を放るマノン、それをキャッチすると先程よりも重く感じる)
シン「あ!?なんか重い……もしかして…っ」
SE(お金が増えたのかとウキウキしながら財布を開くシン、すると中にはみっちりとスクラッチ宝くじが詰まっていた、お金はお釣りの小銭しかない)
シン「んじゃこりゃあああああーーー!!!!;」
マノン「有り金全部スクラッチ宝くじに変えてやったのさ!!あっははは!!どうだ!!大悪党の本気を思い知ったか!!!」
レン「確かにその発想と労力はある意味尊敬する」
マノン「ふっふっふ、恐れおののき声も出ないだろう、ではサラバだ!!(すたこら)」
シン「あっ!!逃げた!!待てコラ!!俺の現金返せー!!!(半泣き)」
SE(あっという間に走り去るマノン)
レン「……スクラッチ削りに行く?」
シン「………行く(泣いてる)」
マノン「ふふっ、今日はなかなかに悪党らしい事が出来て気分がいいな…」
SE(宝くじ売り場)
レン「あ、5万円当たってる」
シン「マジか、神じゃん」
レン「神は君だけどね」
SE(その日、シンはカットソーとアルバムが買えた上にちょっといいスニーカーも買えて回るお寿司を食べて帰った)
マノン「さぁて、明日はどんな悪事を働いてやろうかな…!」
END