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34.八坂神社

 八坂神社と言えば思い浮かぶのは祇園側から撮られているあの赤い門の写真。それが正規の入り口だとすれば、俺は裏口から、いや、八坂神社の横腹から潜りこんだという感じか。

 多分、後々正面から祇園に向けて出るのでその時にしっかりと赤い門は拝まさせてもらう。

 八坂神社の横腹から入り込んでいて未だ八坂神社らしさは見えないものの、多分八坂神社なのだろ…

 

(うっわ急に八坂神社)

 

 八坂神社らしさがないと言った傍から急に神社が頭角を現してきた。目の間には本殿が見えるのでここで八坂神社であることは間違いない。とにかくでかい。

 

(早速お参りを)

 

 本殿のお参りする場所はとても広いが、基本的に日本人は「間」を取りたがるので、参拝しているのは計五人程。その後ろに参拝の順番を待っている人の姿が。決して並んでくださいと言われているわけではないし、等間隔で間を空けてくださいと言われているわけでもないのに、自然とこの構図が出来上がるのはいかにも日本らしい。子どもから少しチャラそうな若者。お年寄りまで皆コミュニケーションを取らずとも列に並んでいる姿は海外の人が見たら驚くのではなかろうか。

 

(律儀だよね日本って)

 

 客観的に見ると本当に美しいものだ。神社と言う事もあり、誰も規律を乱さず参拝している。

 俺も例に漏れずしっかりと並んでいる。もちろん抜かしたりはしない。当たり前だ。こういうところでは変なことすると罰が当たりそうで怖い。いつも以上に身が引き締まる。お寺や神社が大きければ大きいほど。

 俺は参拝を周りに合わせておこなった。五円玉が見当たらない。あまり五円玉は財布に多量に入っていることがないので、参拝を繰り返せば自動的に足りなくなる。


(10円かな)


 大きいお金を入れない方がいいと誰かから聞いていたので100円は入れない。理由はわからないので100円を入れることが悪いことではないかもしれない。俺的には100円以上入れないと決めてるので10円にしておく。


(二礼二拍手一礼??)


 神社は二礼二拍手一礼だったはず多分。ここに来て確認しているのもおかしな話だが、たまにその神社やお寺特有の参拝方法が存在するので、頭の中でそれらが混ざってしまう。だが、周りも見ても二礼二拍手一礼をしている人は多いので、二礼二拍手一礼で参拝を終えた。


(よし、参拝終わった。次だ!)


 八坂神社には特段強い特徴があるわけでもない。赤い門はあるけど、俺はそう思う。大きいところほど似ていることが多く、小さいほど個性的なものが多いという感じか。嵐山で行った所が個性的なものが多かったのもこの理論で説明できる。


(大きいところほど写真で見たことあるから驚きがないのかもしれないなぁ)


 大体有名な所は写真で見たことある。見たことあるし、強烈なインパクトが得られないからそんなに行かない。俺の京都1人旅行のポリシー「マイナーな所に行く!」は裏を返せばこういうこと。


(ひねくれてんなぁ俺)


 俺はめっちゃひねくれている。素直に行けばいいのに「小さい所がいい」ってことでマイナーな所ばかり行く。まぁ、これが楽しいのだから仕方がない。


 そんな感じで参拝場所から離れて正面のあの赤い門に向けて歩き始めた。参拝場所から左側。歩き始めると、昇りが出ていることに目が行った。何だろうと凝視して見ると「願掛けうさぎ」と書いてあった。

 近づいて周りを見ると大量のうさぎが奉納のために1箇所に集められていた。


(かわいい)


 本当に可愛いのだがこれは何だ。説明みたいなものがあったので読んでみると、どうやら願いを書いた紙をうさぎに入れて奉納するらしい。

 現時点でこれといった願いが俺には無い。中途半端な気持ちで書くのはなんか嫌なので辞めておくか。いや、書く。


「すいませんこの願掛けうさぎお願いします」

「はい、500円です」


(中略)



(よぉし、奉納完了)


 無事に奉納を終えて、満足気に俺は八坂神社の出入口へと歩いている。屋台がやっていたり、やっていなかったり。オフシーズンであればこんなものなのだろう。オンシーズンだったら人は溢れんばかりで屋台も賑わう。この屋台通りを抜けると目の前に現れるは1本の長い道。祇園だ。

 敷地を抜けて後ろ向くとやっと八坂神社の顔を拝めた。


(今日も赤いね〜)


 盛れるように八坂神社の顔を撮って目の前の横断歩道を渡った。

中略がありますが、単純に私が何のお願いを書いたかを伏せるためです。


流石に「何の願いを書いたか」は小説では省きました。


こう言ったものってあんまり人に言うものではないので!

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