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バス停へ(過去回想あり)

(さてと、バス停を探そうかな)

 

 そう思って永観堂から出ると警備員のおじさんが直進するように示してきた。

 

(なんで。まさかバス停こっちなのか)

 

 出口を出て右に行くと哲学の道に行ける。銀閣寺もこっち方面だが流石に歩く距離ではない。哲学の道は前回の1人旅で歩いたことがあるが、外国人と並走して歩いていたので趣をかなり感じた。もちろん話しかけたりはしていない。海外に出た際に日本人らしさを意識するように、超和風な場所で外国人を見るだけで自分の日本人らしさを再認識しようとする。そんなことがあったのでやけに哲学の道は記憶にある。

 

(とりあえず警備員の人に従って進むか)

 

 本当にここからバス停までの道は知らない。真っすぐ歩いたのはいいものの、この先何があるのかは不明。だが、ここではあえてマップは見ない。迷ったらそれはそれで面白いし確実に新たな発見はある。

 

(不安でドキドキするがそれも楽しい)

 

 竹林に行くときも道に迷ったが、しょせん道なんてどこかに繋がっているので歩いているとどこかに着く。それに関連して寄り道の話をしよう。前回の1人旅でトイレに行きたくてバスを途中下車し、見えたスーパーマーケットにてトイレを借りたのだが、そのスーパーマーケットはチェーン店ではなく地元のスーパーマーケット的な感じだった。入店しトイレのマークを探したのだが全然見つからず店員さんに声をかけることに。

 

「すいません。トイレってどこですか」

「あ、こっちこっちついてきて」

 

 とてもフレンドリーなおじちゃんで良かったのだが、連れていかれた場所が明らかにバックヤード。

 

(ちょいちょい待て!ここ従業員が入るところでしょう!)

 

 商品とかが裏から店頭に出る際に通る「軽いタッチで開くあの扉」スイングドアと言うが、そこに連れてかれた。

 

(え、トイレは)

 

 恐る恐るついていったら中にはおばちゃん従業員達が作業していた。

 

(めっちゃ野菜切ってる)

 

 こんなところを客に見せていいのか疑問には思うものの、連れてこられたのだから大丈夫だろう。おばちゃん達が楽しそうに話しながら野菜をラップで包んだりしていた。

 

「ほれ、トイレここだ」

「あ、ありがとうございます」

「終わったらさっきの扉から戻ってな」

「わかりました」

 

 おじちゃんはそうして去っていった。スイングドアから入って結構歩いている。ドアのすぐそばにあればまだ納得なのだが思いっきり奥まで歩いた。

 

(あ、トイレはこちらって書いてある。誰がわかるねん!こんなとこ!)

 

 スイングドアのところに「トイレはこちら」とか書かれていればいいのだが、見ていない。見落としているだけかもしれないがだとしても驚きだ。

 

(みんなここ使うのか?ほんまに?)

 

 

 こうして用を足して俺はちゃんと飲み物を購入。お店で不思議な体験をした話でした。

 

 そんな懐かし記憶を思い返しながら歩いているとどうやら大通りに出た。大通りに出たならバス停は必ずある。

 

(普通にあった)

 

 右を向いた瞬間バス停が視界に入ってきた。というかすぐ近くにある。俺は意気揚々とバス停に足を向けて近づいてみたが1つ気になることがある。

 

(先客だと!)

 

 30代くらいの女性が先にバス停でバスを待っている。クソザコナメクジちゃんな私はこういう時どうしていいのかわからなくなる。並ぶためにその人の後ろに立つのも距離感が近すぎて気まずい。だからといって離れすぎも変。俺は決死の選択を迫られている。

 

(ぐ、まぁ並ぶのは普通だからな。うん。よーし並ぶぞ)

 

 俺は結局並ばずに少し離れたところで壁に寄りかかった。並ぼうとしたもののやはり気まずい雰囲気には勝てなかった。遠すぎない所でバスを待つという現時点では満点な回答でこの場を凌いでいる。そして、もう1つの問題がある。バスくるまでそこそこ時間があるということだ。どうやらバスは行ったばっかだったようで次のバスまで時間がある。ツイてないようだ。ここで目的地の最寄りバス停をしっかりと調べておく。

 

(青蓮院門跡に行くには神宮道で降りると。神宮道がどこなのかは知らないけど)

 

 バスで停車駅をしっかりと聞いていないと多分乗り過ごす。スマホの乗り換え案内にて調べてみるとどうやら4駅ほどらしい。意外と近いことが確認できた。

 

(バスってその土地ごとにちょっと違うから戸惑うんよね)

 

 前払いであったり後払いであること。料金均一だったりそうでなかったり。前乗りか後ろ乗りかなど。初めて行く土地でバスに乗る時はこういったところを瞬時に確認しなくてはならない。こういった時のチートアイテムは「交通系ICカード」。とりあえず「ピッ」とすれば払える。何も考えなくていい。なので、是非初めての土地でバスに乗る際は「交通系ICカード」にお金を余分に入金しておくといい。お金が足りなくなるのは1番めんどくさい。

 

(バスでチャージしようとすると少し嫌な顔される気がする)

 

 もたもたすると後ろが詰まるから俺はその状況は避けている。日本人らしいだろう。世間の目を気にするのは。

 さて、青蓮院門跡に行ってからは何も考えていないのでどうするべきか考えている。無難に言えば近くにある名所に行くべきだろう。そうなると八坂神社になる。移動するなら清水寺など選択肢は多くあるがどれが正解だろうか。

 

(その時考えればいいや)

 

 これぞ1人旅フィーリング。その時の感覚で行く場所なんて決めればいいのだ。考えるだけ無駄だった。俺は考えることを放棄しスマホを見てデジタルに入り込んだ。

 

「ブゥゥン」

 

 どうやらバスが来たようだ。女性が先に乘り俺はその後ろから乗り込んだ。ちなみに、後ろのドアから乗った。

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