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13.祇王寺

少しは情景伝わればと思います

 祇王寺の入り口はとても狭い。ひっそりと佇んでいるお寺なので色々狭い。竹の柵に囲まれた階段を上り右に進むと受付が見えてくる。

「ご苦労様です。大人1名ですか」

「はい1人です」

「300円になります」

 

 俺は拝観料を支払い祇王寺の空間に潜っていった。

 

(風景すべてが緑。これは自然との共存美だな。本当によくできているな)

 

 祇王寺をここまで推している要因としては、このお寺の名物である「苔」が絶妙に世界にマッチしているためである。苔寺とも呼べるこの祇王寺だが、庭園の地面部分が全て苔と木で埋め尽くされていて全ての光景が緑で染められる。

 

(禍々しいぞとても)

 

 かやぶき屋根の本堂があるのだが、苔寺の風情を壊すことなく質素にそして溶け込むように作られており、苔の庭園と本堂を一緒の画角におさめて写真をとると実にエモい写真を撮ることができる。

 苔寺で有名なのは西芳寺であるが俺はこちらの方が好きであることは間違いない。人が沢山いる場所よりも、こじんまりとした場所で一面緑の光景を独り占めする方が性に合っている。

 

(雨が降っていると尚、如何わしい雰囲気を醸し出すんだよな)

 

 そう。ここは苔が蔓延る苔寺。雨の日に来るとただでさえ薄暗いのに日差しが射さないため暗くなるし、雨によって苔がイキイキと存在を強調してくる。なので、より一層世界観が増されることになる。視覚が苔によって浸食される感覚なんて残念ながら日常ではありえない。雨の日に来る方が満足感の高い観光地なんてあまりないからこそ、是非雨の日にはおすすめしたい。

 

(写真~写真~)

 

 季節ごとにこの寺が見せる顔も違うので四季折々様々な姿を目撃できる。おすすめは夏だ。

 ここの写真を撮ることには慣れているのでいつもと同じ場所で撮影を試みる。本堂のちょうど真向かい、もしくは少し向かって右側がいつもの撮影スポット。逆光さえしなければ基本的にいい写真は撮れるので写真初心者にも安心だ。


 撮影を終えたところで俺は本堂へと進んだ。撮影している時に家族連れが1組来観してきて「すごいわね」と言っているのを聞き逃さなかった。子どもも「うわ、めっちゃ緑」と言っていたのでなぜか嬉しくなった。

 

(子どもよ大きくなったらリピーターになるんだぞ)

 

 さて、そんな冗談はさておき俺は本堂の入り口部分で座って休憩をすることにした。

 入口に腰掛けてスマホをいじっていると、1人で来たのであろう女性が何かしていることに気がついた。


(写真??)


 よく見ると境内に生えている低めの気に蝶々が3匹ほど休んでいるのが見えた。どうやらこの蝶々を撮影しているらしい。確かに美しいと感じるのは共感できる。一面緑の世界に蝶々3匹が仲良く一緒の木にとまっているのだから風情を感じないわけがない。女性はスマホではなく一眼レフカメラとも呼ばれる立派なカメラを手に納得いくまで撮影をしているようだ。


(虫もこの場所が好きなんかな)


 カタツムリとかは見たことあったが蝶々は見たことなかったので俺も蝶々が気になる。


(撮影終わったら見ようかな)


 休憩してると眠くはなるが寝てられない。折角来たので追加で写真を撮ることにした。様々な画角から撮影をして一面の緑を写真としてフォルダに焼いた。

 入口に戻ると先程撮影していた女性はいなくなり、蝶々ももう木にはとまっていなかった。飛んでいるのは確認できるが、それを撮影するのは困難なので諦める。そうなるとここも見るところはなくなったし、満足したので出るとする。

 入口と同じく出口も狭い。そんな出口を歩いていると受付から


「お疲れ様でした」


 との声が聞こえた。軽く会釈をして俺は祇王寺をあとにした。次は二尊院。


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― 新着の感想 ―
[良い点] これは訪れたことあるひとorないひと、どちらの方も楽しめる回ですね(勿論、これ以外の話もそうなんですが)♪ 単に風情や景色を描くだけでなく、映えスポットやその瞬間にしか味わえない楽しみが描…
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