弓を持った少女
私の名前はアズミ。
物心ついた時から冒険者だった。
両親の顔も名前も知らない。
冒険者とは、魔物を倒して素材等を冒険者ギルドに納品して報酬を貰い生計を建てている人のことだ。
強さによってランク分けがされている。
初心者はFから始まりF→E→D→C→B→A→Sと階級が上がっていく。
話に依れば私は幼い頃に誘拐されてその後、冒険者ギルドに保護されたらしい。
身寄りのない私を育ててくれたのは『トミオ』という冒険者だ。Bランク冒険者で任務の帰りに一人に私を見つけたらしい。
私は、その時『梓弓』を握っていたので『アズミ』と呼ばれた。
私の魔法攻撃は直ぐに開花したらしい。数時間で矢から炎を出したらしい。私は魔法の才能に恵まれていた。だからトミオは私に「魔道師になれ」と言っていたが私は頑なに弓を離さなかった。
私は、トミオの背中を見ながら育った。そして、冒険者としても立派になっていった。
任務をこなす度にどんどんと階級が上がっていく。そしてBランクのトミオに追い付いて一緒に冒険するという夢を描いていた。
その筈だった……
トミオが赤目の獣人に殺された。フーコー町の冒険者ギルドの隊長からそんな知らせがあった。
Bランク冒険者のトミオでも殺されてしまう程恐ろしい赤目の獣人。当時Dランクだった私は恐怖した。
その後暫く一人で魔物を狩っていた。数ヶ月? いや、半年くらい? 当時の私にはとても長い時間だった。そんな時に私に声をかけてきた人がいた。
「やぁ。君一人? 俺の名前はノリ。Dランク冒険者さ。良かったら一緒に狩りをしない?」
ノリという名前の男が声をかけてきた。