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2 永遠の悲しみ

 永遠の悲しみ


 ……君はいつも、泣いていたね。


 ……きっと、ゆらめきは、永遠の悲しみの中にいたんだ。……ずっと。僕の想像もすることもできないような、とても深い悲しみの中に。……とても深い、冷たい、光のない海の中にいたんだ。


 大地はごつごつとしていてとても歩きづらかった。空は真っ暗で、そこにはとても美しい星空が永遠に広がっていた。

 かがやきを息を切らせながらも、足を止めることなく、その歩きづらいごつごつとした岩肌の地面の上を歩き続けていた。


 それはゆらめきにもう一度、出会うための旅立った。


 ……遠い世界に行ってしまった君にもう一度会いたい。


 それがかがやきの夢だった。


「……ねえ、『永遠の悲しみ』って、知っている?」と、夜眠る前にゆらめきは言った。

「知らない。知りたくもないよ。そんなこと」とにっこりと笑ってかがやきは言った。


 かがやきの歩く真っ暗な夜の色をした大地は、永遠に続いているように見えた。それはゆらめきの言う永遠の悲しみ、という言葉をかがやきに思い出させた。


 ……永遠の悲しみか。

 確かにこの大地は、永遠の悲しみ、と言う名前を持っていても、おかしくない大地なのかもしれない。

 そんなことをかがやきは思った。


 ゆらめきは永遠の悲しみの中にいた。

 きっと、ずっと、ゆらめきは永遠の悲しみの中にいた。永遠に消えることのない、とても深い、悲しみの中に。


 かがやきはまた一歩を踏み出した。


 歩くことをやめず、ただひたすらに、その二つの足を交互に出して、歩き続けていた。

 とても深い夜の中を。

 とても美しい星空の下を。


 それからかがやきは、自分の手にずっと持っている不器用な形をした通信機を自分の口元に当てて、今日、何度目かの試みとして、「……もしもし。ゆらめき、聞こえる?」と言ってみた。


 でも残念なことにやっぱりゆらめきから、……聞こえるよ。君の声がちゃんと聞こえる。と、(かがやきの求める、理想とする)返事は帰ってこなかった。


 ざ、……ざざ……。と言う音を出すだけで、不器用な通信機は沈黙を続けていた。(そんな通信機を見て、かがやきは小さく微笑んだ。そんな不器用な通信機が、……ゆらめきに、ちょっとだけ似ていたからだ)

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