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第4話
と、のん気に歩いていたら赤信号を見落としてしまった。実に初歩的ミス!
両足大腿骨骨折で、ソッコー入院。お見舞いに来る人なんていないし、たまに母が来ると病院がざわめく。結構大きい会社の経営者だし、ルックスいいから。
私の骨折は2か月程度で治った。高校デビューならず。むしろ存在忘れられたかも。って状態になった。それからはリハビリの日々。
平行棒の間を歩く練習、往復の数をノルマとして私に告げると療法士さんは他の患者さんを見に行った。混んでるから仕方ないけどさ。
ノルマが終わると暇だ。平行棒の片側…鉄棒みたいに前回りしたらダメかな。ダメだろうけど。などと思う。
リハビリを1カ月し、退院の話をしに母が病院に来た。
「歩けるようになるだけで奇蹟的ですよ。本来なら寝たきりですから」
――私のこと?マジでそんなにやばかったの?
「そうじゃなくて、今後は車いすでの生活って伺いました。娘はリハビリは真面目にやったんですか?」
――私は真面目にやりました。信用してよー!
「もちろんですよ。車いすの手配ですが…」