第2話
「新入生代表挨拶!新入生代表疋田ヒカル!」
「はい」
私はすっと立ち上がり、壇上に上がった。
「この新緑の良き日に子供のころから憧れていたこの高校に入学できたことを嬉しく思います」
などと2分間くらい話し。
「新入生代表1年A組疋田ヒカル」
と話をしめて、段を降りた。我ながらよくできた方だと思う。体育館内がざわめく。
――私、何かしでかしたかな?かなりドキドキするんですけど
私の思いとはうらはらに、違うことで盛り上がっていた。「1年A組?あの子可愛い」「俺、チェック入れとこう」「スタイル良くねー?足とかキレイじゃん」「髪の毛サラサラ、ぜったいイイ匂いだよな」等々。他の女子生徒の反感を一日で買った。
教室に行くとやたらとまわりが話しかけてくる。免疫がない自分が憎い。「疋田さん困ってるよ、止めときなよ」という声も聞こえた。
タイミングよく担任登場。
「今日からクラス担任の北条だ。さっそくだが、クラス委員を決めなければならない」
――げっ、面倒なやつだ。
「女子のクラス委員は丁度いい、疋田でいいな。新入生代表だし」
「異論ありませーん」と多くの女子の声。みんなやりたがらないんだ…。当然か。
「男子のクラス委員、立候補いるか?」
なんと、5人は立候補した。自分から面倒ごとに飛び込むとは…。と思ったけど、私が目当てらしい。一緒に仕事ができるから。
「えーと、この中で一番成績のいいやつは…」
――そんな基準で決めるのかよ?クソ教師だな。
「佐伯!お前に頼む」
一部女子から悲鳴が上がる。佐伯君かぁ。成績が一番ってことは頭いいんだな(私の方がいいけど)。スタイルもいいな。顔もいい方だろう。運動神経はどうなんだろう?
「佐伯!お前が高校上がるの待ってたぞ。放課後サッカー部の部室で待ってるからな」
ということは、運動神経もいいのか。なるほどね、女子の悲鳴も納得。