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うちの娘：天寿からの調査員

　私が勤めている会社「天寿」の伊ヶ崎波奈（いがさきはな）社長から、直々に指令が下された。

　社長自らが理事長を務めている「星花女子学園（せいかじょしがくえん）」の内部調査だ。

　期間は二ヶ月。その間、教職員や生徒がどのように学園内で過ごしているか観察すると同時に、予算の適切な運用がなされているか調査し、それを会社の上層部に報告する。今後のより良い学園作りのためだ。私、蝶茶韻理早智（ちょうさいんりさち）は今回の任務のバディである番門碧（つがいかどあおい）と共に、今日から星花（せいか）へと乗り込む。

「行くわよ、碧（あおい）」

「……それはいいが」

「何？なにか問題でもあるの？」

「なぜ君まで制服を着る必要がある？」

「……碧（あおい）」

「どうした」

「これは、調査なのよね？」

「そうだな」

「身分を隠……」

「さない」

「秘密裏……」

「ではない」

「………………。スーツに着替えてくるわ」

「それがいい」