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断章 【赤い修羅】
ーーー赤い。
ーーー赤い、紅い、朱い。
これは何だ?赤い……水?否、血だ。
俺の身体から出ている。つまり、俺の血だ。
俺は………死ぬのか?いや、まだ死ねない。
俺の中の『あの子』は………まだ泣いているから。
「うっ……ぐうぅ………ッ!!」
剣を握りしめ、立ち上がる。
身体から必要なものが消えていくのが分かる。
それでも、止まれない。
「ガハッ……ゴホッ……!!」
吐血し、視界が揺らぐ。
太陽がやけに眩しく、すべての色が失われていく。
しかし、一つだけ…………視界に留まり続ける色があった。
ーーー赤だ。
視界を赤が埋め尽くしていく。
それが自分にとって良くないものということは理解できた。
それを使えば、俺としての存在を失い、狂い果てるだろう。
それでもーーーーー俺は!!
「あの子を…………護るためなら……ッ!!」
その瞬間、俺『暁 羅刹』は………人であることを捨てた。