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うららちゃんはゲームをやらない  作者: ササガミ
2章 ソカレリル・カレイドスコォプ
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まさかの契約

「それで?まずは、説明してもらおうか」


ウィンの顔、怖いなーとは思ってた。思ってたけど、ここまで恐怖を感じる笑顔は初めてかもしれない。

……笑顔ってものがこんなに恐ろしいものだとは。


「えっと……?」


怖いのもいろいろあるんだなぁ……なーんてぼんやり頭のすみっこで考えながら、アタシは首をかしげる。

だって、何を聞かれてるのかがわからない。


朝が来て、また歩いて、ほこりっぽい砦について、今はアラステアさんが食事をしてる。……ダーで。


ダーって聞いてアタシは食欲を無くした。お茶でいいです……せめてクラッカーでもいい、ほかの何かがアタシは食べたい。


レリオとブレンダンは今、この部屋にいない。

帰還の采配なんだって。お帰りのおしたくって言うよりもそっちのほうがかっこいい言い方だ。


このくらいの距離なら、アタシの充電は問題ない。


話を聞いてないのがバレたのかもしれない。テーブルの向こうで、目つきの悪いウィンがさらに目つきを悪くしてアタシを睨んできた。


「まずは、お前がなんなのか聞きたい」


「女子高生?」


「違うだろう!……記録によれば、普通の巫女は転移や、ああいう……魔法はめったに使わないんだ」


そんなおっきい声出されてもわかんないよ、そんなもの。

いちおう、花散らしに取りついた何か……だとは感覚で知ってるけど。


他にもいくつかの質問をされた。けどどれもアタシには答えられない。だって、聞かれてる事がそもそも意味不明。

わかんない。だから答えらんない。


最後の方には、ウィンも呆れてた。


「その指輪」


いい加減にあきらめたらしいウィンがパタン、とノートを閉じた。

そして、アタシの指にはまってる指輪を指差す。


前にレリオから貰ったのはなくしちゃったから、今あるのはアラステアさんにもらった、変身指輪だ。


「これ?」


「意味、ちゃんとわかっているのか」


「……便利な変身指輪?」


食後のお茶を飲んでたアラステアさんが、満足そうにうなずいた。うん、正解だよね?


「違うっ!」


……と、ここでウィンからキレのいい突っ込みが入った!


「え?でも……」


「それは、アラステアとのコンインケイヤクのアカシダ」


はい……?

コンインケイヤクのアカシダ?

耳が音を受け取るのを拒否してる。脳ミソが考えることを放棄してる。


「もう一回。意味がわかるように、もう一回」


ニコニコとお茶を飲んでるアラステアさんの姿に、ものすごくムカつくんだけど。

そんなアタシ達を交互に見て、ウィンは頭を押さえながら、ため息を吐いた。


「俺たちの習慣としては、うららちゃんはアラステアとの結婚を受け入れてるって事になってる」


「げ……ムリ……」


イヤァァァァァァァァァァ!!ムリ!ムリムリムリ!

絶対ムリ!

だって、アラステアさんだよ!?


うわ……。


「ぜったいヤダ……イヤすぎ……」


「だが、証人の前で指輪をつけて、もう3日以上経っている」


クラッときた。気が遠くなりかける。やめて。かんべんして。


だってこの指輪、抜けないんだもん!

うっわサイアク。

騙されたみたいな気がするんだけど!むしろだまされたよね!?サギだよね!?


「アラステアは王城で婚約の指輪を飾り、誰かと婚約する意思を示した。

そして、証人を立て、その目の前で君に渡した。

君は指輪を受け取り、三日以上身につけてる。

皆がそれを知っている以上、婚約は成立したことになっている」


ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!


「帰る!」


そうだよ、あっちに、アオイとしんちゃんが待ってるイベント会場に逃げちゃおう。

あんな、顔だけの人とは関わりたくない。

そうだよ、戦争は終わったんだもん、優秀ならアタシなんか居なくてもお城まで帰れるよ!


えっと、レリオのところに行って……それで……。


「王都に戻るのなら、急いで渡して欲しい手紙があるんだ。この手紙を、アラーナに渡してくれないかな?」


イラッ。


ムッカツク。

いつの間にか用意されてた手紙をアラステアさんに渡されたせいで、アタシは王都に寄らないといけなくなった。


××××××××


……逃げたい。


どうしてこうなった。


この国の伝統的な淡い水色の衣装を着て、アタシは祭壇の前に立ってる。


勘弁して……ううん、確かにアタシがイイって言っちゃった。

うん。あきらめるしかない。


早く終わらせて帰ろう。


目の前には、やっぱり伝統的な水色の衣装を着たアラステアさん。

うれしそうな顔をしてる……なんか申し訳ない。


戦場から帰ったアタシを王城で待ってたのは、この国の偉い人達だった。

なかなかの土下座っぷりだった。


嫌なら指一本触れさせないようにするから、形だけでいいから、アラステアさんと結婚して欲しいって言われた。


なかなかの、土下座っぷりだった。


……今回の戦争ってね、アラステアさんが王様やってないせいで起きたんだって。


この国で、アラステアさんを差し置いて王様になれるような人は居ないんだって。


この国、実は今、けっこうやばいことになってるらしい。

なかなか王様が決まらないことで、イラつく貴族たち。

王位継承順を意地でも守りたい王族や側近たち。

そのごたごたをいいことに、攻め込もうとしてくるお隣の国。


じゃあさっさとアラステアさんが王様になればいいじゃん!て思うでしょ?


そしたら、この国のルールで、結婚してない人は王様になれないんだって。


政治的な難しいあれこれで、アラステアさんが国内の誰かと結婚することはとっても難しくてできないし、同じ理由で外国からお嫁さんをもらうこともできないらしい。


そんな時に、アタシが現れた。


アラステアさんはなぜかアタシを気に入り、アタシ以外の妻はいらないとかなんとか、アタシからしたらひたすらめんどうな事を言い出したらしい……サイアク。

異世界より召喚されし巫女なら、ハクがつくから条件的にもよろしいとかなんとか……サイアク!!!


形だけの結婚でいいからって、子作りも必要ないし、一緒に生活しなくてもいいから!てあれだけの人数に土下座して言われたら……。


お妃としてのお仕事なんてやらなくていいし、マナーだとかそんなの気にしなくていい、本当に形だけ、年に数回パーティーとか会議にちらっと姿を見せるだけでいいから!!!ってあんな凄く偉そうな人たちに揃って土下座で言われたら……。


国を護るためなら、仕方ないかなーってつい。

……つい。そう、ホントについ。


イイって、言っちゃった。どうしたアタシ。大丈夫かアタシ……やだ……どうしちゃったんだろホントに……。


式が終わったら、逃げよ。

晩餐会とか、そのあととか、考えたくもない……っ!



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