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うららちゃんはゲームをやらない  作者: ササガミ
2章 ソカレリル・カレイドスコォプ
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魔法の指輪(2)

……待って。


今、アラステアさん、なんて、言ったの??


とりあえず、でつい反射的に断っちゃったけど、もしかして、もしかして、え?


にっこにっこと笑ってるアラステアさんの言い方は、軽いあいさつだとか、冗談を言ってるみたいだった。


「すみません、ちょっとよく聞こえなかったのに、ついうっかり断っちゃいました。

今、アラステアさん、なんて言いました……?」


「王位継承権一位と『異世界より召喚されし巫女』の間で婚姻を結び、長い間空いたままの玉座を埋めたい」


「こんい……ん??」


なんでわざわざムツカシイ言い方をするかな……。


こんいんを結ぶって、結婚するってことだよね?

『異世界より召喚されし巫女』ってアタシのことだよね?こんいんって、結婚しようって言われてるの?アタシ。


はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?


あり得ない。マジあり得ない。イケメン王子様枠だったらこの国には他にもいるし、お金持ちを狙いたいだけならレリオでいい。

いや、ホントあり得ない。特にアラステアさんと、ってのがあり得ない。


いや、話を聞いてないのに断ったアタシもあり得ないんだろうけどさ。


「ムリ、ムリですっ」


こんな、何考えてるかさっぱりわかんなくて、腹黒そうで、(アラーナさんが言うには)女好きで、遊び歩いてるとかいう……やっぱりあり得ない!


「じゃあ、うららさん。周りの男性の様子が少しおかしいことにはもう、気づいているかな?

色目を使われてたりはしていないかい?

困ったりはしていないかい?」


「……困ってます」


今!まさに今、困ってる。ていうか今が一番困ってる!!


レリオに告白された時もかなり困ったし、アルマンさんの、気持ちだけをいつの間にか置いていかれてえっ?これどうしたらいいの?みたいなのも、ホントに困るっ!


……どうしたらいいか、わかんない。


だって、今のアタシにとって大切なのは、『剣の持ち主が安全かどうか』だけだもん。


だからたぶん、持ち主が変われば、レリオが大好きって気持ちも無くなっちゃう。そんな気がする。次の持ち主の事が好きになって、その人の安全だけが気になるようになる。


もちろん、そのときの『好き』は恋愛の『好き』とは全然別物だ。大好き、と結婚したい、とか、そんな気持ちは違う。レリオには、アタシじゃない他の人と結婚してもらいたい。


今、目の前にいるアラステアさんとの結婚だとか、そんな話はもっと考えらんない。

生理的に受け付けないし、アタシ、この世界の人間じゃないもん。アタシ、まだ、高校生なんだよ?

高校生で、恋人がいる人はいても結婚してる人なんて、いるの?いっくら法律的に結婚オッケーな年齢でも、そんな人はすっごい少ないと思う……少なくとも、クラスメイトだとか、友達にそんな人はいない。


……この世界の人と恋とか結婚とか、ホンっトわかんないし、ムリっ!


「私も、困っているんだ」


ふぅ、とため息をついて、アラステアさんはカトラリーを手に取った。またご飯の続きを食べ始める。

アタシ?ずっと食べてるよ。おいしいもん。


そこのテーブルの隣の台に置いてあるムースっぽいの、デザートだよね?ね?美味しそうだよね?普段ダーしか食べてない世界に来たとは思えないくらい、素敵なデコレーションなんだけど。


「レリオは、ここ最近まで、一切の仕事を放棄してしまっていてね。……ボールドウィンでさえも、必要な仕事を打ち切って、ここに帰ってきてしまった。

全部、君の、……うららさんのせいだと思わないかい?」


……ええええええええええええ?


「アタシのせいって言われても……」


そんなこと、言われたって、困る。

ところでなんと、この部屋、メイドさんが居ない。


アタシは水差しを持って、コップに水を足した。氷もないのによく冷えてて、おいしい。これも何かの魔法なんだろうな。

アラステアさんのコップの中身も少なかったからついでに入れておく。


「彼らに対してうららさんが何かをした訳ではないね。

君の立場に立ってみれば、それはきっと、周りが勝手にそうなっただけだ。

でもね、困るんだよ、今のこのままでは」


だからって、アタシとアラステアさんが結婚?

わかんない。

なんで、レリオとウィンにお仕事をさせるために、アタシとアラステアさんが結婚するだなんて話が出てくるの?


……そう言えば、前にちらっとウィンもアラステアさんとの結婚話を言ってた気がする。


「特に、戦争を控えたこの時期に、あの二人に腑抜けになられるのはとても困るんだ」


「戦争?」


「隣国との開戦が近い」


戦争。日本に生まれて育ったアタシには、テレビの中の話だ。


こっちの世界の戦争は、きっと前にアタシ達がモンスターと戦った時みたいに、剣と魔法の戦いになるんだろう。


そして、レリオはそこに、戦争してる所に行かされる。だって、レリオ、魔力が大きいし、強いし。


《剣の持ち主を守れ》っていうメッセージが、絶対アタシを動かすって予想できる。

レリオを守らなきゃ。こんな人と結婚なんてしてる場合じゃない。


「もしもレリオが戦争に行くなら、アタシも行きます」


「それは許可できない」


ニッコリと笑いながら、アラステアさんは、食べ終わってるお皿を片付け始めた。食べるの早くない?なんてね、アタシもあと一口かふたくち。

最初から、ムリなく食べきれるくらいの少なめで用意されてたのがわかる。


「君なら着いていくと言い出すだろうと思っていたよ。

でもね、あの二人が使い物にならなくなっては困るんだ。分かるね?」


……分かるかっ!


アラステアさんの手でデザートが差し出され、アタシのほうは用意してあったティーセットで温かいお茶を入れる。


だってこのムース、すっごく美味しそうなんだもん。何のムースなのかな?ピンクのところはイチゴかな?白いところはホワイトチョコかな?上にキラキラゼリーまで飾ってある。食べてあげなきゃもったいない。


「あの、アタシ、こっちの世界の人じゃないですし、なんでアタシとアラステアさんが結婚することで、レリオとウィンが使い物?になるのかっていうリクツもぜんっぜんわかんないですし」


もしも……もしもだよ?このわけわかんない人と結婚なんてしたら、『アナタ(はぁと)』とかやらされるの?

え、まさか寝室は分けて貰えるよね?

……もしかして、アタシ、このお城に住まないといけなくなるの?


ぜったい、やだ。

アタシはレリオの近くにいないとダメなんだもん。


「一回あっちに帰ったら、いつまたこっちに来られるかわかんないし、アタシ、レリオからは離れられないし、ムリです。

どう考えても、アラステアさんとは結婚なんてできないです。……アタシ、絶対レリオについて戦争にもいきます」


アラステアさんはムースを一口食べてから、少し考えこむみたいな顔をした。


「それならば……」


あ、ここ、アラステアさんの部屋だったのかも?

アラステアさんは立ち上がって、その辺の引き出しをガサゴソしはじめた。


「……ああ、これだ。そこまでどうしてもと言うなら、婚姻の話はまた後でにしよう。

ところでうららさん。これを試してみないかい?」


なんだろ。アラステアさんがちょっとうれしそうにしてる。アタシ、アラステアさんの言うこと聞けないって言ってるのに。


テーブルに置かれたのは、可愛らしい、ツタをモチーフにした指輪。


「……えっと?」


これを、どうしろと?


アラステアさんはアタシの目の前で、指輪をケースに入れた。最初っからケースにしまっておかないとか、変なの。


「これは私が作った指輪でね。

……そうだ。面白い事になるかもしれないから、うららさんの友人のいるところでこれの使い方を説明しようか」


××××××××


デザートをしっかり味わったあと、アラステアさんと、アタシ、しんちゃん、アオイ、あと、何故かアラーナさんが集められた。


「この指輪を付けて念じると、動物の姿になることができるんだ」


アラステアさんはケースの蓋を開けて、指輪をみんなの前のテーブルに置いた。


ここ、アラーナさんのお部屋なんだって。

アラーナさんらしい、カワイイ部屋だ。

アタシはアラーナさんの隣に座ってゆっくりおしゃべりしたかったんだけど、アラーナさんから離れた所に座らされちゃった。


「変身するのは最初にイメージした動物に固定される。……うららさんならどんな動物をイメージするかな?」


「カピバラ!」


すぐに答えたのは、アオイ。

壁際に待機中のメイドさんに紙とペンを頼んでるから、きっと絵でも描くつもりっぽい。


「かぴばら……でございますか?」


アラーナさんが優雅に首をかしげた。


「カピバラよりは鳥の方が便利じゃないか?」


高いところも見られるし。て言いながら、しんちゃんもメイドさんから紙とペンを受け取る。メイドさん、仕事が早い。


「え、アタシ、おっきなくまさんがいい。強そうだし」


アタシがそう言ったら、全員に首を横に振られた。え?ダメ?くまさん。かわいいしおっきいし、よくない?


「あの、うらら様?」


「うららさん、あまり大きな動物はお薦めできないかな?」


アラーナさんが何か言いかけたのを、アラステアさんがジャマした。


「じゃあ、馬?乗れるし便利じゃない?」


「カピバラ!」


「小鳥!」


アオイとしんちゃんは言いながら、必死にお絵描き。

うーん、熊も馬もダメなら……えっと……。


「ねこ?」


そのタイミングで、アタシの片手が引っ張られる。ポン、とアタシの手のひらにケースが置かれた。

アタシは指輪を手に取る。うん。黒猫とかカワイイかも。小さい、黒い子猫。


「カピバラ!!」


「そこは小鳥だろ!!!」


アオイとしんちゃん、二人同時にバッ!と絵を見せてきた。


ずいぶんデフォルメされたカピバラと、鳥の絵だった。ウケる。


……ぽんっ!


「……へ?」


ふざけた音がした。とたんに、見える世界が、なんか、かわった。


アオイと、アラーナさんの顔がとろけそうになってる。

アラステアさんとしんちゃんは、ものすごくびっくりしてる。


「かっっっっわいいいいいい!!」


アオイがいきなりとびかってきたから、アタシは飛んで、避ける。


……飛 ん で ?


「うらら様、うらら様、とてもお可愛らしいです」


アラーナさんが興奮しながら壁の大きな鏡を指差したから、アタシはそっちへ『飛ぶ』。


……あああああああああああああああああ!?


カピバラ!

小さなカピバラに、なんか、ふっかふかの羽ついてるっ!


『え、やり直したい!』て、アタシは言った。言ったつもりだった。


「きゅる、きゅるるるるっ!」


鳴き声まで……こんなに替わって……。


『アラステアさん、やり直したいです!アタシは黒猫にしたかったのに』


「きゅうん、きゅるるっ!きゅるるるるるるる」


通じ る 気 が し な い っ!。


ひぃぃぃぃぃぃ!


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