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うららちゃんはゲームをやらない  作者: ササガミ
2章 ソカレリル・カレイドスコォプ
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うららとうらら?(1)

「う……わあぁっ!!」


しんちゃんとアオイが歓声をあげた。


この街道から王都に入るルートには、大きな門が作ってあった。アタシもこんなに大きな門が街道にあるのを初めて見る。


門の外のお店がお祭りに出てくる出店っぽいのは、夜中には門が閉まっちゃうからだと思う。きっと、店の荷物も人も、夜には門の中に入るんだ。


「この門は新しいんですよ」


馬車の手綱を握ってるのは、アルマンさんだ。


「確か、完成して一月もたっていないという話です」


……ん?


変な感じがしたから、アタシは門を見上げた。


意識を広げてみる。馬車の横にいるレリオがアタシをチラッと見たのがわかった。


すごくよくできた、メの細かい、レースみたいな魔力を感じる。多分、アラーナさんのだ。

アラーナさんの魔力は『繊細』っていう言葉がとっても似合う。

ところどころ、補助するみたいにキラッと光る、滑らかな魔力は他の人のだ。……誰のだろ?


高いチョコレートみたいにものすごく滑らかで、上品で、丁寧に絡むみたいな綺麗な魔力。


門の内側は、賑やかな街並みが広がってる。黒いい艶のある石畳、建物にも黒い色が多い。……ちょっとだけ、懐かしい。


レリオ、ブレンダン、ウィンがいるってことで、アタシたちはいったん、お城に行くことになった。


馬車から見える街の景色に、いちいちしんちゃんが歓声をあげてた。


「うららちゃん、後で武器屋とか入ってみたいんだけど行けるかな!?」


「んー、たぶん?」


レリオがいいって言ったらね。


××××××××


王都に近づき、俺はマズい事をひとつ思い出していた。


俺の屋敷の、うららの部屋。俺が散らかしたまんまだ。


ヤバい。

マズい。

うららに変態認定されるのだけはどうしても回避したい。


……例え、うららがボールドウィン様と付き合うとか、結婚するとか、子供ができるような事になったとしても。

うららによれば、俺は『この世界のうららの父親』らしいからな。嫌われたくない。


俺が必死に嫌われない為には、と頭を働かせていたら、ブレンダンが良い提案をしてくれた。


「異世界の巫女、賢者、王族が揃ってるんだ。

とりあえず、王城に顔を出した方が良いんじゃないか?」


「そ……うだな!王城にも俺の部屋あるし!」


ブレンダン、良い案だ!


王都に入る門を通る時、魔力……いや、魔力とは違う。

何かが揺らいだ。


うららが不思議そうな顔をして、門を見上げていた。


××××××××


王城に着いてすぐ、俺は城内にもある自分の部屋に向かわせてもらった。誰か手配して家を片付けさせないとマズい。

うらら、しんや、アオイ達はブレンダンが連れていってくれた。


多分、湯浴みと着替えを済ませてから、謁見室に通されるんだろう。


書類、修理依頼の武器、いろいろな製作依頼、防御の呪文……城で俺に届く仕事は、基本的に国から手配されるものばかりだ。

……つまり、軍や王族の為のもの。


山のように積み上げられた仕事依頼の書類を見て、もしかしたら戦争が始まるのかもしれないなと、俺は思った。


××××××××


ザ・お城!!

つやつや光る家具も、カーペット?じゅうたん?廊下に敷いてあるのも、ふっかふかでぜーんぶ高そう!


「じゃ、後で。……っと……明日くらいには誰か迎えに越させるから、それまでこの辺にいてくれな」


ニカッと笑って、ブレンダンが連れてきてくれた部屋には、なんと!


メイドさん達がいた。


メイドって言っても、スカート長い方のね。


……あれ?もしかして、メイドじゃなくて女中?女官?ホントは何て言うの?……わかんないからメイドでいいや。


メイドさんがてきぱきとお茶を入れてくれたのは、豪華な応接セットがある広い部屋。


「豪華な部屋だね……」


つい、小声で話しちゃう。アオイもしんちゃんも、部屋の豪華っぷりにドン引いてるのがわかる。

こんな中で暮らしてるんだ……王族ってハンパ無い!!


アルマンさんたちとはお城の門で別れた。


「いつでもフランツ一家を頼ってください。

その為にも、頑張って支店を増やしますから」


別れ際の、アルマンさんの、高級仏壇を売りつけて来そうな笑顔が怖かった。

なんであそこまでうさんくさい、それでいて爽やかな笑顔ができるんだろ?……けっこう、いい人なのに。


ていうか、フランツさんたち、ずっと旅をしながら商売してて、やっと最近持ち店ができたばっかなのに、もう支店を作るつもりなんだ!?


「うららさんが私達と一緒に旅をしてくれたら、王国一の店になるのも、すぐだと思ったんですけどね」


別れ際に、アルマンさんはそう言って、アタシの手の甲にキスしてった。ひぃっ!


すかさずレリオに魔法で治療されて、ウィンの手配した人にお風呂に入れられた。

わけわかんない。


……てわけで、この離れみたいな建物にはしんちゃんと、アオイと、アタシしかいない。あと、メイドさん。


レリオは、お仕事が沢山あるんだって。


最近、あの、妙に迫ってくる感じが無くなってきてたから安心できる。

レリオの近くに居たいのにな……。


《契約者を守れ》


あの、見えるけど見えない『命令』がチカチカしてる。


でもアタシとレリオの間にある『繋がり』からは異常を感じないんだもん。

言うこときいて、大人しくしてるしかない。


前よりもアタシは進化したんだもん。待て、くらいできるもん!


××××××××


……レリオ、どのくらい忙しいのかな?

お城に泊まってから、何日も顔を見せてくれないレリオにイライラする。


《契約者から離れるな》


「わかってるってば」


アタシは『花散らし水面』を握って、部屋を出た。


「うららちゃん、また特訓?」


部屋の中からアオイが声をかけてくる。


「うん。身体がなまっちゃったら困るでしょ」


アタシにとって、レリオは『花散らし水面』の製作者で、持ち主で、アタシがここで生きてく為のエネルギーをくれる人。


アタシがこんなんだから、レリオに勘違いさせてるのかもなぁ。


しんちゃんに注意された。


「そんなに会いたいとか、とにかく近くに居たいって言われたら、恋愛感情で好きだと勘違いされるのが当たり前なんじゃないか?」


でも、恋なんて、よくわかんないよ。

アタシはレリオの近くに居たいだけだもん。レリオを守りたいだけだもん。


部屋を出て、高そうな壺の飾ってある廊下を歩いて、いかにもお城チックな、渡り廊下みたいな所から中庭に出る。

小さな池があって、そのフチに座ったら、小さなお魚が泳いでるのが見えた。


アタシは、剣をそこに浸す。


この水は聖水じゃないのに、すごく気持ちいいんだ。少しそうしてから特訓すると、調子がいい。


……いきなり、手首を引っ張られた。


悲鳴をあげてるヨユウが無かった。

ばっしゃん、とアタシは水中に引きずり込まれた。


やばいやばいやばいやばいやばい!息が!息が!ていうか水鼻に入った!痛い!おぼれる!助けて!


「やっほー」


アタシは焦ってるんだっての!

……ん?


すっごくのんきな声に、聞き覚えがある。


「うわぁぁぁぁっ!?」


なんと!アタシがいた。


「今しか無いと、思ってさ」


アタシ。

どっからどう見ても、アタシ。


「始めまして、て言うの、確かに変なカンジ」


目の前で、アタシの手を掴んだまんまのアタシがはははって、笑った。


「……だれ?」


目の前に、アタシと同じ顔をした人がいる。


……嫌なカンジはしない。

敵……じゃ、ない……と、思う。


「アタシくらい霊格が高くなるとね、未来から過去に渡ることもできるんだよ」



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