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うららちゃんはゲームをやらない  作者: ササガミ
2章 ソカレリル・カレイドスコォプ
42/75

うららとレリオ(1)

ありとあらゆる手段で、それこそ占いから呪いから、俺が使える魔法を駆使してうららがいるであろう場所を調べた。

たぶん、うららはそこからゴル村を目指す筈だ。

だから俺もその方向に向かった。


夕べから降った雨が小降りになってきた頃、その村は見えてきた。


うららはどこまで来ているんだろう?まさか、行き違いになったりはしないよな?


「おい、レリオ。さすがにあの村で休もうぜ。

いい加減風呂位入りたいよ、俺……」


ブレンダンが愚痴てきた。ここまで俺たちは最低限の休憩しか取ってきてない。


「そうだな、そろそろうららに会えるかもしれないんだ。身綺麗にしておか」


「レリオー!」


うららの声がした。


旅装とは違う、ゆったりめの服。

ふわふわした髪を弾ませて、うららが俺に向かって駆けてくる。


雲の切れ間から差す光を背景に、それはそれは神秘的な一枚の絵画みたいだ。


「うららちゃん……」


やばい。

前よりも可愛く見える。あそこまで可愛かったか!?頑張れ俺の理性。

俺は紳士俺は紳士俺は紳士……。


「よぉ!うららちゃん、元気だったかー?」


俺の隣でブレンダンが軽く言う。

おい、気を利かせろよ!?

ここは二人っきりで感動の対面をするところだ。


あんな勢いで駆けてきたから、抱きついてくれる事を期待したけど、うららは平常運転。俺のすぐ目の前で立ち止まった。


「レリオ、すごく急いで来てくれたんだねっ!アタシもスッゴく会いたかった!」


あ、俺。


「でも、こういう事になったの、レリオのせいなんだからね?

ちゃんと名前を呼んでって言ったのに。

魔力の扱いが雑過ぎるんだよ」


ものすごく、うららが好きだ。


うららの小柄な身体は簡単に腕の中に収まる。柔らかな髪に顔を埋めたら、女の子特有の甘い香りが胸いっぱいに広がった。


「レリオ!?ちょっと、離してよっレリオ、聞いてる?苦しいって……!」


うららが暴れたから、俺は腕に力を込めた。


「うらら。好きだ。結婚してほしい」


腕の中で、うららの身体がびくりとした。

俺、最低でもいい。とにかくうららが好きだ。


「俺の側にずっといろ。もうあっちに帰るなよ……」


これが、『命令』にあたるのかは分からない。

もしかして命令になればいいと思った。そうすればうららはずっと俺と居てくれる。


俺の心臓がばくばく言っているの、うららには伝わっている筈だ。俺が本気で好きな事、そろそろわかれよ。うらら。


「それは受けられない命令です、ご主人様」


うららが他人のような口調になった。ご主人様って俺の事か?

なんて、冷たい声音だろう。


「なんで」


「アタシ達は、剣の持ち主を守るためにいる。

もし結婚なんてしたら……それは守る事にならない」


モゾモゾとうららが動いて、きゅるんとした目が俺を見上げた。


「それに、レリオは『花散らし水面』を作った人だよね?

お父さんと娘は普通、結婚しないんだよ」


うららは桜貝みたいな爪がついた手で、俺の服をつまんでる。


「アタシ、レリオの事は大好きだし、とても役に立ちたい。

言うことはなんでもききたい。でも、」


腕の中でうららがうつむいた。

愛らしい脳天が見える。


「やっていいことと、ダメな事ってあると思う」


××××××××


お前もか!!!!!


信じられないくらい、レリオは薄汚れてた。汗臭い。土臭い。髭が生えててなんか汚ない。

きっと急いで来てくれたんだ。

こんなに必死になってくれた。


うれしい。


抱き締めてきたレリオの腕は思ってたよりもたくましくて、あったかかった。

ばくばくしてるのは、レリオ?アタシ?


それなのに、信じられないくらい、アタシの気持ちは冷えてきてた。


レリオの事は大好き。でも、レリオには人として幸せになってもらいたいし、アタシの相手はレリオじゃない。


ていうかさ。


アタシ、今までもレリオは違うってアピールしてきたつもりなんだけど。アピール足りなかった?失敗してた?


レリオはアラーナさんみたいな人と幸せになるべきだと思う。

ここまでされたのに、いまだにときめけてないし!


逆に、なんでここまでレリオに恋愛感情持てないか自分でも不思議で仕方ないよね!?


たぶん、レリオが『花散らし水面』の製作者で、所有者だからなんだけどさ。


……もし、もしも、レリオが所有権をウィンに譲ったら、少しはアタシも気持ちに応えられるのかな。


どう、思う?アタシ。


ううん。やっぱりレリオじゃない。


ところで、気まずい。

これ、どうしたらいいの?スッゴく気まずいんだけど。


なーんていろいろ悩んでたら、襟首をぐいって引っ張られた。


「そういう訳だ。諦めろ、コルベリ」


「ボールドウィン兄さんがうららちゃんと一緒だったのか?」


こら、ウィン。アタシは猫じゃない。襟首を!持つな!そしてどっから湧いてきた!


「やめてよ。お腹出ちゃうじゃん」


ウィンの目付きが悪い。アタシはキックしたかったけど、襟首を持たれてるし届かなかった。


「うららちゃんはもう少し寝ていろ。コルベリ、ブレンダン、お前達も来い」


ひょいっと、アタシは担ぎ上げられた。頭に血がのぼるっ!


「やだ、下ろしてよっ恥ずかしいっ!」


「なら、お姫さま抱っこにするか?」


ウィンに、お姫さま抱っこされる?

いえいえそれはツラい。恥ずかしい。やだ。


「歩けるもん」


「裸足で?」


あれ?


アタシ、なんでハダシ?

しかも、パジャマのまんまだ。


「じゃあ、おんぶっ!ね、おんぶっ!」


一生懸命アピールしたら、なんとかおんぶにしてもらえた。


……ウィンは、やっぱり、レリオと違う匂いがした。


あれ?アタシ、アオイとしんちゃんと一緒に宿屋にいたハズなんだけど。

アタシ、どうやってここに来たんだったっけ?


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