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うららちゃんはゲームをやらない  作者: ササガミ
2章 ソカレリル・カレイドスコォプ
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ソカレリル・カレィドスコォプ

お久しぶりです。

未だに準備中ですが、とりあえずフライング投稿です。


第一章と供に文章の手直しが入る予定がございます。

ネトゲ。ソシャゲ。アプリ?

……とにかく、ケータイとか、スマホとかでできるゲームで、それは今ものすごーく人気がある。らしい。


「……で?」


アタシはアオイの手元をのぞきこんだ。柑橘系の香りがした。

アタシも同じ制汗剤使ってるから同じ匂いがしてるのかもしんない。


買ってもらったばっかりのアタシのスマホに、見慣れないアイコンが増えてる。


「アバターの名前はどうする?うららちゃんのまんまでいーい?」


夏休み直前の教室は暑い。

窓は全開で、カーテンが揺れてた。



「なんで勝手にゲームなんか入れるかな」


アオイの手からスマホを奪い返した。

ゲームとか、めんどくさいし苦手。


「いいじゃんうららちゃぁん。一緒にやろうよぉ」


机に突っ伏してアタシを見上げる美人をちょっとだけにらむ。この感じだと、アオイはアプリ消させてくれないと思った。


他に詳しそうな人……。


アタシは教室を見回す。

いっつもその辺にいる彼がいない。

……と思ったら、トイレか何処かに行ってたのかな?

教室に入って、真っ直ぐ着席する幼なじみの所に行った。


「しんちゃん!」


しんちゃんはやる気なさそうにこっちを向いた。

その席に近寄って、アタシはスマホを見せる。


「これ、消すのはどうやんの?」


しんちゃんはゲームのアイコンに触って、少しいじった。


「え、消しちゃうの?せっかくUSSレアが出たのに?勿体無なくね?」


それからちょっとびっくりしたみたいな顔をした。


「いいから消してよ。アタシ、ゲームはやらないの」


ゲームってよくわかんないし。わかる気にもなれないし。


しんちゃんは少し眉を寄せて、アタシのスマホを眺めてた。


「せっかく伝説のUSSレアキャラ、レオリールなのに勿体なさすぎる……」


USSレア?

とりあえず、珍しいキャラだってのはわかった。

でもさ、やらないアプリを入れといてもさ?

画面上でジャマじゃない?


「だよね?もったいないよ、だからうららちゃんはさっさとアタシとフレンド登録しよっ!」


アオイが背中に乗っかってきた。暑い。重い。


「えー……」


ものすごくめんどくさい。


「田村もこれ、やってんの?ギルドはどこ?」


「アオイ」


アオイの目が細められた。アオイはアタシと違って大人っぽいし、なんといっても美人だし、横目でチラッと見ただけでも迫力があった。


「……アオイさん」


「違う。アオイちゃんか、アオイ」


「……アオイ」


大輪のばらが咲いたような笑顔って、こういうのなんだろうなーって。

アオイもスマホを操作して、しんちゃんに画面を見せた。


「うん。ほら。先週始めたとこ」


「へぇ。ミッションはけっこうがんばってるんだな……あれ?フリーなの?ギルド入らない派?クエストとかバトル辛くない?」


「フレンドは何人かいるけど、ギルドはこのステじゃお誘いも来ないし。

どっかのギルドには入りたいけど……」


ふたりはゲーム話で盛り上がってきてるけどアタシにはなんの話かさっぱりわかんないよー……!


「ねぇ……」


「もし良かったら、俺んとこのギルド入る?」


「ねぇ、ねー……」


「え?ギルド入れてくれんの?どこ?」


「ねぇ、しんちゃーん、アオイー」


「『ダークソード』って、知ってる?そこそこの大手だと思うんだけど」


「知ってる!ネットとかでめっちゃ有名なギルド!」


ギルド、とは……?


話についていけないしー。

そもそもなんの話なのかよくわかんなくなってきたしー。


アタシはそっと自分の席に戻った。い……いじけてなんてないもんっ!


机に肘をついて、窓の外を見た。

あの、空みたいに濃い青が水面にうつったら、きっとアタシがレリオにもらった剣、『水面(ミナモ)』みたいになる。


自分の中に意識を向けると細い糸みたいなものを感じる。

そこからレリオのあの、あったかい魔力を感じることもできた。


なんで呼び出してくれないのかなー……。


レリオに会いたい。

あっちにいたときは早く帰りたくて帰りたくてしょうがなかったのに、今度はレリオに会いたい。


いつ切れちゃうかわからない位の細い糸。

レリオから引っ張ってくれなきゃ、今のアタシじゃまだ、ひとりの力であっちに行けない。


今日も暑いな……。


気温も湿度もあつっくるしくて、うっとおしくて、レリオの魔力が細々としか感じられないから寒かった。


「うららちゃん!」


しんちゃんとの話は終ったのか、アオイがアタシのとこにきた。


「帰りに渡瀬(わたせ)くんのおうちに行くわよっ!」


アオイの顔がキラキラしてる。アタシはわざとらしく大きなため息をついた。


「アタシ、行かないほうがいいんじゃないの?」


つかどうせしんちゃんちの隣じゃん、アタシの家。

ふたりでそのゲームで盛り上がってからうちに来たって、アオイと宿題するとか言っとけばお父さんもお母さんもきっと怒らないよ。


「ダメだよ、ふたりっきりとか緊張すr」


「どこの口がそれを言うのかな?」


さっきまでふたりだけで盛り上がってたくせに。

……羨ましいとかじゃないもん。

アオイが構ってくれなくてサミシイだけだもん。


「……とにかくっ!今日の放課後、うららちゃんのゲームの設定についていろいろやるからねっ?……あと、来月そのゲームのイベントに3人で行くから、バイト空けといてよ!」


……はぁい。


××××××××


しんちゃんの部屋に上がったのは、小学生ぶりかもしれない。

おもちゃが減って、なんかの人形とポスターが増えてた。


「だからさ、基本はミッションとフィールド探検でさ」


しんちゃんがアタシのスマホを操作してる。

フレンド登録とか、ギルドがなんちゃらとか……わからん!


「ギルドってのは、ゲーム内の仲良しグループくらいだって気軽に思っててくれよ。ギルドが同じだとバトルの時に手伝えるし、いろいろ便利だから」


デッキ……とかいうのを設定して、装備を設定して……やったのはしんちゃん。


だって、アタシが一生懸命考えて強いのを作ろうとしたのに、『コスト』とかいうのが足りませんってなっちゃったんだもん。

で。

コストにあわせて設定しようとしたら今度はめちゃくちゃ弱いし。


「ほい。これでそこそこ行けると思う」


「ありがと」


100個位のギフト……プレゼントってことかな?……とかいうのがだだだって来てたのはびっくりした。


ギルメン(『ギルド』に登録してる人たちのことを、しんちゃんはそう呼んでた)からアイテムを集めたみたい。


「レオリールは、レベル80までは最弱キャラだし、成長素材の『星の涙』が入手困難アイテムだから大変だとは思うけど。来月のイベントまでに回復アイテム使いまくってレベルマックスにしてもらうから」


……わからない……しんけんに、わからない。


「……だから、一日一時間、俺にそのスマホを貸せ。やっとくわ。あとわかる範囲でいいからミッションとかやっとけよ?」


「じゃ、アタシがバイト行ってる間、預けとくからやっといてよ」


「わかった。あと、これからフレンドの申請が来ると思うけど。フレンド枠にも上限があるからなるべくギルメン優先で頼むね?」


アオイ、よろしく!

アタシはしんちゃんの部屋を眺めてニッコニッコしてるアオイに、その『フレンド承認』とやらをお願いすることにした。


××××××××


朝は早起きして、ジョギング。

うちの前にある小さな公園でレリオとやってたみたいに剣の型のおさらい。


シャワーを浴びて、家族の朝ごはんを作るのも、晩御飯をお母さんと作るのも、あっちから帰ってきてからはじめたこと。


呼び方は教えた筈なんだけどな……。


蝉がうるさい。暑い。日陰に早く入りたい。


今日はゲーム『ソカレリル・カレィドスコォプ』のイベントがあるみたいで、アオイとしんちゃんのデートになぜかアタシも連れて来られたという……。


未だにデッキ組むのも装備設定するのもしんちゃん任せだけど、なんとかアタシのレオリールはレベル87まで育ちました。


……レベル87になって、突然強キャラになったからプレイするのは楽なんだけど、バトル申請とかフレンド申請がやたら増えて面倒というか……。

イベント会場への入場列に3人で並んだ。


「今日は他のギルメンも何人か来るよ」


「本当?楽しみ!」


入場まで一時間は待ちそうな列にアタシはちょっとうんざり。


ほら、しんちゃんとアオイはさ……どれだけ待っても平気なんだろうけど。

アタシはなんでここに居させられてるのかわかってないしさ……レリオ、じゃなくてレオリールですね目あては。


オートスキル《鼓舞》(チームの攻撃力20%増し)

オートスキル《バリア》(自身が受けた攻撃の80%カット)(チームの受けるダメージ30%カット)

オートスキル《アミュレット》(自身の状態異常完全拒否)


なんでしんちゃんがあんなに頑張ってアタシのレオリールを育てたのかわかる気がする。

今日、ギルド戦やるんですもんねそうですよねどチートキャラがギルドに入る可能性出てきたら、そりゃギルマスは頑張るよね。


行列にはコスプレしてる人たちがちらほら見えた。

列が進んで、ここからでもコスプレ会場が見えてきた。


ふぅん……なんか、こうして見てると、このゲームのキャラクター達ってあっちの世界の人たちの格好に見えなくもないかなぁ。


黒ずくめのマントをつけた細身の剣士のコスプレしてる人のカッコが、レリオに似てなくもない。


受付を過ぎた中には関連グッズ販売だとか、バトル会場だとか、他にもいろいろあるんだって。

……キャラクター解説、とかもあるかな……?


「あれ?うららちゃん!?」


遠くからかけられた声に、聞き覚えがあった。

軽めの鎧、がっしりした体つき……あれは……。


「ブレンダン!?」


にかっ!て笑顔のブレンダンが走ってアタシの方に来る。

あっという間に並んでるアタシの隣についた。


「なんで…なんでブレンダンがここにいるの?」


「さぁ?……あれ?」


ブレンダンの笑顔が曇る。


「うららちゃんて……こんな顔だったっけ?」


うん、アタシも同じこと考えてた!

引き締まった身体。背が高くて足が長い。

りりしい顔。

ブレンダンてこんな……認めたくないけどこんなにかっこよかったっけ!?


アラステアさんのイケメンぷりを考えたら……そっか、兄弟だもんね、ブレンダンももしかしてイケメンに属しててもおかしくないのかも。


で、 そ ん な こ と よ り


なんでレリオじゃなくてブレンダンがここにいるの?

どうやってこっちに来たの?


なんで、ブレンダンのくせにこんなにかっこよく見えるの?


でも、どうせなら、レリオに会いたいよぉ……。


「うららちゃん、友達?」


しんちゃんとの話が盛り上がってたアオイは、アタシと知らない人が話ししてるのが気になったみたい。アタシのバックを引っ張った。


「こんにちは。あたし、うららちゃんの友達のアオイです」


「どうも。俺はブレンダンだ」


……あ……道が、開く。


見えない糸に、思いっきりひっぱられた気がした。

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