転んだ…っていうかつまづいたっていうか
よく、さ。
異世界転生物とか、さ。
あるじゃん。
主人公は大体男の子(偏見)で、どチート(偏見)でさ。
アタシはっ!
女の子だぁぁ!
そうだ、神様!神様とか天使とか何か!
こう……何か魔法の使い方を!
教 え て 下 さ い !!!!
アタシは見知らぬ森の中で追いつめられてた。
自慢になるけど可愛さにはそこそこの自信あるよっ!
ほら!誰か助けよう!?
素早く辺りを見回しても、人影は無い。
しょうがないから、涙目になりつつ、落っこちてた木の枝を拾う。
「ぶみゃぁぁ!」
目の前にいる、ぶよぶよクラゲに投げつけた。
ぽよん
「いやあああああああ」
ダメージゼロってやつだぁぁぁ!
だんだんぶよぶよクラゲはアタシに向かって近付いてくる。
もうダメ……アタシこんな所で死ぬのかもしれない……だって、ものすごく、クラゲの移動速度が早い!
一生懸命走っててもあんまり距離が開かない!
こうなったら……アタシは石ころを拾う。投げる。
あ
外れた。
「いやぁぁぁぁぁ!」
もう喉が痛い……。おかあさぁぁぁぁん……。
ほら!このタイミングで勇者的な誰か!?……はやっぱり来てくれてなかった。
7センチヒールの靴を脱ぐ。
本気で逃げてやる!逃げきってやる!
で、走っていたら、虎とばったり出会いました。
「いぃやぁぁぁぁぁ!?」
なんで虎!?
なんで虎が黒光りしてるの!?
バスッ!
パシャァァ……ン!
虎が、切られて、消えた。
「あ、スライムと遊んでた人だ。……ん?なんで泣いてるの?」
穏やかに微笑むその人を前に、アタシは、とりあえず、気を失った。
××××××××
アタシは、近道をしたかったんだ。
アオイと買い物に行く約束をしてて、待ち合わせ場所の駅前広場……の少し前で転んだ。
正確には、マンホールにつまづいた。
そして、なぜか穴に落っこちて、この森に着地した。
普通に落っこちたんなら、怪我のひとつもしてたんだろうけど、その穴は深くて深くて、だんだん感覚が鈍くなってきて……(まさか落っこちながら寝てたとか言いにくい)……気が着いたら森にいた。
そしてぶよぶよと遭遇した。