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国土整備開始5

 俺が果物を食べ終わるとリリーが片付けを始め、バーンズは部屋から出ていった。マーチの所に行くんだな、そうだな疾風達が作った地図を試してみるのも良いか。


「疾風と麻白は二人で青香達の相手を頼めるかな?さっき見せて貰った地図を使って城の周りを見たいんだ。」


「一緒はだめなの?」


 疾風は頑張る!って感じの表情で二人の元へ歩いていった。流石に喧嘩はしていないけど、青香と陽炎だけではいつか始めそうだ。麻白は悲しそうな顔で俺を見ている。


「港の方まで行くと危ないかもしれないからね。それに、青香達を疾風だけに任せるのはきついだろうしな。」


 リリーも居るけど、何かあったとき一人では手が回らないかもしれないしな。


「わかった。今度は連れてってね?」


「そうだな、安全が確認されたらこの前みたいに外で食べるのも良いな。」


 そう言って頭をなでるとしぶしぶ三人の所へ歩いていった。俺はそれを見送ってから食堂を出ると、地下倉庫兼格納庫へと向かった


 俺が地下格納庫の扉を開けるとそこには色々な機械が起動していた。倉庫にあったハッチが開きそこから出てきているようだ。バーンズとマーチは俺に気づくと、マーチは機械に並ぶように指示を出しバーンズと共に近寄ってきた。


「ソーヤ様何かご用ですか?」


「俺も一緒に行こうと思ってな。疾風達が近くの地図を書いてくれたから、それの確認もしたいしね。問題ないよな?」


「勿論です。今日は港予定地への調査が主な予定ですので、時間は問題在りません。」

 

 そう言ってバーンズは頭を下げる。それにしてもここにある機械は地球の物と似てるな。


「ここにある機械はマーチの眷族だよな?此奴等が港や町の仕上げをしてくれるんだな。」


「はい、マーチの眷族の工作機械達で、この星の工作機械や地球の工作機械を参考にした物達です。」


 確かにブルドーザーやパワーショベルなど、よく見る機械が存在しているが、中には見たことのない物も在る。


「そこにある箱型の物は何だ?」


「そこにあるのは、残骸などを圧縮してブロック状にする、物質圧縮機でス。」


 なるほど、上から入れた物を内部で圧縮してかさばらない様にするのか。


「それとそこにあるのが作業のサポート用半人型ロボットです。戦闘用ではありませんが多少は戦えます。」


 指差した方をみると、腰から上は人型で腰から下がキャタピラー式のロボットが何体か並んでいた。たしかに細かい所なら人型の方が向いてるだろうな。俺はマーチに作業に戻るよう言うとマーチは眷族達の側まで移動し反転すると後ろに付いていたハッチを開いた。そして眷族達は列になってそこへ入っていく。


「マーチの後ろのハッチは眷族を収納できる空間になっています。他にも昨日ソーヤ様が座っていた上部には非生物を入れる事の出来る空間に繋がるハッチもあります。」


「非生物って事は道具とかは運べるわけか。長距離移動するときの食事はそこに入れるのか?」


「はい。リリーの空間にも用意はしていますが、二手に分かれる場合役に立ちますので。それと、植物の種や実を入れる事も出来ますが発芽能力が無くなりますので、その点は注意をして下さい。それを利用して病原菌などの繁殖機能を消して無力化する事も出来ます。」


 残念、種の仕入れはマーチ任せには出来ないわけか。俺達はマーチが眷族達を収納し終えるまで待って、港予定地への調査へと出発した。


 俺は疾風達が書いた地図を見ながら移動しているが、地図の精度はかなり高くて結構役に立つことが分かった。


「疾風達のおかげで調査が捗るな。・・・そこの谷を湖に繋いで川にしたらどうかな?」


 俺は地図を眺めながら川や道などの設計を話し合っていた。


「そうですね、それで良いと思います。この地図はかなり正確に地形が書かれているので設計に役立ちますね。今、ソーヤ様が谷も湖から海まで繋ぐことが出来るくらいのことは分かる精度ですし。」


「それにしても森がないのは不便だよな。貯水能力が山にないから、溜まった雨水や海水を水源として使うしかないからな。」


 俺は剥き出しになった山肌を眺めながらため息をついた。


「そうですね。少しずつ浄化した土地を増やし、緑化させていくしかないでしょう。魔樹や魔草を浄化したしていない土地に植えても実を付ける前に魔物化してしまうでしょうから。」


「魔樹や魔草ってのは城の庭に生えてる植物だよな。俺の持つ力とどう違うんだ?土地の魔素や灰素を集めてることには違いはないだろ?」


「確かに魔樹なども灰素などを集める点では同じです。しかしそれは圧縮して実に蓄えているだけです。魔人族やソーヤ様が食べることなく地面に落ちればいつかは腐り圧縮してあった分その周りの汚染が酷くなります。それとマーチにはソーヤ様と同じく浄化する力は在りますが、魔素結晶化する事で蓄えますので効率が悪いのです。」


「俺なら灰素を変換して魔人族を増やせるから、効率は魔人族が増えれば増えるだけ効率が上がるって事か。」


 地図も端に近づき海が近づいてきた事を感じていたが目の前にはかなり大きな岩山が聳え立っていた。


「バーンズ、これを回り込むとなるとどれだけかかる?」


「そうですね、二時間と言ったところでしょうか?」


 遠いな。地球ならトンネル掘る方法があるけどどうなんだろ?


「ここから反対側までの距離はどれくらいだ?」


「そうですね地図には山に遮られて反対側の地形は見えなかったのか書かれていませんが、海岸線をみる限りは二キロほどかと。それを聞いてきたという事はトンネルですか?」


「ああ、マーチ任せにはなるが掘れるならその方がいいと思ってな。どうだ、マーチ出来るか?」


「了解、調査機を先行させまス。ソーヤ様は少し早いですが昼食を取ってはどうでしょうか。」


「そうだな、なら俺は昼食を取ることにするよ。食べられる物を出してくれるか?」


 俺がそう言うと俺が座っていた場所から少し離れていた所のハッチが開き中からアームが果物を持って近づいてきた。


「ありがとう。」


 俺は受け取るとそれを食べながらのんびりと過ごした。時々バーンズは魔物を倒しに行っているようだが、近くまで魔物が近付くことはなく、俺は安心してバーンズを眺めていた。


 暫くするとマーチが眷族から送られてきたデータを元にトンネル作成の準備が終わったことを伝えてきた。


「ソーヤ様はバーンズと共に私の後ろから着いてきてください。移動用の眷族を出しまス。」


 そう言うとハッチから装甲車のような眷族を取り出した。


「俺はマーチと一緒では危ないのか?」


「危ないと言うよりは、変形すると乗る場所がなくなりまス。」


 そう言ってマーチは俺達が下りたのを確認すると変形を始めた。その姿は巨大な削岩機が前に付いた電車のようだった。


「前に付いている部分で岩盤を砕きながら取り込み、周りに圧縮しながら張り付けることで崩落を確実に防ぎまス。」


 なる程これなら乗れないな。後ろからついてくのも崩落の危険はないなら安心だ。


「ソーヤ様、それではお乗りください。マーチ、眷族に魔光灯を設置させてください。その方が後々役に立つでしょう。」


「了解、それでは作業を開始しまス。」


 マーチはハッチから何機かの眷族を発進させて、目の前の山へと潜っていった。以外に速度は速いな。


 装甲車の中に乗り込んだ俺は、マーチから安全な距離を取り解説を聞きながら進み始めた。


「ソーヤ様、魔光灯の説明をしながら進むことにしましょう。」


「分かった。名前からすると魔素を使って光道具だな?」


「はい、他の大陸で売られている標準的な照明器具です。消費魔素が少ないので、汚染も気にするほどではありません。サイズ的にも小さめですが十分道が分かる程度には発光します。」


「もしかしてマーチの眷族が天井と両サイドに刺してる杭のような物がそうなのか?」


「その通りです。まだ必要量の魔素が溜まってないので光りませんが、明日くらいには光り始めるでしょう。」


 俺がのんびりと車に揺られながらウトウトしていると急に装甲車が止まった。


「バーンズ、どうかしたのか?」


「どうやらマーチが山を抜けたようです。」


 そう言われて窓から顔を出してみると僅かに潮の香りがしていることに気づいた。でも、車を止めたのは何でだ?


「ここで停止しているのは何でだ?出口は危険があるかもしれないからか?」


「いえ、マーチの調査では敵対する魔物などは居ないようです。ここに止まっているのは、トンネル開通時に外の光が射し込みソーヤ様が目を悪くしてはいけないので、目を徐々に慣らすためです。」


 確かに急に明るくなったら危ないのか?この体の耐性がどれだけあるか分からないから、その方が安全なのかもな。


 そしてついにマーチがトンネルの向こう側へ抜けきると光と共に風か吹き込んできた。


「へぇ、なかなか良い風だな。問題ないみたいだし先に進もう!」


「分かりました。それでは外へ進みます。」


 俺を乗せた車はゆっくりと進みついに外へと抜けた。そこには綺麗な海が広がっていた。


「うわー、こんな綺麗な海は初めて見たよ!お、マーチも元の姿に戻ってるな。」


「そうですね、地球よりも石油を使っていないので海水だけなら汚染は地球よりも無いでしょう。勿論海中にも魔物が居ますから、危険ですのであまり一人で近付かないでくださいね?」


 そう言ってバーンズはマーチのそばに車を止めると車から俺と共に下りた。車から降りて改めて周りを見渡すと、このあたりは岩が多い磯のような地形だったが、少し離れたところには砂浜も在るようだ。


「ソーヤ様、私はマーチと共に港の予定地を詳しく調べます。ソーヤ様はあまり私達から離れすぎないようお願いします。マーチの眷族の調査では近くに魔物は居ないようですが、生物は居るようですので。」 


「分かった。なら俺はそこの岩場で何かないか見てくるよ。」


 そう言って俺は岩場屁と向かった。マーチは眷族を出現させると次々と海へ放っていった。海底の調査の様だな。


 岩場へ着いた俺は岩の隙間などをのぞき色々探してみた。その結果。


「地球と同じ様な生態系なんだな。イソギンチャクやヤドカリ、磯溜まりには小魚か。色はカラフルだけどな。」


 そうだな、あの子達にも見せてあげたいから塩水湖へ放流ってのも良いな。よし、バーンズに聞いてみるか。


 俺が走ってくるのに気づいた二人は俺の方に近づいてきた。


「何かありましたか?」


「いや、問題はないよ。所でマーチ、生き物をここから塩水湖へ運ぶことは可能か?」


「あまり大きな物ではなければ眷族達で運ぶことは可能でス。しかし魚などは餌がないと生きてはいけないので、肉食の物はお勧め出来ません。」


「そうか、それもそうだな。なら藻なんかを食べる蟹や貝なら大丈夫だな?」


「それならば可能でス。」


「よし、塩水湖へ道が繋がったら移動を頼む。」


 そして俺は磯へと戻りマーチやバーンズが呼びに来るまで、心まで子供の戻った感覚で、心行くまで楽しんだ。

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