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隣の部屋に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする  作者: 夕姫


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25. 男はいつだって守るべきものの為に戦う。春秋戦争の開戦だ

25. 男はいつだって守るべきものの為に戦う。春秋戦争の開戦だ




 ある日の夜、時間は白石が帰ってからずいぶん経ち、すっかり部屋は静寂に包まれていた。明日の準備を終え、後は寝るだけだ。喉が渇いたので、キッチンへ向かい、いつものように冷蔵庫を開けた。冷たい空気がふわりと顔にかかる。しかし、冷蔵庫の中を見て、オレは思わず固まった。


 見慣れないタッパー容器が、びっしりと棚を埋めているのだ。大きさも形もまちまちで、中には何か調理されたものが入っているのが見える。いつの間に?昨日はなかったぞ?こんな、まるで別人のもののようなものが入っているなんて。


 この部屋で、オレが知らないところで、勝手に何かを仕込んだ人間は、一人しかいない。オレはすぐにスマホを取り出し、白石の連絡先を探した。コール音が鳴り、すぐに電話に出た。


「もしもし!?」


 《先輩?どうしたんですか?寝る前に私の声が聞きたくなったんですか?それなら夜這いすればいいのに!玄関開けときますね!》


 白石の声はいつものように明るく、その能天気な声を聞くと、さらにイライラが増す。


「いらん。それよりお前……この冷蔵庫の中に入っているタッパー類はなんだ?勝手なことするなよ!」


 オレは怒りを込めて問い詰めた。人の家の冷蔵庫に、断りもなく物を入れるなんて、どういう神経をしているんだこいつ。


 《あー、それですか。週末に食べる料理とかですよ?あとは、先輩が外に買いにいくの面倒な時に食べれるように作っておいたんですけど?感謝をされてもいいはずなのに、何で私が怒られてるんですか?》


「勝手なことしてるからだろ!」


 《え~今さらじゃないですか?私、先輩の冷蔵庫からプリンとかアイスとかもらってますし》


「それも許可してないからな?」


 まぁ確かに、作っておいてくれたこと自体はありがたいし助かることなのかもしれない。白石の言う通り、外に買いに行くのが面倒な時なんてまさに痒い所に手が届くというやつだ。


 でも、それはそれとして、勝手に人の家の冷蔵庫を漁って、自分の物を入れるのはダメだろう!ついに、オレの部屋の冷蔵庫まで、白石のテリトリーになってしまったのか。このままじゃオレの生活全てが白石の存在によって塗り替えられてしまいそうだ。不安と得体の知れない恐怖がじわじわと湧き上がってくる。


 《あっ!そうだ、言っておくの忘れてました。先輩の部屋のクローゼットに隠してあったエッチな本、全部捨てておきましたから。私がいるので必要ないですよね?》


 白石が、まるで今日の天気の話でもするかのように、軽いトーンでそう言った。その言葉を聞いた瞬間、オレの思考は完全に停止した。な、何を言っているんだ、こいつは?


「なっ!?なんで知ってんだよ!」


 思わず、スマホを落としそうになるくらいの衝撃を受けた。そこまで踏み込むか!?オレのプライベート中のプライベート、誰にも見られたくない場所に隠しておいたものを、なぜ知っている?しかもなぜ、勝手に捨てた? 怒りよりも恐怖とプライバシーを蹂躙されたことによる、強い屈辱感が込み上げてきた。


 《そりゃあ、先輩のことなら何でもお見通しですからね〜。というわけで、もう眠いので寝ますねおやすみなさい先輩》


 白石の声は、まるで自分の能力を自慢するかのような、得意げな響きに変わっていた。何でもお見通し?ゾッとした。そして白石は一方的に会話を打ち切った。


「ちょっ! まっ……」


 オレの言葉が終わる前に、通話が切れてしまった。プープー、という無機質な電子音が耳に響く。


 くそ……あいつ……オレを監視してるんじゃないだろうな?いつ、そんな事が出来たんだ?オレが、白石に興味無さすぎて、部屋にいる時に好き勝手にさせていたのが、いけなかったのか……部屋のどこを調べられたのかと思うと全身がゾワゾワする。


 うぜぇ。なんでオレが白石の一挙一動にまで気を配らなければならないんだよ。自分の生活を、白石の勝手な行動から守るために興味を持たなければならないなんて。


 どんどんオレの生活が、オレ自身が白石に毒されていくような気がした。彼女のペースに引きずり込まれている。


 このままではダメだ。これ以上、白石に好き勝手させてはいけない。そう強く思ったオレは、次の日から白石が部屋にいる時は行動をちゃんと確認しながら生活することになるのだった。


 いつ、どこで、こいつがオレの知らないところで何かを仕込んでいるか分からない。ほう……いいだろう。これは戦争だ。オレの平穏な日常とプライベートを守るための、白石との終わりの見えない戦いが始まった瞬間だった。

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