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隣の部屋に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする  作者: 夕姫


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2. そうだ宿題をやらせよう

2. そうだ宿題をやらせよう


 



 春の陽気は依然として心地よく、部屋には穏やかな時間が流れている……はずなのに現実は違う。今日も平凡に生きている。目の前の、オレの平穏を根こそぎ奪ったコイツさえこの部屋にいなければだけどな。


 夕方の光は窓から斜めに差し込み、部屋の空気はほんのりとオレンジ色に染まっている。いつもなら、この時間帯は何もせずボーッと天井を眺めたり、好きな本を読んだりゲームをして一日の疲れを癒す最高の時間のはずだった。だが今は違う。視界の端には常に茶髪の小さな塊がいる。そしてその塊は頻繁に動き音を発する。


「ん?いやーん。先輩。私のことそんなに見つめちゃって。発情期ですか?」


 ラノベから目を離したかと思うと、にやにやとした笑顔でオレを見上げてくる。別に見てたわけじゃない。ただ、視界に入っただけだ。それにしても発情期だと?何を言ってるんだこいつは。呆れを通り越して、少しばかり本気の苛立ちがこみ上げてきた。


「……今のでお前はオレを怒らせた。今すぐ自分の部屋に帰れ。」


 努めて冷静に、だが有無を言わさぬ響きを込めて言い放つ。もう限界だ。このふざけたやり取りに付き合っている余裕はない。


「え~ひどいですよ。私と先輩の仲じゃないですかぁ~」


 白石は全く堪えた様子もなく、ソファーに寝そべったまま手足をぶらぶらさせている。その妙に気の抜けた姿がまたオレの苛立ちを煽る。オレ達の仲?だからオレ達には何も特別な関係なんてないんだ。むしろ今ここで終わりにしたい関係だ。


「うん。だったらなおさらだな。オレはやることがある。だからお前は帰れ」


 そう言ってから、オレは机の上に教科書やノート、筆記用具を広げ始めた。今日中に終わらせなければならない宿題がいくつかある。こいつに構っている暇など一秒たりともないのだ。


 こいつの思考回路はもはや人間には理解できない次元に達している。構うだけ時間の無駄。無視して自分の作業に没頭するのが、一番の防御策だろう。紙の擦れる音、ペンのカチカチという音だけが部屋に響けば、少しは落ち着くだろうか。教科書を開き、ペンを手に取ったその時だった。


「あ!それじゃ私が教えてあげますよ!」


「……は?」


 思考が追いつかない。教えてあげる?何を?オレの宿題を?


「ですから、先輩の宿題のお手伝いをしてあげようかな~なんて思ったんですけど……どうしますか?」


 そう言って、机に広げたオレの宿題を覗き込もうとしてくる白石。それを手で払いのける。


「お前、一年だよね?オレは二年。学年が違うんだ。何を教えてくれるっていうんだよ。ふざけてるのか?」


 学年も違う相手に、しかも上級生の宿題を教えるなんて、普通ならありえない。一体何をもってそんなことを言っているんだ。


「まぁまぁ遠慮しないでくださいってば。可愛い彼女が言ってるんですよ?」


 またそれだ。全く懲りない。彼女?うぜぇ。何回言えば理解するんだ。オレはお前の彼氏じゃないし、お前はオレの彼女じゃない!この事実を、どうすればこいつの頭に叩き込めるんだ?


 ここで真正面から断れば、また無意味な駄々を聞かされることになるだろう。それは避けたい。この状況を、どうにかオレにとって有利な方向に持っていくことはできないか……


 ふと一つの考えが閃いた。いや待てよ……これはチャンスかもしれない。ここは逆にこいつを利用してやろう。そうだ。こいつにも宿題をやらせればいいんじゃないか?部屋に来る時、自分の分の宿題も持ってきているはずだ。『一緒にやる』という形にすれば、無下に断ることもないだろう。


 自分の宿題に集中させておとなしくさせる。その間に、オレは自分の宿題を終わらせてしまう。こいつが黙って宿題をやってくれれば部屋が静かになるし、オレも集中できる。そして、オレの宿題が終わったら「ああ、終わったからもう帰っていいぞ」と、自然な流れで部屋から追い出せる!完璧な作戦だ!


 うん。それがいい。こうして、こいつの面倒な誘いを逆手に取って、自分の利益に変えるんだ。ナイスだオレ!頭の中で小さくガッツポーズをする。


「なぁ白石」


 できるだけ自然な、むしろ少し誘うような口調で声をかけた。さっきまでの苛立ちは一旦奥に仕舞い込む。


「お前も、今日の宿題とかあるだろ?どうせここにいるなら、一緒にやろうぜ?その方が、捗るんじゃないか?」


 オレの言葉を聞いた瞬間、白石の顔がぱぁっと明るくなった。そして、信じられないほどキラキラした目でオレを見てくる。


 ……ヤバい嫌な予感がする。


「えっ……先輩!やっぱり私と一緒に宿題デートしたいんですね?」


 宿題デート?どこにそんな要素があるんだ?ただ一緒に宿題をやろうって言っただけだろ!


「……いやーん。嬉しいです!彼女のために、わざわざそんなこと言ってくれるなんて!さすが彼氏ですね?キャッ、言っちゃった!」


 顔を赤らめ、手で口元を覆って、わざとらしい照れを見せる。全くどこまでオレを追い詰めれば気が済むんだ。彼女?彼氏?どこにそんな関係があるって言うんだ!


 完全に逆効果だった……オレの画策した完璧な計画は、こいつの異常な思考回路によってあっという間に破綻した。


 結局、この後オレは自分の宿題を進めようとするも、隣に陣取った白石の宿題とは全く関係ない、奇妙な話や、オレ達の(こいつの中での)恋愛関係についての熱弁に付き合わされっぱなしだった。


 オレの宿題は全く捗らないどころか「せんぱーい、ここ分かんなぁい」とか言って、質問攻めに遭い、結局、一年生のこいつの分からないところまで教えてやる羽目になったのだった

『面白い!』

『続きが気になるな』


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