わたしはヒロインをやらない
初めて文章書いてみたくなって出来たもの。
細かい粗は、気にしない方向でお願いします。
わたしは、この世界の所謂主人公というやつだ。
わたしは母と双子の兄と3人で、少し遠くに見えるお城の城下にある下町で、庭の小さな畑で薬草や野菜を育てて、売って。そんな暮らしをしていた。
5歳の誕生日祝いで家族3人団らんしていたら、急にそんなことを思い出したわたしは、頭の処理が追い付かなくて、食事中に食事に顔を突っ込む形で意識を飛ばしてしまった。
……焦る兄さんと母さんには本当に申し訳ないことをしてしまったなあと目が覚めてから気付いて謝ったら、疲れていたんだねと労われた。そういう理由じゃなかったんだけど……心配かけて、ごめんね。
前世を思い出したとはいえ、今を生きる事にリソースを全て費やしていた5歳のわたしは、主人公だということをすっかり忘れていたのだ。記憶も前世の常識も今ここで生きていくには無駄だと、まともに反芻せずに全て隅に追いやってしまっていたのだ。
この先何が起きるのか、何もかも振り返ることのないまま。
7歳になったある日の夕暮れ、急に家の前が慌ただしくなった。
普段は聞くことのない馬の嘶きと、高そうな履き物が石畳を走り回る音。
―――そして。
「恐らくこのあたりの家だ!!!探せ!!!」
見知らぬ男の人たちの怒声にも似た声だった。
怒鳴るような声に訳もわからず恐怖で動けなくなった私を兄さんは咄嗟に戸棚の隅に隠した。
「テネラ、だいじょうぶ。ぼくが様子を見てくるから。きっと母さんももうすぐ帰ってくる。怖いひとはすぐ居なくなるさ、隠れて待ってて。」
わたしをそう励ますように笑いかけて玄関へと向かって行った兄さんを見て、ハッとした。
━━━わたしはこれを、知っているじゃないか。
━━━だってこれは、"ミリティブ・バーベナ"の主人公の過去の一場面なんだから。
けれど、そう気付いて動いた時には遅かった。兄さんはそのまま見知らぬ男たちに馬車に無理矢理乗せられ、連れていかれたのだから。
この世界はゲームの世界だ、と片隅に追いやっていた記憶にようやく気付いて咄嗟に窓に駆け寄ったおかげで、馬車に付いている紋と馬車に乗せられる直前の兄さんを見ることができた。
兄さんは、目隠しと猿轡をされて、連れていかれていた。
ゲームのヒロインは、母さんが帰ってくるまで戸棚に隠れていたからこの事実を知らない。知らないから、将来行く事になる学園で出会う高貴な方々に見初められて青春をしたりする。でもわたしは、見てしまったから、そんなことはできない。
あの紋は、王家の隠し紋だ。王家の行動だとバレないように裏で使うための紋だ。そしてわたしは王の御落胤だと判明するルートがある。
つまり、双子の兄である兄さんも、王の血を間違いなく継いでいるのだ。
けれど、ストーリー上で学園に行ったヒロインの前に兄さんが現れることも、その名前が出ることも、ない。
『私より早く産まれて儚くなった子が居た、とは母から聞いているが……名前までは、知らないな』
そんな台詞を王子が言うことはあるが、それだけだ。設定されている誕生日が第一王子よりも私たちのほうが、4ヶ月ほど早いから、兄は王族にとって面倒にならないよう消されてしまうのだろう。
つまり兄さんは、ここまでしか出番のない脇役なのだ。ゲームの中では王子から聞かされた話で兄と気付き、悲しみから立ち上がる姿が描かれていたけれど、わたしは、違う。
大事な家族を急に奪った相手に恋ができる?━━━否。
物語の主人公のように強く優しく国を愛せる?━━━否!
まずは、ゲームの通りに学園へ行く事になる流れには従おう。わたしの復讐は、そこから始まるから。
ヒロイン(主人公)…テネラ・ミルアータ
ピンクブロンド髪に少しプラチナブロンドのメッシュがある、最近のよくある量産型ヒロインのような子。本来(原作)は庶民的で元気な女の子。
ゲームの世界だと気付いているこの話のヒロインは兄を奪った王家、ひいてはこの世界を壊すために暗躍する。
恋愛系には発展しそうにない。
兄…タビアン・ミルアータ
あのあと連れ去られた先で毒を盛られて他界する。ただし、派生作品ではその時に別世界(というか現代日本)の地荒神が憑依して一命を取り留め、地荒神との人外バディで怨霊(妖)祓いの道に進む話もある。
髪色は白金にピンクブロンドのメッシュが入っている。色のバランスはテネラの真逆。
双子だけど二卵性なので似ていない。瞳の色は二人とも緑。
母親はピンクブロンドで王妃(正室)の元御付きのメイド。王があまりにも子供出来なくて、勢いで妃のメイド可愛いし~でお手つきしたら王妃より先に子供出来ちゃってあーあ。
王妃付きのメイドだっただけあって学はしっかりあったので、タビアン(兄)が拐われて以降、何があっても生き残れるようにとテネラ(ヒロイン)に礼儀作法や勉学、市井に出てから身に付けた薬草学など持てる知識を全部叩き込んだ。
(それを全部自分のモノにしたヒロインはやっぱりチートである。さすヒロイン。)
王妃としては産まれる子に罪はないしそもそも大の友人関係であったメイドに手を出した王が悪い!の気持ちだったので、王に対してブチギレながら兄妹を守るよう手を回したりして立ち回っていた。
しかし王座を狙う側室側の勢力と側室に唆された王に存在を気付かれて、親友の子供が殺されたと知って以降、王妃はストレスと罪悪感で体調を崩して他界している。
亡くなる直前に、息子の第一王子にもそれとなくボカして伝えている。
それでも王子と結ばれるルートがあるのはナーロッパだからね仕方ないね!
王は側室が一番好き。御落胤(しかも男児)が居ると知ってからは、面倒だからさっさと消すほうが楽だな!という思考で側室が提案した暗部を使って処分に賛成している。まさか女児もいる……というか双子だったとは思ってもいなかった。
タビアンの髪色がプラチナブロンドだったため、処分に動いた木っ端貴族がこいつが王族直系だ!と気付いたので、端から狙いはタビアンだけだった。
ちなみにこの木っ端貴族も使い捨て。タビアンに毒を盛ってすぐに暗部に処分されている。
この国ではプラチナブロンドの髪色は王家の血を継いでいる証拠。ただし全員がそうとは限らないので、王位継承権は髪色と生まれた順番で決まる。
第一王子と第二王子、第四王女がプラチナブロンド。第三王子と第一、第二、第三王女は別の色。
主人公はピンクブロンドが目立つのでプラチナブロンドが入っていることに特定のルートに入らないとほぼ気付かれない。
……みたいな、こんな感じのやつ読みてえな~~~!という勢いだけで中身も設定も殴り書いたので、続きはないです()
一番読みたいのは後書きに放り込んでいる人外バディの話だったりする。誰か書いてくれんか?(他力本願寺、開山)