第22話 おっさん新しい戦術コマンド選ぶ
さぁ、新しい戦術を考えるとするか。
変えるものもあれば、変えないものもある。そんな感じかな?
アウェイ戦略は……どうせ負けるだろう。1年はそのままでいいかな?
プラマイゼロくらいで着地すればありがたい。
いよいよ俺の投資歴も2年目に突入だ。
こっちは本命だな。去年の初心を忘れずに行こう。
まずは基本部分から考えよう。
短期米国債ETFは、予想どおりの結果だったな。利率が決まっている分、安定した運用成果が出た。
為替もマイナスに振れていないので、だいじに投資の方針は大枠で変更なしだ。
ただ、ここで検討すべきはこうだ。
米国の政権交代によって、金融政策や金利がどう動くか。そして、それを“だいじに投資”の戦略にどう活かすかだな。
お子ちゃまとジュニアの意見を聞こう。
『たんきはそんきー♪』
ありがとな。気長にやるよ。
『短期債券の利率が下がり、逆イールドが解消されそうですが、要因が多く確証には至りません』
さすがジュニア。優秀なアナリストのようだ。
短期債の利回りが下がってきたから、長期債の方が有利かもな?
『一概には言えませんが、今のように金利が下がり続ける局面では、長期債ETFの価格が上がりやすい傾向にあります』
なるほど。たしかに、今のうちに長期債ETFを仕込んでおくのはアリかもしれん。
『たんきはそんきー♪』
……ちゃんと意味わかってる?
まぁいいか。
じゃあ今年の「だいじに投資」は、長期米国債ETFで決定だな。
長期債っていうと「ずっと保有しなきゃいけない」と思うかもしれないが、そうじゃない。
実際には、債券の価格は「金利」に大きく左右されるんだ。
たとえば、金利が下がると、すでに発行されてる“高い金利の債券”は人気が出る。
みんな欲しがるから、価格が上がるんだ。
つまり、長期債ETFってのは、金利が下がる時には値上がりしやすいってことだ。
『ふむふむ〜』
ただし、金利が反転して上がり始めると、今度はその逆になる。
だから「長期債に投資する」ってのは、今の相場環境と向き合う姿勢そのものってわけだ。
じゃあ、次行くぞ、ガンガン投資だ。
ガンガン投資と言っても無茶はしない。たたかい投資で懲りたからな。結果的には随分と利益が出たけどあれは棚ぼただ。
おっと、ここはガンガン投資の番だな。俺が詳しい業界だし、気持ちはガンガンでも結果的には安定指向になりそうだ。
ここも去年と同じ。ETFはそのままでいいな。プラットフォーマーの強さは変わらないだろうし。
・ETF → 半導体・AIインフラとクラウドで市場成長の恩恵を受けるもの
・個別株 → その中でも「特に伸びる企業」を引き続き狙う
『ETFの比率は去年と同じにしますか?』
そうしよう。
6:4で安定重視。今年も変わらずだ。
ETFで60%、個別株で40%。
ETFは3銘柄、個別株は2銘柄のまま。
自分の詳しい業界の銘柄はあまり変えられないな。知らないところを選ぶのは、へんげの戦術で使ったからな。リスク覚悟で。
やはり、知識は力だ。その上で自分で考えないと、永遠に初心者モードから脱却できない。
俺はゲームの戦略・戦術を使って投資をやっている。しかし、これは現実だ。
親切なNPCなんていない。むしろ、怪しい情報やポジショントークばかりだと思っておいた方がいい。
すべてが自己責任。でもな、それがまたおもしれーんだよ!
さぁ、次はたたかい投資をどうするかだ。
これは要検討だ。4銘柄持ってたけど3銘柄が合併しちまった。
どうするか、だな。
『MAGI-Σにより、WISE-MENの市場シェアが独占的なレベルまで上昇しています』
ジュニアくん、ありがとう。
『どっくせん、どっくせんー♪』
お前も推してくるのか?
『さらに 防衛や医療分野へのクラウドサービスの浸透にMAGI-Σのセキュリティ技術が必須となっています。これはいけます!』
ほぉー、さすが賢者だな。なかなかに優秀じゃないか。じゃあ、たたかい投資はWISE-MENに一本化するかな。
『それでいいと思います』
ジュニアの推しならそうしよう。
最後にいろいろ投資だ。
これもなぁ。変えられないのよ。推し銘柄だしな。俺にとっちゃ日本株はこの2銘柄しかない。
ゲーム機メーカーの2銘柄だな。俺はゲーム専用機派だからな。
とは言え、この2銘柄は異色だ。ゲーム機メーカーとは言え、その事業方針には一貫性がある。
まず、事業の変容性だ。設立当時とは業態が違う。変わってるんだ。単に事業の対象幅を拡大しているわけじゃない。
2社ともソフトウェアとサービス、そしてキャラクタービジネスがすごい。
これらがハードウェアと密接に繋がっている。ある意味プラットフォーマーだな。クラウドサービスの提供もあるしな。
超大規模・超集中型のプラットフォーマーは壮絶な戦いを強いられ莫大な資金が必要になる。
日本企業じゃそこで戦うのは得策じゃないし、今は無理だ。
なので、自分の得意な領域で戦うのがありなんだよな。
電気ネズミや配管工のキャラは全世界で愛されている。
……俺としては、ここが日本の最後の砦だと思ってる。
おっさんだからな。
さて、これで俺の今年の戦術は確定だ。
俺は一括投資派なので、大きな山は超えたな。後は日々の生活の中で為替の動きなどを経済ニュースでチェックするぐらいだ。
FXやデイトレードに手を出すと時間を取られる。そうすると、アクションゲームみたいに熱くなりすぎるしな。
何事もほどほどだよ。あの“かちょう”のようにガチャ押しだと指も痛くなるしな。
子供たちも、ゲームの時間は決めてやるんだぞ。
次回 最終話 転がる市場、おっさんにも朝が来る
おっさんの冒険は終わっちゃうのか?
おっさんの朝はどこに来る?
※この作品は【訳あり品】です。
正規品(?)はAmazon Kindleにて公開予定──かもしれません。




