第21話 おっさんアウェイ戦に挑む
さて、いよいよアウェイ戦だ。
今の俺にはお子ちゃまとジュニアという”優秀な?”仲間がいる。
『ゆーしゅーなのー』
わかってるよ、ありがとな。
でも、もし俺がぼっちな初心者投資家だったらどうなるのか?を検証することにした。
これは”勝つための投資”じゃない。“負けを知るための実証実験”だ。
まぁ、俺にとっちゃゲームだし。
俺の本来のスタイルなら、こんな投資はしない。でも、今回はあえてやる。
なぜなら、“初心者はなぜ負けるのか?” を、この目で確かめたいんだよ。
だから、失っても痛くない”あぶく銭”でやるのさ。これは”授業料”みたいなものなんだ。
とは言え、ちょっとは怖いけどな。
ともあれ、俺は情報収集を疎かにして投資するとどうなるか? 初心者モードで1年間、CMやチラシ情報にそのまま乗っかる 実証実験をやることにした。
これが「へんげの戦術」だ。初心者になりきって投資を始めるぞ。
そして「ぷるぱんて戦術」だ。それは、“何が起こるかわからない” 投資法だ。
まるで勇者の冒険RPGのコマンドみたいに、「とりあえず運にまかせる」投資戦術だな。大当たりすることもあれば、逆にとんでもないことになる。
今回の実験では、“上がるか下がるかわからない銘柄”に、深く考えずに突っ込む投資法を再現する。
つまり、「なんとなく話題だから」って理由で飛びつく初心者思考の再現だな。
どこでもいいってわけじゃない。みんなが知っててメディア露出が高い銘柄とボラティリティ(変動幅)の大きな銘柄だ。
・NISA枠 投資信託A
・NISA枠 投資信託B
・NISA枠 日本株C(最近話題の急成長銘柄)
•NISA枠 日本株D(メディア露出が多い人気銘柄)
俺は4つの銘柄に5Gずつ、合計20Gを投資した。
たたかい投資で得たあぶく銭だな。
「疲れたなー、ふぅ〜寒い寒い。今夜は鶏鍋だ。あったまるぞ」
『おなべーおなべー』
食えるのか?
<後日談>
アウェイ戦(へんげの戦術+ぷるぱんて戦術)の結果だ。どうだったって?
予想どおり、いや、予想以上に……ローパフォーマンスだった。
投資単位はいつもの俺のGで表記。
・NISA枠の投資信託2銘柄(A・B):それぞれ5G
・NISA枠の日本株2銘柄(C・D):それぞれ5G
結果はこうなった。
投資信託A
5G × 3.5%(利回り)− 0.4%(手数料) = 0.155G
投資信託B
5G × 4.0%(利回り)− 1.2%(手数料) = 0.14G
パフォーマンスだけならBが上。でも、手数料で逆転。
Aがギルドに依頼したDクラス冒険者なら、BはCクラス冒険者といった感じか。
パフォーマンスが良くても、高いクラスの冒険者にはそれなりのコストがかかるってことだな。
補足:投資信託の手数料の話
投資信託には手数料がかかる。
その内訳は、年間の管理コスト(X)と、売却時の手数料(Y)だ。
・投資信託A の手数料係数 = 0.3%(X) + 0.1%(Y) = 0.4%
・投資信託B の手数料係数 = 1.0%(X) + 0.2%(Y) = 1.2%
AとBのパフォーマンスは3.5%と4.0%のはずだった。
でも、手数料を引いたら……
・Aの利益 = 0.155G
・Bの利益 = 0.14G
つまりA + B = 0.295Gってことだ。
投資信託は 「超長期キープ前提」 じゃないと旨味がないってことだな。
定年退職したおっさんには向いていない。
むしろ「長期に耐えられる初心者向き」ってことが、今回の実験でよく分かかったぜ。
***
次は「ぷるぱんて戦術」の結果だ。
ボラティリティの高い銘柄、つまり目立つヤツだな。
なんかメディア露出が多いような銘柄の結果はこうなった。
日本株銘柄C → 5G × 92% =− 0.4G
日本株銘柄D → 5G × 112% = 0.6G
C+D = 0.2G
そして、これに AとBの利益を加えると、
0.2G+0.295G =0.495Gってことか。
まあなんとか、ギリプラスの収支だったな。
負けはしなかったが勝ったと言える内容じゃないな。まぁ、予想通りだ。
この実験でハッキリした。投資は「考えれば勝ちやすく」、逆に「考えなければ負ける確率が高まる」ものなんだ。
『しょーぶにまけたのー?』
そうじゃないな。初心者の負けパターンが分かったってやつだ。
つまり、“負ける投資”を避けることが、勝ちへの最初の一歩ってことだ。
***
ここまでで分かった事をまとめるぞ。
【なぜ負けたか】
・チラシやSNSの情報に流され、自分で考えなかった。
【どうすれば負けないか】
・自分自身で考える事だな。ちゃんと情報をまとめ、リスクを管理し戦略を考えることだ。
つまり、思考停止の投資をやめれば負けにくくなると言えるな。
じゃあ、具体的にどうすれば「考える投資」ができるのか?
次はそれを試す番だ。
「だいじょうぶー?」
ああ、大丈夫だ。
ゲームなら……、RPGなら……俺は勝てるよ。
おっさんだからな。
以上、不在の二人に代わりまして、私ジュニアがレポートいたしました。
「どこ行ったんだよー二人とも!」
……本当に、どこに行ったんですか?
私のログにも、二人のアクセス履歴は残っていません。
まるで……最初から存在しなかったかのように。
※この作品は【訳あり品】です。
正規品(?)はAmazon Kindleにて公開予定──かもしれません。




